「は、母が死んでいます」
動揺した様子の女性から、警察へ110番通報が入ったのは4月28日の午前10時過ぎだった。
翌29日、埼玉県警浦和東署は死体遺棄の疑いで無職・渡辺美智子容疑者(53)を逮捕した。さいたま市緑区のアパートで同居する義母の渡辺克子さん(68)の遺体を、床下に放置したとされる。調べて対し「床下に死体を隠した」と容疑を認めているという。
「アパートは2フロアー形式のメゾネットタイプで、家族6人で暮らしていました。克子さんと40代の長女、30代の次女、40代の長男、長男の妻である美智子容疑者と20代の息子です。
克子さんの姿が最後に確認されたのは、4月22日の午前中。以来、姿の見えない母親のことを心配した長男と長女が自宅内を捜索します。4月28日の午前中に、長男が1階台所の床下にある点検口で克子さんの遺体を発見。長女が110番通報したそうです」(全国紙社会部記者)
克子さんは衣服を身につけた状態で横たわっていた。目だった外傷はなく、死後すでに数日が経過したいたとみられる。遺体を司法解剖した結果、死因は頸部を圧迫されたことによる窒息と判明した。
「美智子容疑者が、家族と同居し始めたのは10年ほど前でした。周辺住民によると、あまり近所つき合いはなく、特に克子さんの姿は2~3年前からほとんど見かけなかったとか。体調を崩していたのかもしれません。
美智子容疑者は、克子さんの身の回りの世話をしていたそうです。たまに住民が見かけると、髪の毛がボサボサでやつれた様子だったといいます。かなり疲れた印象を受けたそうです」(同前)
警察は、殺人容疑も視野に入れて捜査を進めている。
「謎が多い事件です。仮に美智子容疑者が克子さんの首を絞め殺害したとすれば、どうやって人数の多い家族に悟られずに犯行におよんだのか。数日間遺体が放置されていたにもかかわらず、暖かくなってきた今の時期に誰か異臭に気づかなかったのか……。美智子容疑者は遺体を遺棄したことは認めていますが、動機や経緯について不明な点が残っています」(同前)
現場はJR東浦和駅から3.5kmほど離れた静かな住宅街。比較的治安もよく公園や学校も多い。警察によると、渡辺さん一家からトラブルなどの相談はなかったという。