飲食店での迷惑行為が問題となっている。回転寿司店スシローでの「ペロペロ男」の映像は海外ニュースにも取り上げられ、日本人のモラルの低さを世界に知らしめる結果となってしまった。
【写真】この記事の写真を見る(2枚) このような飲食店へのテロ行為は10年ほど前にも続発して社会問題となっていたが、表沙汰になっていないだけで、ずっと続いていることでもある。撮影されず、SNSにアップされないだけで、迷惑行為やマナー違反はいまもどこかの飲食店で起きているのだ。

そこで、実際に飲食店で働く方々などに話を伺い、頭を抱えたくなるような迷惑行為エピソードを集めてみた。激辛カレーで盛り上がって暴走する学生 飲食店で常識を逸脱した“暴走”をしてしまうのは、やはり若年層が多いようだ。学生がヒマを持て余し、仲間内での度胸試しの延長のような感覚でマナー違反をしたり、不衛生な行為を行ってしまうというのだ。 某カレーのチェーン店でアルバイトをしている山田智恵理さん(仮名22歳)は、ちょっとした迷惑行為は日常茶飯事と漏らす。「学生たちが放課後に数人でやってきて、悪ノリしてることはありますね。ウチの店は辛さを選べるんですが、これをネタにして競いあってるんです。オーダーを取りに行くときから、『10辛ください』『うわーマジでバカw』『やばすぎw』とか、仲間内だけでワイワイ盛り上がっていて、そのやり取りがすでにちょっと騒がしくて迷惑。 それで注文通りに10辛を作って提供するんですけど、2口くらい食べて『こんなの無理だって!』などと大騒ぎ。当然のように食べきれず、ほとんど残して帰っていく。テレビでも『激辛メニューに挑戦』とかよくやっているので、それを真似ているのかもしれません。とはいえ、辛さを選べるメニューを出してるのはお店側なので、そうやって楽しんでもらうという部分もあると思うんですけども……」AFLO 激辛や大食いチャレンジなど、仲間内でムダに争って楽しんでいるようだが、それが迷惑行為になっていることには気づかないのだろう。静かにカレーを食べている他のお客さんたちの気持ちも考えてほしいものだ。「辛いスパイスを山盛りふりかけたり、ソースを大量に使う、福神漬けを食べ尽くすとかもありますね。そういうグループは食べ方も荒っぽくて、派手にテーブルにこぼしたりするんで、後片付けも大変なんですよ」 このような無料サービス品を必要以上に利用するというマナー違反は、多くの飲食店で見られるようだ。うどんにゴマひと瓶入れてしまう セルフ方式のうどんチェーンで働く佐藤由季さん(仮名34歳)は、厨房の奥からでも客席に目を光らせているという。「揚げ玉を山盛りに入れたり、ゴマをひと瓶いれてしまったり……。お客さんにとって好みがあるとはいえ、せっかく作った料理を台無しにされている気分になりますね。たっぷり用意してあった薬味をぜんぶ使い尽して、『無くなったので補給してください』と平気で言ってくるお客さんもいます」「そういうお客さんのことを、ウチのバイトの間では『スライマー』って呼んでました」というのは、ラーメン店でアルバイトをしていた野田あゆ美さん(仮名28歳)だ。「『ゴーストバスターズ』という映画に、緑色した何でも食べ尽くす『スライマー』というキャラクターが出てくるんですけど、それと同じレベルという意味です。 ウチは、味変用に薬味や魚粉、玉ねぎなど無料のトッピングがたくさん用意してあるんです。それを片っ端から瓶ごと一杯のラーメンの中に入れる奴がいるんですよ。ニンニクとか、あんなに入れたら胃が痛くなると思うんですけど、大丈夫なんですかね」「罰ゲーム」でムセて米粒を吹き飛ばすグループ 回転寿司チェーンでパートをしている岡部卓也さん(仮名42歳)も、こうした“大量摂取”をするお客さんをよく見かけるとのこと。「お茶のパックを湯呑からあふれるほど入れるとか、ガリを全部食べてしまうとか……。 あと、たまにあるのが、ワサビを大量に取って、お寿司に乗せて、『罰ゲーム』といいながら我慢比べをしてるグループですね。