性被害に遭った人たちを支援する「性暴力被害者支援センター・ひょうご」(兵庫県尼崎市)が4月、設立から10年を迎える。寄せられる相談件数は年々増加傾向にあり、被害の低年齢化も進んでいる。理事で産婦人科医の田口奈緒さん(53)は「被害者をサポートする一方で、性教育などの予防啓発にも力を入れたい」と話す。
性風俗で望まぬ妊娠 NPO風テラス「一人で悩まず相談を」 センターは2013年、神戸市西区の産婦人科内に、県内で初めての病院拠点型ワンストップ支援センターとして開設。女性だけでなく、子どもや男性の被害に対応するため、虐待対応に力を入れていた県立塚口病院(当時)と連携し、拠点を尼崎市に移した。15年には県立尼崎総合医療センター内に移設し、カウンセリング施設の紹介や来所相談など支援を続けてきた。NPOの認証を取得し、現在は看護師や助産師などの支援員8人が対応にあたる。

センターへの相談は右肩上がりの増加が続く。13年度に185件だった電話相談は、23年3月20日時点で447件あり、23年度は過去最多となる見込み。それでも田口さんは「被害者が『性暴力』と認識していない場合も多く、支援につながるのは氷山の一角だ」と指摘する。 SNS(ネット交流サービス)を利用した未成年の性的搾取も深刻化している。警察庁によると、SNSに起因する18歳未満の子どもの被害は全国で1732件(22年)で、このうち児童買春や児童ポルノの被害は979件で最も多かった。田口さんによると、SNSで知り合った男性から性被害を受けた女性からの相談もあるという。また、子ども間の性暴力も増え、被害の低年齢化が進んでいる。 センターでは開設時から県内外の小学校や幼稚園に足を運び、性教育に力を入れている。教育現場で性被害が起きた場合の対応を考える教員向けの研修を実施したことで、近年は学校や児童福祉施設からの被害相談も増えてきた。田口さんは「被害をなくすためには、幼児期から性についてオープンに話せる環境作りが重要。今後も予防啓発に尽力したい」と話している。 電話相談は06・6480・1155(土日祝日を除く午前9時半~午後4時半)。【中田敦子】
センターは2013年、神戸市西区の産婦人科内に、県内で初めての病院拠点型ワンストップ支援センターとして開設。女性だけでなく、子どもや男性の被害に対応するため、虐待対応に力を入れていた県立塚口病院(当時)と連携し、拠点を尼崎市に移した。15年には県立尼崎総合医療センター内に移設し、カウンセリング施設の紹介や来所相談など支援を続けてきた。NPOの認証を取得し、現在は看護師や助産師などの支援員8人が対応にあたる。
センターへの相談は右肩上がりの増加が続く。13年度に185件だった電話相談は、23年3月20日時点で447件あり、23年度は過去最多となる見込み。それでも田口さんは「被害者が『性暴力』と認識していない場合も多く、支援につながるのは氷山の一角だ」と指摘する。
SNS(ネット交流サービス)を利用した未成年の性的搾取も深刻化している。警察庁によると、SNSに起因する18歳未満の子どもの被害は全国で1732件(22年)で、このうち児童買春や児童ポルノの被害は979件で最も多かった。田口さんによると、SNSで知り合った男性から性被害を受けた女性からの相談もあるという。また、子ども間の性暴力も増え、被害の低年齢化が進んでいる。
センターでは開設時から県内外の小学校や幼稚園に足を運び、性教育に力を入れている。教育現場で性被害が起きた場合の対応を考える教員向けの研修を実施したことで、近年は学校や児童福祉施設からの被害相談も増えてきた。田口さんは「被害をなくすためには、幼児期から性についてオープンに話せる環境作りが重要。今後も予防啓発に尽力したい」と話している。
電話相談は06・6480・1155(土日祝日を除く午前9時半~午後4時半)。【中田敦子】