「私の同級生で、胃がんになった人が二人います。一人は胃を全摘出することになり、食事をするのに大きな制限ができてしまった。一方、もう一人は3分の2切除で済み、リハビリをして食べられるようになりました。
症状や進行が違うため比較は難しいですが、病院の実績や、医者の知見で手術の内容が決まった可能性もある。保険診療で治療費は変わらないからどこの病院に行っても同じ、どの医者でも似たような治療が受けられるなどと考えてはいけないのです」(医療コンサルタント・五十嵐淳哉氏)
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医者や病院を選ぶことは、言葉通り「命にかかわる問題」だ。ではどうやって「危ない病院」「ダメな医者」を見分けていけばいいのか。今回、医療関係者だけでなく実際に病院に通う人々の声を元に「患者目線」のチェックリストを作成した。当てはまる項目が多いほど、その病院は危ないと言っていいだろう。身近な「クリニック」から見ていこう。若くて美人な受付はNG「銀座のような1.家賃が高い一等地にあるクリニックは、最終的に自由診療に誘導することで利益を得ているケースが珍しくありません。『もっと効果のある治療がある』と言われ、高額な治療を受けさせられるのです。特に皮膚科や歯科は注意したほうがいいでしょう」(医療コーディネーター・三田はやと氏)看板にも注目してほしい。それほど医師がいないのに、「内科・循環器科・呼吸器科・外科・心臓血管外科」などと、2.4個以上の診療科目を掲げているクリニックには要注意だ。順天堂大学附属順天堂医院、膠原病リウマチ内科助教の金子俊之氏は語る。Photo by gettyimages 「日本の法律では、医者はどの科目でも診療することができます。たとえば私はリウマチの専門医ですが、皮膚科や小児科の看板を掲げることもできてしまうのです。しかし現代医療は細分化が進み、情報をアップデートし続けないと適切な治療ができません。大げさな言い方ではなく、専門医から見れば『殺人レベル』の治療をする非専門医もいます」玄関まわりにもチェックポイントがある。4.植栽が雑草だらけで荒れているのは、経営に余裕がなく、手が回っていない証。実は7.スリッパを履かせるのも、皮膚感染を引き起こすリスクを高めるため望ましくない。クリニックに入ったら受付を確認しよう。11.受付が若くて美人ばかりだと、気をつけたほうがいい。「集客力を上げるために、容姿だけでスタッフを採用している可能性があるからです。実際、私もある医者が『顔さえ良ければ知識なんてなくていいんだよ』と豪語するのを耳にしたことがあります。本来、事故やトラブルを防ぐには知識あるスタッフが必要なんですが」(前出・三田氏)受付横に12.健康食品やサプリを陳列している、というのも商売っ気が強い病院の共通点だ。制服がなく13.病院スタッフの服装がバラバラというクリニックは「金欠」が疑われる。「待合室に15.置かれている雑誌が古いのも、病院経営がうまくいっていない証拠です。人件費はなかなか減らせない以上、こうしたところから経費を削減しているのです」(医療経済ジャーナリスト・室井一辰氏)英語の証書は怪しいこのように待合室にはチェックポイントが多くある。本誌の取材では、「同じ曜日、同じ時間に通っているのに看護師が違う。小さいクリニックなのに大丈夫?」(70代・女性)という声が聞かれた。17.行くたびに看護師が違うということは、次々に人が辞めている恐れがあり危険だ。「19.目立つ位置に英語の証書を飾っている病院もありますが、翻訳してみると単に『講習会に参加した』と書いてあるだけということも珍しくありません。権威づけでやっているのかもしれませんが、腕に自信がある医者ならそんなことはしないはずです」(麻酔科医・筒井冨美氏)現地で細かいところを見なくても、ネットで口コミを調べればいいのではないかと思う人もいるかもしれない。しかしネットの評判を鵜呑みにするのは危険だと、専門家たちは口を揃える。「ネットに評判を書くのは基本的に不満がある人だけです。良い対応をされた人が書き込むことは少ない。また、悪口が目につきやすいこともあります」(前出・五十嵐氏)「サクラを雇って高評価を水増しする病院もあります」(前出・筒井氏)Photo by gettyimages 29.