新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが8日から5類に移行されることで、行動制限などで押さえ込まれてきた個人消費の回復が期待される。
衛生関連商品や巣ごもり需要は後退するものの、我慢してきた旅行や外食といった「不要不急」の消費が盛り返すためだ。ただ、自宅などを仕事場にするテレワークの浸透などにより、コロナ禍前の状態へすぐには戻らない消費もある。
総務省の家計調査によると、令和4年の月平均消費支出額(2人以上世帯)は29万865円で、物価変動を除く実質で前年比1・2%増だった。ただ、コロナ禍前の令和元年と比べると3・5%減。本格回復は5年以降にかかっている。
個人消費を巡っては、物価上昇の逆風も吹く。円安で強まった輸入資源価格の高騰で食品値上げなどが続いており、家計の財布のひもは固くなりがちだ。
ただ、SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、「経済正常化と物価高騰との綱引きで、正常化の影響のほうが今は勝っている。実質消費は約3・2%分の回復余地がある」と指摘する。
5類移行で脱マスクの動きが広がれば、旅行や外食といったサービス消費へのためらいも薄れる。宮前氏は、5類移行が消費へ「持続的な増加をもたらす」効果があると予想。脱マスク同様に、消費の回復も徐々に進みそうだ。(松崎翼)