今、家計が苦しい原因の一つは、「国民負担率」かもしれません。
国民負担率とは、国民の所得に占める税金や社会保険料などの負担割合を示すもの。’22年度は47.5%でした(財務省)。国民負担率の推移をみると、’79年度から’12年度まで30年以上かけて30%台を徐々に上昇し、’13年度に40%を超えました。その後、直近の10年間で約7%も急激に上昇しているのです。
今の国民負担率は、江戸時代の年貢割合「五公五民」とほぼ同じとの指摘もあります。五公五民は、徳川吉宗が享保の改革で行った増税制度で、当時の農民は生きていけないとあちこちで一揆を起こしたそうです。私たちの暮らしも、苦しくて当たり前の状況といえるでしょう。
国民負担率上昇の原因は、高齢化による社会保障費の高騰だと思います。ただ国は「増税分はすべて社会保障費に使う」という名目で消費税を10%に上げました。本来なら消費税の増税分で社会保障が充実し、社会保険料が上がることはないはずでした。
しかし実際は、消費税の増税分のうち20%ほどしか社会保障の充実には使われていません。残りの約80%は国の借金の穴埋めに使われています。国は「社会保障に使った借金の返済」とし、「社会保障の安定化のための支出だ」といいますが、体裁を取り繕っているようにしか思えません。
■4~6月は残業しすぎると社保が高くなる
結局、消費税増税だけでは社会保障費をまかなえず、私たち国民の負担が増えるばかりです。
年金保険料は’04年から’17年まで引き上げが続き、介護保険料は’00年の制度開始時より約3倍! 雇用保険は昨年10月に続き4月に再引き上げがありました。ほかにもガソリン税や酒税、温泉を利用した際の入湯税など生活のさまざまなシーンで税金がかかりますが、私たちは家計という1つの財布から捻出するしかないのです。
国家予算は’19年度に初めて100兆円を超え、’23年度は約114兆4千億円と初めて110兆円を突破。11年連続で過去最大を更新しています。国家予算の歯止めがきかず、財源として国民の負担が増えるいっぽう。国民の生活が厳しいことなど、岸田首相は関心がないのではと疑いたくなります。
こんな状況で家計を守るには、ちょっとした知恵も必要です。
会社員の方の社会保険料は「標準報酬月額」を基に決まります。標準報酬月額は、その年の4~6月の基本給と残業手当、家族手当、住宅手当、役職手当、通勤手当などを含めた給与から算出されます。4~6月は残業を控えると標準報酬月額が多少低めに算定され、その年の社会保険料が抑えられるでしょう。
また、税金や社会保険料を払えない方には、免除や猶予の仕組みがあります。家計が厳しいときは免除や猶予をフル活用して、生活を守ってほしいと思います。