ネット上の評判がやけに良い病院は、疑ってかかるべきだろう。その他、クリニックを見分ける方法30項目は下の表にまとめた。チェックの数が多いほど、ダメなクリニックだと考えてほしい。 31~60は、「大病院」のチェックリストになっている。手術や入院をする分、大病院のほうはより選び方が重要になってくる。大きい病院であれば医者や看護師もたくさんいて、充実した医療が受けられる―実はこうした考え自体が勘違いだ。「常勤医がたくさんいるように見えても、実は週に3日程度しか出勤していないケースがあります。10時間程度の勤務を週3回、計32時間働けば、その病院の常勤医扱いになるのです。たとえば肺炎で入院していて呼吸器内科の常勤医がいると思っていたのに、実際は週3日しか病院にいないこともあります。何か異変があった時に、自分の病状を知る医者がいないという事態が大病院では起きうるのです」(前出・五十嵐氏)「常勤」なのにいない医者31.「常勤の専門医」が病院にいない日が多いのは非常に危険だ。次回の予約をする際に「○○先生は来週、どれくらい出勤されますか?」などと尋ねてみて、専門医が本当の意味で「常勤」なのかを確かめておきたい。転勤がある公立病院や大学病院に多いケースとして、32.診察・執刀・術後で担当医師がコロコロ変わるのも患者にとっては不安材料だ。病院によっては「二人主治医制」をとっており、身近なクリニックのかかりつけ医と大病院の執刀医が情報共有してくれる。大きな手術を受けるなら、こうした制度が用意されているかも確認しておきたい。Photo by iStock いざ手術をするとしても、34.「手術件数」がホームページで公表されていない病院は避けたい。手術の技量は経験で決まる部分が大きい。医者はもちろん、オペに参加するチームが熟練しているほうが安心だ。とはいえ、症例を増やすために35.なんでも手術しようとする病院も考えものだ。「たとえば食道がんなら、本来は切除手術以外に、化学療法と放射線の併用という選択肢もあります。しかし切除が得意な病院では、そのまま手術をする流れになってしまう場合があるのです。どちらを選んでも5年生存率に大差ないという研究結果もあるのですが、治療後の生活は大きく変わります。手術をしたくないと思うなら、下手に手術実績が多い病院を選ばないほうがいいでしょう」(前出・五十嵐氏)やたらと36.患者を入院させようとする病院もある。だが前出の室井氏は、こうした病院は避けたほうがいいと警鐘を鳴らす。「糖尿病の人に生活改善のための『教育入院』を勧めたり、日帰りでできる白内障の手術前後に『念のため』で何日も入院させたりして、病院は利益を稼ごうとします。しかし本来は不要な入院であり、無駄なカネが出ていくだけだと考えたほうがいいでしょう」受付周りから分かるキケン大病院でも、受付の様子を見ることが重要なのは変わらない。「会計で長蛇の列ができていて辟易する」(70代・男性)という声に共感する人も多いだろう。だが、39.会計の自動精算機の前に大行列ができている病院ばかりではない。最近では「後払いアプリ」が導入され、クレジットカードを登録すれば会計に並ぶ必要がない大病院が増えている。新しい仕組みや設備を導入する余裕がないということは、経営的な厳しさの兆候である可能性もある。病院内を行き来する看護師にも着目してほしい。ポイントは、年齢が偏っていないかどうか。41.病院のどこに行っても「若い看護師」ばかりだったり、反対に42.「ベテラン看護師」しかいない病院は危険だ。ベテランが辞めていき経験のない若手しかいなくなった、またはベテランが利権を握っており若手が入ってこない状態に陥っている可能性がある。ほかにも43.看護師がせかせかしており、余裕がなさそうだったり、45.貼ってあるポスターが古い病院では、「目に見えない危機」が進行していることを疑ったほうがいい。トイレが汚い病院は危険度が高いというのは、多くの人が思うことだろう。それに加えて、一歩踏み込んだ「衛生対策」ができているかどうかもチェックしたほうがいい。47.トイレの「清掃記録」がつけられていない、48.照明、便座が「センサータイプ」ではない、49.手洗い場に「ペーパータオル」がない、50.