一気に食べてムセてしまって、テーブルやレーンに盛大に米粒を吐き飛ばしたお客さんもいました。さすがにお店側に謝罪してきましたけど、こちらが入念に清掃・消毒しなくちゃいけないので、本当に迷惑でしたね」 食べ放題の焼き肉チェーンで働く穐田勝利さん(仮名33歳)は、「食べ残し」に関するトラブルによく遭遇するという。「過度な食べ残しは追加料金をいただくルールになってるんだけど、それを意識して、取りすぎた食材をひたすら網で焼いて焦がしたり、網の下の水が溜まっている部分にわざと落としたりするんだよ。ヒドいお客さんだと、その辺の椅子の隙間に詰め込んで隠したり……。そのまま残してもらったほうがよっぽどマシだね」 昨今の飲食業界は人手不足もあり、客席まで目が届かないことが多い。それを補うために導入が増えている「配膳ロボット」に対してもイタズラする客が増えていると、ファミリーレストランでアルバイトをする藤田謙一さん(仮名36歳)は言う。「配膳ロボットの導入当初は、もの珍しさもあって、わざと進路に立ちはだかる子供とかいましたね。あと、ロボットが隣の卓に運ぶ料理を勝手に取って食べてしまうお客さんもいました。『間違えた』と言ってましたけど、信じられないですよね……」 そして、飲食業にはつきものとさえ思える、「お客様は神様」思想の、大声でクレームをつける客も、いまだに多いという。そんな客に悩まされたと話すのは、ファミレスのパート歴4年の早坂美香さん(仮名39歳)。「いつも深夜にやってくる、40代後半くらいの女性のお客様がいました。多い時は週5くらいのペースで来られるのでアルバイトの顔ぶれも知り尽くしていて、新人が入ると『そこのキミ、ここ汚れてるんだけど』などとアラ捜しをしては、何かとクレームをつけてくるんです。最初はみんな素直に従うんですけど、あまりにも毎回小言を言われるのでだんだん面倒になり、適当にあしらうようになっていって……」 あるとき、その「小言クレーム」が、早坂さんを直撃した。「私が彼女のいる隣のテーブルを片付けていたら、『あなたもいつも深夜に働いてるわね。そんなにお金ないの?』と話しかけてきました。私は思わずカッときて、『関係ないですよね!』と言い返してしまったんです。すると『なによその態度は!』と怒り出し、あとはひたすら『謝れ!』と詰めてくるので、ひたすら無視し続けました。 その後、本社にクレームが入ったそうですが、彼女のこれまでの迷惑行為はすでに報告済みだったため、逆に彼女が出禁になりました」爪切り持参で爪を切りだした客 怒り出すクレーム客よりも恐ろしいのは、静かなる迷惑客かもしれない。チェーン系の喫茶店で働いている林田美奈さん(仮名20歳)は、常連客の行為に辟易としたという。「朝の時間帯は、地域のお年寄りが多いんです。その中で、いつも朝9時くらいの決まった時間に来られて、同じモーニングセットを食べる60代くらいのお客さまがいたんですが、その日はなにかコソコソしていた。様子を見に行くと、紙ナプキンを敷いて、そこに手を広げて爪を切っていたんです。毎日通っていて、もう自宅感覚なのかもしれないですが、くつろぎ過ぎないでほしいですよね」コーヒーショップに警察官が そして、もはや客ですらない迷惑客に遭遇した、サラリーマンの島貫覚さん(仮名33歳)の目撃談だ。「テイクアウト目的でコーヒーショップに入ったら、男性の怒号が響いていました。その声のほうを見ると、赤いジャージを着た恰幅のいい男性が、ふたりの警官に囲まれていたんです。 不思議に思っていたら、男性が『だからさあ! こっちは待ち合わせしてて、落ち着いたら注文しようと思ってたんだよ!』と、まるで店内にいる客全員に聞いてほしい、というような大声で怒鳴り、警察官のほうも、『でも1時間はやりすぎでしょ』とかぶせるように説明してくれたので、何が起きているのかがわかりました。 軽い気持ちだったのかもしれないですが、オーダーなしで滞在しつづけると警察沙汰になるんだなと思いました」 なぜかどこにでも現れる迷惑客たち。まずは、自分がそのお店の従業員だと思って「こういうことはされたくない」ことを考え、それをやらない。そんな想像力が必要とされているようだ。(清談社)
