「3月5日の閉館間際となる夕方5時前、他の職員から2階の男子トイレで水が溢れていると報告がありました。駆け付けると、トイレの床一面が水浸しになっていたんです」
こう話すのは、茨城県立図書館の職員A氏だ。
トイレは水につかり、3つある個室のうち2つが使用中。A氏は個室から利用者が出た際に足元が濡れないよう新聞紙で床の水を吸い取ろうとしたが、水量が多くてラチがあかない。委託先の清掃業者に協力を頼むために一旦その場を離れトイレに戻ったところ、異様な光景(関連画像2枚目以降)が目に飛び込んできたという(以下、発言はA氏)。
「先ほどまで使用中だった個室の1つから利用者がいなくなり、床や壁、ペーパーホルダーにまで、びちゃびちゃになったトイレットペーパーが散乱していたんです。予備として備えていたペーパーの芯2本が、便器の中に刺さるように置かれ詰まっていました。
すぐに片づけようとしましたが、あまりにひどい状態だったので当日だけでは処理できない。翌日の休館日に出勤して、配管業者にも来てもらいました。汚れた個室は5日間、閉鎖せざるをえなかったんです」
トイレが故障したとしても、ここまで汚れるとは考えづらい。ペーパーを便器に詰めて何度も溢れさせるなど、誰かが故意に行ったいたずらだと思われた。
実は、同じトイレが以前にも嫌がらせされたことがあったという。
「昨年9月のことです。今回とまったく同じ個室でした。便器にトイレットペーパーやうちわなどが入れられ、詰まってしまったんです。そうは思いたくありませんが、前回と同じ人がやったのかもしれません」
近くの防犯カメラには、被害を受けた時間帯にトイレから出てきた人影が一瞬写っていた。だが、人物を特定できるほど明瞭ではなかったという。
事件を受け図書館側は警察に相談。しばらくの間はトイレに警告の張り紙をしていたが、いまだに誰が何のためにやったのかわからない。対応に当たったA氏は事件から2日後、図書館のツイッターでこうつぶやいた。
〈3/5(日)、2F男子トイレが、いたずらで使えなくされてしまいました(今年度2回目)。なんで、こんなことをするんだろう(泣)。せめて図書館が、みんなが穏やかな気持ちで過ごせる場所でありますように…ぜったいにゆるさなーい!〉
このツイートは50万回近く表示され、リツイートも1300回を超えた。
「『ぜったいにゆるさなーい!』とあるのは、思わず自分の気持ちが漏れたものです。私たちの図書館には、多い時で日に2000人ほどが訪れます。トイレが使えなくなると、利用者の方に迷惑がかかる。もし図書館に何か不満があるなら、我々職員にぶつけてもらえれば受け止めます。いたずらなどせず、みんなが気持ちよく図書館を使えるように配慮をお願いしたいです」
悪質ないたずら行為は、各地の飲食店で相次いでいる。3月8日には、「くら寿司」の店内でしょうゆ差しを口に含むような迷惑行為を撮影した動画をSNSに投稿した男女3人が逮捕された。軽い気持ちでやった、は通用しない。飲食店だろうが図書館だろうが、迷惑行為は絶対に許されないのだ。
取材・文:形山昌由ジャーナリスト