手洗い場の蛇口が「手回し式」になっている……この4つにすべて当てはまる病院は、衛生面に不安があると言わざるをえない。いつ院内感染が発生してもおかしくないだろう。56.「食堂のメニュー」が美味しくないところも要注意だ。「病院の食堂は不味い」という先入観を抱きがちだが、近頃は改善を重ねて美味しい食堂を実現した病院も増えている。昔ながらの暗くて質素な食堂を続けている病院は、そこまで気を配る余裕をなくしていると考えていいだろう。「検査で通っている病院の58.エスカレーターの速度が速く、乗りにくい」(80代・女性)という声もあった。病院によっては、エスカレーターは分速20mほどに調整され、水平になるステップ部分も2倍程度増やしている。しかし、患者への気配りができていない病院では一般的なエスカレーターと同じ分速30mに設定されている。今後、年齢を重ねてから病院に来ることを考えると、「ちょっと遅いな」と感じる速度のエスカレーターがある病院のほうが安心できる。 大病院についても31~60のチェックリストを記入すれば、危険度が判定できる。自分の命を守るために、安心できる病院を見つけよう。ここまでは危険なクリニックや大病院の特徴について述べてきた。【後編】「「ステージ4の癌から生還することもあるが」…患者のことを考えない“主治医にしてはいけない”医者の見分け方」では危険な医者の特徴について述べる。併せてご覧頂きたい。
医者や病院を選ぶことは、言葉通り「命にかかわる問題」だ。ではどうやって「危ない病院」「ダメな医者」を見分けていけばいいのか。
今回、医療関係者だけでなく実際に病院に通う人々の声を元に「患者目線」のチェックリストを作成した。当てはまる項目が多いほど、その病院は危ないと言っていいだろう。身近な「クリニック」から見ていこう。
「銀座のような1.家賃が高い一等地にあるクリニックは、最終的に自由診療に誘導することで利益を得ているケースが珍しくありません。『もっと効果のある治療がある』と言われ、高額な治療を受けさせられるのです。特に皮膚科や歯科は注意したほうがいいでしょう」(医療コーディネーター・三田はやと氏)
看板にも注目してほしい。それほど医師がいないのに、「内科・循環器科・呼吸器科・外科・心臓血管外科」などと、2.4個以上の診療科目を掲げているクリニックには要注意だ。順天堂大学附属順天堂医院、膠原病リウマチ内科助教の金子俊之氏は語る。
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「日本の法律では、医者はどの科目でも診療することができます。たとえば私はリウマチの専門医ですが、皮膚科や小児科の看板を掲げることもできてしまうのです。しかし現代医療は細分化が進み、情報をアップデートし続けないと適切な治療ができません。大げさな言い方ではなく、専門医から見れば『殺人レベル』の治療をする非専門医もいます」玄関まわりにもチェックポイントがある。4.植栽が雑草だらけで荒れているのは、経営に余裕がなく、手が回っていない証。実は7.スリッパを履かせるのも、皮膚感染を引き起こすリスクを高めるため望ましくない。クリニックに入ったら受付を確認しよう。11.受付が若くて美人ばかりだと、気をつけたほうがいい。「集客力を上げるために、容姿だけでスタッフを採用している可能性があるからです。実際、私もある医者が『顔さえ良ければ知識なんてなくていいんだよ』と豪語するのを耳にしたことがあります。本来、事故やトラブルを防ぐには知識あるスタッフが必要なんですが」(前出・三田氏)受付横に12.健康食品やサプリを陳列している、というのも商売っ気が強い病院の共通点だ。制服がなく13.病院スタッフの服装がバラバラというクリニックは「金欠」が疑われる。「待合室に15.置かれている雑誌が古いのも、病院経営がうまくいっていない証拠です。人件費はなかなか減らせない以上、こうしたところから経費を削減しているのです」(医療経済ジャーナリスト・室井一辰氏)英語の証書は怪しいこのように待合室にはチェックポイントが多くある。本誌の取材では、「同じ曜日、同じ時間に通っているのに看護師が違う。小さいクリニックなのに大丈夫?」(70代・女性)という声が聞かれた。17.