このような飲食店へのテロ行為は10年ほど前にも続発して社会問題となっていたが、表沙汰になっていないだけで、ずっと続いていることでもある。撮影されず、SNSにアップされないだけで、迷惑行為やマナー違反はいまもどこかの飲食店で起きているのだ。
そこで、実際に飲食店で働く方々などに話を伺い、頭を抱えたくなるような迷惑行為エピソードを集めてみた。
飲食店で常識を逸脱した“暴走”をしてしまうのは、やはり若年層が多いようだ。学生がヒマを持て余し、仲間内での度胸試しの延長のような感覚でマナー違反をしたり、不衛生な行為を行ってしまうというのだ。
某カレーのチェーン店でアルバイトをしている山田智恵理さん(仮名22歳)は、ちょっとした迷惑行為は日常茶飯事と漏らす。
「学生たちが放課後に数人でやってきて、悪ノリしてることはありますね。ウチの店は辛さを選べるんですが、これをネタにして競いあってるんです。オーダーを取りに行くときから、『10辛ください』『うわーマジでバカw』『やばすぎw』とか、仲間内だけでワイワイ盛り上がっていて、そのやり取りがすでにちょっと騒がしくて迷惑。
それで注文通りに10辛を作って提供するんですけど、2口くらい食べて『こんなの無理だって!』などと大騒ぎ。当然のように食べきれず、ほとんど残して帰っていく。テレビでも『激辛メニューに挑戦』とかよくやっているので、それを真似ているのかもしれません。とはいえ、辛さを選べるメニューを出してるのはお店側なので、そうやって楽しんでもらうという部分もあると思うんですけども……」
AFLO
激辛や大食いチャレンジなど、仲間内でムダに争って楽しんでいるようだが、それが迷惑行為になっていることには気づかないのだろう。静かにカレーを食べている他のお客さんたちの気持ちも考えてほしいものだ。
「辛いスパイスを山盛りふりかけたり、ソースを大量に使う、福神漬けを食べ尽くすとかもありますね。そういうグループは食べ方も荒っぽくて、派手にテーブルにこぼしたりするんで、後片付けも大変なんですよ」
このような無料サービス品を必要以上に利用するというマナー違反は、多くの飲食店で見られるようだ。
セルフ方式のうどんチェーンで働く佐藤由季さん(仮名34歳)は、厨房の奥からでも客席に目を光らせているという。
「揚げ玉を山盛りに入れたり、ゴマをひと瓶いれてしまったり……。お客さんにとって好みがあるとはいえ、せっかく作った料理を台無しにされている気分になりますね。たっぷり用意してあった薬味をぜんぶ使い尽して、『無くなったので補給してください』と平気で言ってくるお客さんもいます」
「そういうお客さんのことを、ウチのバイトの間では『スライマー』って呼んでました」というのは、ラーメン店でアルバイトをしていた野田あゆ美さん(仮名28歳)だ。
「『ゴーストバスターズ』という映画に、緑色した何でも食べ尽くす『スライマー』というキャラクターが出てくるんですけど、それと同じレベルという意味です。
ウチは、味変用に薬味や魚粉、玉ねぎなど無料のトッピングがたくさん用意してあるんです。それを片っ端から瓶ごと一杯のラーメンの中に入れる奴がいるんですよ。ニンニクとか、あんなに入れたら胃が痛くなると思うんですけど、大丈夫なんですかね」
回転寿司チェーンでパートをしている岡部卓也さん(仮名42歳)も、こうした“大量摂取”をするお客さんをよく見かけるとのこと。
「お茶のパックを湯呑からあふれるほど入れるとか、ガリを全部食べてしまうとか……。
あと、たまにあるのが、ワサビを大量に取って、お寿司に乗せて、『罰ゲーム』といいながら我慢比べをしてるグループですね。一気に食べてムセてしまって、テーブルやレーンに盛大に米粒を吐き飛ばしたお客さんもいました。さすがにお店側に謝罪してきましたけど、こちらが入念に清掃・消毒しなくちゃいけないので、本当に迷惑でしたね」
