2023年3月13日から、マスクの着用は屋外・屋内にかかわらず「個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本」となりました。コロナ禍での長いマスク生活により人前で歯を見せる機会が減ったことで、お口のケアがおろそかになってしまっていた方もいるのではないでしょうか。歯科医の照山裕子さんは、人生100年時代の歯を守り、“食べる力”を長く保ちたい人に役立つ情報を、わかりやすく発信しています。その照山さんいわく、フロスや歯間ブラシを使うタイミングは歯ブラシの“前”がいいそうで――。
【グラフ】フロスは歯みがきの前?後?みがき残しを比較!* * * * * * *フロスや歯間ブラシは、歯ブラシ“前”がいい虫歯菌や歯周病菌の温床であるバイオフィルムを除去するには、毎日の歯ブラシだけでは不十分です。歯ブラシだけでは歯の汚れのうち6~7割しか落とせていないというデータがあります*。しっかり落とすには、デンタルフロスや歯間ブラシが必要です。併用すれば、8~9割落とすことができるはずです*。そのため、「寝る前」の歯みがきでは、フロスや歯間ブラシをぜひ併用してください。歯ブラシでのブラッシングのあとに使っている方が多いと思いますが、その順序を変えて、ブラッシングの“前”にフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れを念入りに取り除くことをお勧めしています。*日歯保存誌48(2)272~277,2005虫歯予防に効果的なフッ化物が歯間に残りやすい必ずしも“前”でなくてはならないというわけではありません。とにかくフロスや歯間ブラシを使うことが大切なのですが、使うならば“前”のほうが効率が良いというデータが出ているのです。『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』(著:照山裕子/日経BP)下のグラフの研究結果からわかるように、フロスを使ってから歯みがきをするほうが、歯みがきをしてからフロスを使うよりも、口の中の汚れが減少することがわかっています。さらに、このデータでは、歯みがき剤の成分で、虫歯予防に効果的なフッ化物が歯間に残りやすいという結果も出ています。とはいえ、フロスを先に使うと、あとに使うより汚れが手につきやすいため抵抗があるという方もいらっしゃいます。そういう方は、ブラッシング後でもいいので、ぜひフロスや歯間ブラシを併用してください。Floss or Die米国では1990年代に、“Floss or Die”というキャンペーンが展開されました。日本語に訳すと“フロスをしなければ死ぬ”。つまり、フロスで口の中をきれいに保たないと、歯周病など、命に関わる疾患につながるということです。キャンペーンによって、米国ではフロスが広く周知され、歯間の汚れをしっかり取り除くケアが徹底されました。日本では、最近になってようやくフロスや歯間ブラシを使う人が増えてきました。バイオフィルムは徐々に厚みを増して病原性も高くなります。そうなる前に、1日1回、寝る前にフロスを使って、歯間の汚れやバイオフィルムを除去することが大切です。フロス 歯ぐきが引き締まった人向け<『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』より>フロスと歯間ブラシは「歯の隙間の大きさ」で選ぶフロスと歯間ブラシのどちらを使うか迷ったときは、歯と歯の間の大きさで判断しましょう。歯ぐきが引き締まっている人は、歯間ブラシだとすき間に入りにくいので、フロスが向いています。加齢とともに歯ぐきが下がり、歯の根元に三角形のすき間が空いてきたら、歯間ブラシを選びましょう。2つの違いを簡単に説明しておきましょう。フロスは細い繊維が寄り合わさっていて、歯間の汚れを絡め取ってくれるもので、使い捨てです。歯間の上から通して下まで入れて、歯のカーブに沿って前後に動かしながら、上まで移動して出します。歯間ブラシは針金やナイロン毛などがありますが、使用後に洗って1~2週間使えます。こちらは歯の根元の三角形の隙間に入れ、前後に2~3回動かすだけで、上下には動かしません。歯間ブラシ 小さいサイズから試そう<『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』より>※本稿は、『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』(日経BP)の一部を再編集したものです。
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虫歯菌や歯周病菌の温床であるバイオフィルムを除去するには、毎日の歯ブラシだけでは不十分です。
歯ブラシだけでは歯の汚れのうち6~7割しか落とせていないというデータがあります*。
しっかり落とすには、デンタルフロスや歯間ブラシが必要です。併用すれば、8~9割落とすことができるはずです*。
そのため、「寝る前」の歯みがきでは、フロスや歯間ブラシをぜひ併用してください。
歯ブラシでのブラッシングのあとに使っている方が多いと思いますが、その順序を変えて、ブラッシングの“前”にフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れを念入りに取り除くことをお勧めしています。
*日歯保存誌48(2)272~277,2005
必ずしも“前”でなくてはならないというわけではありません。
とにかくフロスや歯間ブラシを使うことが大切なのですが、使うならば“前”のほうが効率が良いというデータが出ているのです。
『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』(著:照山裕子/日経BP)
下のグラフの研究結果からわかるように、フロスを使ってから歯みがきをするほうが、歯みがきをしてからフロスを使うよりも、口の中の汚れが減少することがわかっています。
さらに、このデータでは、歯みがき剤の成分で、虫歯予防に効果的なフッ化物が歯間に残りやすいという結果も出ています。
とはいえ、フロスを先に使うと、あとに使うより汚れが手につきやすいため抵抗があるという方もいらっしゃいます。
そういう方は、ブラッシング後でもいいので、ぜひフロスや歯間ブラシを併用してください。
米国では1990年代に、“Floss or Die”というキャンペーンが展開されました。日本語に訳すと“フロスをしなければ死ぬ”。
つまり、フロスで口の中をきれいに保たないと、歯周病など、命に関わる疾患につながるということです。
キャンペーンによって、米国ではフロスが広く周知され、歯間の汚れをしっかり取り除くケアが徹底されました。
日本では、最近になってようやくフロスや歯間ブラシを使う人が増えてきました。
バイオフィルムは徐々に厚みを増して病原性も高くなります。そうなる前に、1日1回、寝る前にフロスを使って、歯間の汚れやバイオフィルムを除去することが大切です。
フロス 歯ぐきが引き締まった人向け<『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』より>
フロスと歯間ブラシのどちらを使うか迷ったときは、歯と歯の間の大きさで判断しましょう。
歯ぐきが引き締まっている人は、歯間ブラシだとすき間に入りにくいので、フロスが向いています。
加齢とともに歯ぐきが下がり、歯の根元に三角形のすき間が空いてきたら、歯間ブラシを選びましょう。
2つの違いを簡単に説明しておきましょう。
フロスは細い繊維が寄り合わさっていて、歯間の汚れを絡め取ってくれるもので、使い捨てです。歯間の上から通して下まで入れて、歯のカーブに沿って前後に動かしながら、上まで移動して出します。
歯間ブラシは針金やナイロン毛などがありますが、使用後に洗って1~2週間使えます。こちらは歯の根元の三角形の隙間に入れ、前後に2~3回動かすだけで、上下には動かしません。
歯間ブラシ 小さいサイズから試そう<『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』より>
※本稿は、『“食べる力”を落とさない!新しい「歯」のトリセツ』(日経BP)の一部を再編集したものです。