行くたびに看護師が違うということは、次々に人が辞めている恐れがあり危険だ。「19.目立つ位置に英語の証書を飾っている病院もありますが、翻訳してみると単に『講習会に参加した』と書いてあるだけということも珍しくありません。権威づけでやっているのかもしれませんが、腕に自信がある医者ならそんなことはしないはずです」(麻酔科医・筒井冨美氏)現地で細かいところを見なくても、ネットで口コミを調べればいいのではないかと思う人もいるかもしれない。しかしネットの評判を鵜呑みにするのは危険だと、専門家たちは口を揃える。「ネットに評判を書くのは基本的に不満がある人だけです。良い対応をされた人が書き込むことは少ない。また、悪口が目につきやすいこともあります」(前出・五十嵐氏)「サクラを雇って高評価を水増しする病院もあります」(前出・筒井氏)Photo by gettyimages 29.ネット上の評判がやけに良い病院は、疑ってかかるべきだろう。その他、クリニックを見分ける方法30項目は下の表にまとめた。チェックの数が多いほど、ダメなクリニックだと考えてほしい。 31~60は、「大病院」のチェックリストになっている。手術や入院をする分、大病院のほうはより選び方が重要になってくる。大きい病院であれば医者や看護師もたくさんいて、充実した医療が受けられる―実はこうした考え自体が勘違いだ。「常勤医がたくさんいるように見えても、実は週に3日程度しか出勤していないケースがあります。10時間程度の勤務を週3回、計32時間働けば、その病院の常勤医扱いになるのです。たとえば肺炎で入院していて呼吸器内科の常勤医がいると思っていたのに、実際は週3日しか病院にいないこともあります。何か異変があった時に、自分の病状を知る医者がいないという事態が大病院では起きうるのです」(前出・五十嵐氏)「常勤」なのにいない医者31.「常勤の専門医」が病院にいない日が多いのは非常に危険だ。次回の予約をする際に「○○先生は来週、どれくらい出勤されますか?」などと尋ねてみて、専門医が本当の意味で「常勤」なのかを確かめておきたい。転勤がある公立病院や大学病院に多いケースとして、32.診察・執刀・術後で担当医師がコロコロ変わるのも患者にとっては不安材料だ。病院によっては「二人主治医制」をとっており、身近なクリニックのかかりつけ医と大病院の執刀医が情報共有してくれる。大きな手術を受けるなら、こうした制度が用意されているかも確認しておきたい。Photo by iStock いざ手術をするとしても、34.「手術件数」がホームページで公表されていない病院は避けたい。手術の技量は経験で決まる部分が大きい。医者はもちろん、オペに参加するチームが熟練しているほうが安心だ。とはいえ、症例を増やすために35.なんでも手術しようとする病院も考えものだ。「たとえば食道がんなら、本来は切除手術以外に、化学療法と放射線の併用という選択肢もあります。しかし切除が得意な病院では、そのまま手術をする流れになってしまう場合があるのです。どちらを選んでも5年生存率に大差ないという研究結果もあるのですが、治療後の生活は大きく変わります。手術をしたくないと思うなら、下手に手術実績が多い病院を選ばないほうがいいでしょう」(前出・五十嵐氏)やたらと36.患者を入院させようとする病院もある。だが前出の室井氏は、こうした病院は避けたほうがいいと警鐘を鳴らす。「糖尿病の人に生活改善のための『教育入院』を勧めたり、日帰りでできる白内障の手術前後に『念のため』で何日も入院させたりして、病院は利益を稼ごうとします。しかし本来は不要な入院であり、無駄なカネが出ていくだけだと考えたほうがいいでしょう」受付周りから分かるキケン大病院でも、受付の様子を見ることが重要なのは変わらない。「会計で長蛇の列ができていて辟易する」(70代・男性)という声に共感する人も多いだろう。だが、39.会計の自動精算機の前に大行列ができている病院ばかりではない。最近では「後払いアプリ」が導入され、クレジットカードを登録すれば会計に並ぶ必要がない大病院が増えている。新しい仕組みや設備を導入する余裕がないということは、経営的な厳しさの兆候である可能性もある。病院内を行き来する看護師にも着目してほしい。ポイントは、年齢が偏っていないかどうか。41.