食べ放題の焼き肉チェーンで働く穐田勝利さん(仮名33歳)は、「食べ残し」に関するトラブルによく遭遇するという。「過度な食べ残しは追加料金をいただくルールになってるんだけど、それを意識して、取りすぎた食材をひたすら網で焼いて焦がしたり、網の下の水が溜まっている部分にわざと落としたりするんだよ。ヒドいお客さんだと、その辺の椅子の隙間に詰め込んで隠したり……。そのまま残してもらったほうがよっぽどマシだね」 昨今の飲食業界は人手不足もあり、客席まで目が届かないことが多い。それを補うために導入が増えている「配膳ロボット」に対してもイタズラする客が増えていると、ファミリーレストランでアルバイトをする藤田謙一さん(仮名36歳)は言う。「配膳ロボットの導入当初は、もの珍しさもあって、わざと進路に立ちはだかる子供とかいましたね。あと、ロボットが隣の卓に運ぶ料理を勝手に取って食べてしまうお客さんもいました。『間違えた』と言ってましたけど、信じられないですよね……」 そして、飲食業にはつきものとさえ思える、「お客様は神様」思想の、大声でクレームをつける客も、いまだに多いという。そんな客に悩まされたと話すのは、ファミレスのパート歴4年の早坂美香さん(仮名39歳)。「いつも深夜にやってくる、40代後半くらいの女性のお客様がいました。多い時は週5くらいのペースで来られるのでアルバイトの顔ぶれも知り尽くしていて、新人が入ると『そこのキミ、ここ汚れてるんだけど』などとアラ捜しをしては、何かとクレームをつけてくるんです。最初はみんな素直に従うんですけど、あまりにも毎回小言を言われるのでだんだん面倒になり、適当にあしらうようになっていって……」 あるとき、その「小言クレーム」が、早坂さんを直撃した。「私が彼女のいる隣のテーブルを片付けていたら、『あなたもいつも深夜に働いてるわね。そんなにお金ないの?』と話しかけてきました。私は思わずカッときて、『関係ないですよね!』と言い返してしまったんです。すると『なによその態度は!』と怒り出し、あとはひたすら『謝れ!』と詰めてくるので、ひたすら無視し続けました。 その後、本社にクレームが入ったそうですが、彼女のこれまでの迷惑行為はすでに報告済みだったため、逆に彼女が出禁になりました」爪切り持参で爪を切りだした客 怒り出すクレーム客よりも恐ろしいのは、静かなる迷惑客かもしれない。チェーン系の喫茶店で働いている林田美奈さん(仮名20歳)は、常連客の行為に辟易としたという。「朝の時間帯は、地域のお年寄りが多いんです。その中で、いつも朝9時くらいの決まった時間に来られて、同じモーニングセットを食べる60代くらいのお客さまがいたんですが、その日はなにかコソコソしていた。様子を見に行くと、紙ナプキンを敷いて、そこに手を広げて爪を切っていたんです。毎日通っていて、もう自宅感覚なのかもしれないですが、くつろぎ過ぎないでほしいですよね」コーヒーショップに警察官が そして、もはや客ですらない迷惑客に遭遇した、サラリーマンの島貫覚さん(仮名33歳)の目撃談だ。「テイクアウト目的でコーヒーショップに入ったら、男性の怒号が響いていました。その声のほうを見ると、赤いジャージを着た恰幅のいい男性が、ふたりの警官に囲まれていたんです。 不思議に思っていたら、男性が『だからさあ! こっちは待ち合わせしてて、落ち着いたら注文しようと思ってたんだよ!』と、まるで店内にいる客全員に聞いてほしい、というような大声で怒鳴り、警察官のほうも、『でも1時間はやりすぎでしょ』とかぶせるように説明してくれたので、何が起きているのかがわかりました。 軽い気持ちだったのかもしれないですが、オーダーなしで滞在しつづけると警察沙汰になるんだなと思いました」 なぜかどこにでも現れる迷惑客たち。まずは、自分がそのお店の従業員だと思って「こういうことはされたくない」ことを考え、それをやらない。そんな想像力が必要とされているようだ。(清談社)
