石川県能登地方を震源とし、同県珠洲(すず)市で震度6強を記録した地震から一夜明けた6日、被災地では朝から雨が降る中、住民らが復旧作業に追われた。
読売新聞のまとめでは、6日午前10時半現在、死者1人、重軽傷28人が確認された。同県では6日夜から7日にかけて大雨になる恐れがあり、気象庁は強い揺れや土砂災害への警戒を呼びかけている。
死傷者のうち、珠洲市では、男性(65)が死亡したほか、1人が骨折、1人が頭にけがをして重傷、25人が軽傷を負った。富山県高岡市でも女性(61)が軽傷という。
珠洲市では、住宅や納屋など6棟が倒壊したほか、崖崩れが相次ぎ、市内の道路は少なくとも13か所で通行止めとなった。38世帯で断水が続き、市が給水車を派遣した。同市と南隣の能登町では、最大275人が公民館などに避難し、6日午前8時現在も珠洲市の52人が身を寄せている。
同市正院町の会社員の男性(53)宅の裏山では余震による落石で数十センチの岩が家屋まで迫り、一家は車中泊を余儀なくされた。6日朝、自宅裏の様子を見に来た男性は「家族も家も無事だったが、雨でさらに崩れたらどうしよう。片付けも何から手を着けていいかわからない」とため息をついた。
気象庁によると、石川県能登地方では、珠洲市で5日午後2時42分頃に震度6強の地震が起きた後、6日午前10時までに余震とみられる地震が計51回発生した。
5日は午後6時半までに震度1~4の地震が24回あり、いったん落ち着いた。だが、午後9時半頃から再び揺れ始め、午後9時58分頃に珠洲市で震度5強を観測。その後も、6日午前10時までに震度1~4の地震が相次いだ。気象庁は今後、約1週間は最大震度6強程度の強い揺れに注意が必要としている。
気象庁によると、石川県では8日にかけて雨が続く見込みで、6日夜から7日にかけては大雨になる恐れがある。7日午前6時までの24時間降水量は120ミリと予想。揺れで地盤が緩んだ上に雨も重なるため、同庁は危険な場所に入らないよう注意を促している。
同庁は、地中に蓄積された水分量を示す「土壌雨量指数」や1時間雨量の予測を基に、都道府県と共同で土砂災害警戒情報を発表している。地震で地盤が緩んでいるとして、珠洲市や能登町について、同情報などの発表基準を引き下げて運用中だ。
岩手大の井良沢道也名誉教授(砂防学)は「能登半島は急傾斜地が多く、元々、土砂災害の恐れが高い。地震で亀裂ができた場所では、雨や余震で崩壊する恐れがあるため、注意してほしい」と話している。