病院のどこに行っても「若い看護師」ばかりだったり、反対に42.「ベテラン看護師」しかいない病院は危険だ。ベテランが辞めていき経験のない若手しかいなくなった、またはベテランが利権を握っており若手が入ってこない状態に陥っている可能性がある。ほかにも43.看護師がせかせかしており、余裕がなさそうだったり、45.貼ってあるポスターが古い病院では、「目に見えない危機」が進行していることを疑ったほうがいい。トイレが汚い病院は危険度が高いというのは、多くの人が思うことだろう。それに加えて、一歩踏み込んだ「衛生対策」ができているかどうかもチェックしたほうがいい。47.トイレの「清掃記録」がつけられていない、48.照明、便座が「センサータイプ」ではない、49.手洗い場に「ペーパータオル」がない、50.手洗い場の蛇口が「手回し式」になっている……この4つにすべて当てはまる病院は、衛生面に不安があると言わざるをえない。いつ院内感染が発生してもおかしくないだろう。56.「食堂のメニュー」が美味しくないところも要注意だ。「病院の食堂は不味い」という先入観を抱きがちだが、近頃は改善を重ねて美味しい食堂を実現した病院も増えている。昔ながらの暗くて質素な食堂を続けている病院は、そこまで気を配る余裕をなくしていると考えていいだろう。「検査で通っている病院の58.エスカレーターの速度が速く、乗りにくい」(80代・女性)という声もあった。病院によっては、エスカレーターは分速20mほどに調整され、水平になるステップ部分も2倍程度増やしている。しかし、患者への気配りができていない病院では一般的なエスカレーターと同じ分速30mに設定されている。今後、年齢を重ねてから病院に来ることを考えると、「ちょっと遅いな」と感じる速度のエスカレーターがある病院のほうが安心できる。 大病院についても31~60のチェックリストを記入すれば、危険度が判定できる。自分の命を守るために、安心できる病院を見つけよう。ここまでは危険なクリニックや大病院の特徴について述べてきた。【後編】「「ステージ4の癌から生還することもあるが」…患者のことを考えない“主治医にしてはいけない”医者の見分け方」では危険な医者の特徴について述べる。併せてご覧頂きたい。
「日本の法律では、医者はどの科目でも診療することができます。たとえば私はリウマチの専門医ですが、皮膚科や小児科の看板を掲げることもできてしまうのです。
しかし現代医療は細分化が進み、情報をアップデートし続けないと適切な治療ができません。大げさな言い方ではなく、専門医から見れば『殺人レベル』の治療をする非専門医もいます」
玄関まわりにもチェックポイントがある。4.植栽が雑草だらけで荒れているのは、経営に余裕がなく、手が回っていない証。実は7.スリッパを履かせるのも、皮膚感染を引き起こすリスクを高めるため望ましくない。
クリニックに入ったら受付を確認しよう。11.受付が若くて美人ばかりだと、気をつけたほうがいい。
「集客力を上げるために、容姿だけでスタッフを採用している可能性があるからです。実際、私もある医者が『顔さえ良ければ知識なんてなくていいんだよ』と豪語するのを耳にしたことがあります。本来、事故やトラブルを防ぐには知識あるスタッフが必要なんですが」(前出・三田氏)
受付横に12.健康食品やサプリを陳列している、というのも商売っ気が強い病院の共通点だ。
制服がなく13.病院スタッフの服装がバラバラというクリニックは「金欠」が疑われる。
「待合室に15.置かれている雑誌が古いのも、病院経営がうまくいっていない証拠です。人件費はなかなか減らせない以上、こうしたところから経費を削減しているのです」(医療経済ジャーナリスト・室井一辰氏)
このように待合室にはチェックポイントが多くある。本誌の取材では、「同じ曜日、同じ時間に通っているのに看護師が違う。小さいクリニックなのに大丈夫?」(70代・女性)という声が聞かれた。17.行くたびに看護師が違うということは、次々に人が辞めている恐れがあり危険だ。
「19.目立つ位置に英語の証書を飾っている病院もありますが、翻訳してみると単に『講習会に参加した』と書いてあるだけということも珍しくありません。権威づけでやっているのかもしれませんが、腕に自信がある医者ならそんなことはしないはずです」(麻酔科医・筒井冨美氏)