食べ放題の焼き肉チェーンで働く穐田勝利さん(仮名33歳)は、「食べ残し」に関するトラブルによく遭遇するという。
「過度な食べ残しは追加料金をいただくルールになってるんだけど、それを意識して、取りすぎた食材をひたすら網で焼いて焦がしたり、網の下の水が溜まっている部分にわざと落としたりするんだよ。ヒドいお客さんだと、その辺の椅子の隙間に詰め込んで隠したり……。そのまま残してもらったほうがよっぽどマシだね」
昨今の飲食業界は人手不足もあり、客席まで目が届かないことが多い。それを補うために導入が増えている「配膳ロボット」に対してもイタズラする客が増えていると、ファミリーレストランでアルバイトをする藤田謙一さん(仮名36歳)は言う。
「配膳ロボットの導入当初は、もの珍しさもあって、わざと進路に立ちはだかる子供とかいましたね。あと、ロボットが隣の卓に運ぶ料理を勝手に取って食べてしまうお客さんもいました。『間違えた』と言ってましたけど、信じられないですよね……」
そして、飲食業にはつきものとさえ思える、「お客様は神様」思想の、大声でクレームをつける客も、いまだに多いという。そんな客に悩まされたと話すのは、ファミレスのパート歴4年の早坂美香さん(仮名39歳)。
「いつも深夜にやってくる、40代後半くらいの女性のお客様がいました。多い時は週5くらいのペースで来られるのでアルバイトの顔ぶれも知り尽くしていて、新人が入ると『そこのキミ、ここ汚れてるんだけど』などとアラ捜しをしては、何かとクレームをつけてくるんです。最初はみんな素直に従うんですけど、あまりにも毎回小言を言われるのでだんだん面倒になり、適当にあしらうようになっていって……」
あるとき、その「小言クレーム」が、早坂さんを直撃した。
「私が彼女のいる隣のテーブルを片付けていたら、『あなたもいつも深夜に働いてるわね。そんなにお金ないの?』と話しかけてきました。私は思わずカッときて、『関係ないですよね!』と言い返してしまったんです。すると『なによその態度は!』と怒り出し、あとはひたすら『謝れ!』と詰めてくるので、ひたすら無視し続けました。
その後、本社にクレームが入ったそうですが、彼女のこれまでの迷惑行為はすでに報告済みだったため、逆に彼女が出禁になりました」
怒り出すクレーム客よりも恐ろしいのは、静かなる迷惑客かもしれない。チェーン系の喫茶店で働いている林田美奈さん(仮名20歳)は、常連客の行為に辟易としたという。
「朝の時間帯は、地域のお年寄りが多いんです。その中で、いつも朝9時くらいの決まった時間に来られて、同じモーニングセットを食べる60代くらいのお客さまがいたんですが、その日はなにかコソコソしていた。様子を見に行くと、紙ナプキンを敷いて、そこに手を広げて爪を切っていたんです。毎日通っていて、もう自宅感覚なのかもしれないですが、くつろぎ過ぎないでほしいですよね」
そして、もはや客ですらない迷惑客に遭遇した、サラリーマンの島貫覚さん(仮名33歳)の目撃談だ。
「テイクアウト目的でコーヒーショップに入ったら、男性の怒号が響いていました。その声のほうを見ると、赤いジャージを着た恰幅のいい男性が、ふたりの警官に囲まれていたんです。
不思議に思っていたら、男性が『だからさあ! こっちは待ち合わせしてて、落ち着いたら注文しようと思ってたんだよ!』と、まるで店内にいる客全員に聞いてほしい、というような大声で怒鳴り、警察官のほうも、『でも1時間はやりすぎでしょ』とかぶせるように説明してくれたので、何が起きているのかがわかりました。
軽い気持ちだったのかもしれないですが、オーダーなしで滞在しつづけると警察沙汰になるんだなと思いました」
なぜかどこにでも現れる迷惑客たち。まずは、自分がそのお店の従業員だと思って「こういうことはされたくない」ことを考え、それをやらない。そんな想像力が必要とされているようだ。
(清談社)