現地で細かいところを見なくても、ネットで口コミを調べればいいのではないかと思う人もいるかもしれない。しかしネットの評判を鵜呑みにするのは危険だと、専門家たちは口を揃える。
「ネットに評判を書くのは基本的に不満がある人だけです。良い対応をされた人が書き込むことは少ない。また、悪口が目につきやすいこともあります」(前出・五十嵐氏)「サクラを雇って高評価を水増しする病院もあります」(前出・筒井氏)
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29.ネット上の評判がやけに良い病院は、疑ってかかるべきだろう。その他、クリニックを見分ける方法30項目は下の表にまとめた。チェックの数が多いほど、ダメなクリニックだと考えてほしい。 31~60は、「大病院」のチェックリストになっている。手術や入院をする分、大病院のほうはより選び方が重要になってくる。大きい病院であれば医者や看護師もたくさんいて、充実した医療が受けられる―実はこうした考え自体が勘違いだ。「常勤医がたくさんいるように見えても、実は週に3日程度しか出勤していないケースがあります。10時間程度の勤務を週3回、計32時間働けば、その病院の常勤医扱いになるのです。たとえば肺炎で入院していて呼吸器内科の常勤医がいると思っていたのに、実際は週3日しか病院にいないこともあります。何か異変があった時に、自分の病状を知る医者がいないという事態が大病院では起きうるのです」(前出・五十嵐氏)「常勤」なのにいない医者31.「常勤の専門医」が病院にいない日が多いのは非常に危険だ。次回の予約をする際に「○○先生は来週、どれくらい出勤されますか?」などと尋ねてみて、専門医が本当の意味で「常勤」なのかを確かめておきたい。転勤がある公立病院や大学病院に多いケースとして、32.診察・執刀・術後で担当医師がコロコロ変わるのも患者にとっては不安材料だ。病院によっては「二人主治医制」をとっており、身近なクリニックのかかりつけ医と大病院の執刀医が情報共有してくれる。大きな手術を受けるなら、こうした制度が用意されているかも確認しておきたい。Photo by iStock いざ手術をするとしても、34.「手術件数」がホームページで公表されていない病院は避けたい。手術の技量は経験で決まる部分が大きい。医者はもちろん、オペに参加するチームが熟練しているほうが安心だ。とはいえ、症例を増やすために35.なんでも手術しようとする病院も考えものだ。「たとえば食道がんなら、本来は切除手術以外に、化学療法と放射線の併用という選択肢もあります。しかし切除が得意な病院では、そのまま手術をする流れになってしまう場合があるのです。どちらを選んでも5年生存率に大差ないという研究結果もあるのですが、治療後の生活は大きく変わります。手術をしたくないと思うなら、下手に手術実績が多い病院を選ばないほうがいいでしょう」(前出・五十嵐氏)やたらと36.患者を入院させようとする病院もある。だが前出の室井氏は、こうした病院は避けたほうがいいと警鐘を鳴らす。「糖尿病の人に生活改善のための『教育入院』を勧めたり、日帰りでできる白内障の手術前後に『念のため』で何日も入院させたりして、病院は利益を稼ごうとします。しかし本来は不要な入院であり、無駄なカネが出ていくだけだと考えたほうがいいでしょう」受付周りから分かるキケン大病院でも、受付の様子を見ることが重要なのは変わらない。「会計で長蛇の列ができていて辟易する」(70代・男性)という声に共感する人も多いだろう。だが、39.会計の自動精算機の前に大行列ができている病院ばかりではない。最近では「後払いアプリ」が導入され、クレジットカードを登録すれば会計に並ぶ必要がない大病院が増えている。新しい仕組みや設備を導入する余裕がないということは、経営的な厳しさの兆候である可能性もある。病院内を行き来する看護師にも着目してほしい。ポイントは、年齢が偏っていないかどうか。41.病院のどこに行っても「若い看護師」ばかりだったり、反対に42.「ベテラン看護師」しかいない病院は危険だ。ベテランが辞めていき経験のない若手しかいなくなった、またはベテランが利権を握っており若手が入ってこない状態に陥っている可能性がある。ほかにも43.看護師がせかせかしており、余裕がなさそうだったり、45.貼ってあるポスターが古い病院では、「目に見えない危機」が進行していることを疑ったほうがいい。トイレが汚い病院は危険度が高いというのは、多くの人が思うことだろう。それに加えて、一歩踏み込んだ「衛生対策」ができているかどうかもチェックしたほうがいい。47.トイレの「清掃記録」がつけられていない、48.照明、便座が「センサータイプ」ではない、49.手洗い場に「ペーパータオル」がない、50.手洗い場の蛇口が「手回し式」になっている……この4つにすべて当てはまる病院は、衛生面に不安があると言わざるをえない。いつ院内感染が発生してもおかしくないだろう。56.「食堂のメニュー」が美味しくないところも要注意だ。「病院の食堂は不味い」という先入観を抱きがちだが、近頃は改善を重ねて美味しい食堂を実現した病院も増えている。昔ながらの暗くて質素な食堂を続けている病院は、そこまで気を配る余裕をなくしていると考えていいだろう。「検査で通っている病院の58.エスカレーターの速度が速く、乗りにくい」(80代・女性)という声もあった。病院によっては、エスカレーターは分速20mほどに調整され、水平になるステップ部分も2倍程度増やしている。しかし、患者への気配りができていない病院では一般的なエスカレーターと同じ分速30mに設定されている。今後、年齢を重ねてから病院に来ることを考えると、「ちょっと遅いな」と感じる速度のエスカレーターがある病院のほうが安心できる。 大病院についても31~60のチェックリストを記入すれば、危険度が判定できる。自分の命を守るために、安心できる病院を見つけよう。ここまでは危険なクリニックや大病院の特徴について述べてきた。【後編】「「ステージ4の癌から生還することもあるが」…患者のことを考えない“主治医にしてはいけない”医者の見分け方」では危険な医者の特徴について述べる。併せてご覧頂きたい。
29.ネット上の評判がやけに良い病院は、疑ってかかるべきだろう。
その他、クリニックを見分ける方法30項目は下の表にまとめた。チェックの数が多いほど、ダメなクリニックだと考えてほしい。
31~60は、「大病院」のチェックリストになっている。手術や入院をする分、大病院のほうはより選び方が重要になってくる。大きい病院であれば医者や看護師もたくさんいて、充実した医療が受けられる―実はこうした考え自体が勘違いだ。「常勤医がたくさんいるように見えても、実は週に3日程度しか出勤していないケースがあります。10時間程度の勤務を週3回、計32時間働けば、その病院の常勤医扱いになるのです。たとえば肺炎で入院していて呼吸器内科の常勤医がいると思っていたのに、実際は週3日しか病院にいないこともあります。何か異変があった時に、自分の病状を知る医者がいないという事態が大病院では起きうるのです」(前出・五十嵐氏)「常勤」なのにいない医者31.「常勤の専門医」が病院にいない日が多いのは非常に危険だ。次回の予約をする際に「○○先生は来週、どれくらい出勤されますか?」などと尋ねてみて、専門医が本当の意味で「常勤」なのかを確かめておきたい。転勤がある公立病院や大学病院に多いケースとして、32.診察・執刀・術後で担当医師がコロコロ変わるのも患者にとっては不安材料だ。病院によっては「二人主治医制」をとっており、身近なクリニックのかかりつけ医と大病院の執刀医が情報共有してくれる。大きな手術を受けるなら、こうした制度が用意されているかも確認しておきたい。Photo by iStock いざ手術をするとしても、34.「手術件数」がホームページで公表されていない病院は避けたい。手術の技量は経験で決まる部分が大きい。医者はもちろん、オペに参加するチームが熟練しているほうが安心だ。とはいえ、症例を増やすために35.なんでも手術しようとする病院も考えものだ。「たとえば食道がんなら、本来は切除手術以外に、化学療法と放射線の併用という選択肢もあります。しかし切除が得意な病院では、そのまま手術をする流れになってしまう場合があるのです。どちらを選んでも5年生存率に大差ないという研究結果もあるのですが、治療後の生活は大きく変わります。手術をしたくないと思うなら、下手に手術実績が多い病院を選ばないほうがいいでしょう」(前出・五十嵐氏)やたらと36.患者を入院させようとする病院もある。だが前出の室井氏は、こうした病院は避けたほうがいいと警鐘を鳴らす。「糖尿病の人に生活改善のための『教育入院』を勧めたり、日帰りでできる白内障の手術前後に『念のため』で何日も入院させたりして、病院は利益を稼ごうとします。しかし本来は不要な入院であり、無駄なカネが出ていくだけだと考えたほうがいいでしょう」受付周りから分かるキケン大病院でも、受付の様子を見ることが重要なのは変わらない。「会計で長蛇の列ができていて辟易する」(70代・男性)という声に共感する人も多いだろう。だが、39.会計の自動精算機の前に大行列ができている病院ばかりではない。最近では「後払いアプリ」が導入され、クレジットカードを登録すれば会計に並ぶ必要がない大病院が増えている。新しい仕組みや設備を導入する余裕がないということは、経営的な厳しさの兆候である可能性もある。病院内を行き来する看護師にも着目してほしい。ポイントは、年齢が偏っていないかどうか。41.病院のどこに行っても「若い看護師」ばかりだったり、反対に42.「ベテラン看護師」しかいない病院は危険だ。ベテランが辞めていき経験のない若手しかいなくなった、またはベテランが利権を握っており若手が入ってこない状態に陥っている可能性がある。ほかにも43.看護師がせかせかしており、余裕がなさそうだったり、45.貼ってあるポスターが古い病院では、「目に見えない危機」が進行していることを疑ったほうがいい。トイレが汚い病院は危険度が高いというのは、多くの人が思うことだろう。それに加えて、一歩踏み込んだ「衛生対策」ができているかどうかもチェックしたほうがいい。47.トイレの「清掃記録」がつけられていない、48.照明、便座が「センサータイプ」ではない、49.手洗い場に「ペーパータオル」がない、50.手洗い場の蛇口が「手回し式」になっている……この4つにすべて当てはまる病院は、衛生面に不安があると言わざるをえない。いつ院内感染が発生してもおかしくないだろう。56.「食堂のメニュー」が美味しくないところも要注意だ。「病院の食堂は不味い」という先入観を抱きがちだが、近頃は改善を重ねて美味しい食堂を実現した病院も増えている。昔ながらの暗くて質素な食堂を続けている病院は、そこまで気を配る余裕をなくしていると考えていいだろう。「検査で通っている病院の58.エスカレーターの速度が速く、乗りにくい」(80代・女性)という声もあった。病院によっては、エスカレーターは分速20mほどに調整され、水平になるステップ部分も2倍程度増やしている。しかし、患者への気配りができていない病院では一般的なエスカレーターと同じ分速30mに設定されている。今後、年齢を重ねてから病院に来ることを考えると、「ちょっと遅いな」と感じる速度のエスカレーターがある病院のほうが安心できる。 大病院についても31~60のチェックリストを記入すれば、危険度が判定できる。自分の命を守るために、安心できる病院を見つけよう。ここまでは危険なクリニックや大病院の特徴について述べてきた。【後編】「「ステージ4の癌から生還することもあるが」…患者のことを考えない“主治医にしてはいけない”医者の見分け方」では危険な医者の特徴について述べる。併せてご覧頂きたい。
31~60は、「大病院」のチェックリストになっている。手術や入院をする分、大病院のほうはより選び方が重要になってくる。大きい病院であれば医者や看護師もたくさんいて、充実した医療が受けられる―実はこうした考え自体が勘違いだ。「常勤医がたくさんいるように見えても、実は週に3日程度しか出勤していないケースがあります。10時間程度の勤務を週3回、計32時間働けば、その病院の常勤医扱いになるのです。たとえば肺炎で入院していて呼吸器内科の常勤医がいると思っていたのに、実際は週3日しか病院にいないこともあります。何か異変があった時に、自分の病状を知る医者がいないという事態が大病院では起きうるのです」(前出・五十嵐氏)「常勤」なのにいない医者31.「常勤の専門医」が病院にいない日が多いのは非常に危険だ。次回の予約をする際に「○○先生は来週、どれくらい出勤されますか?」などと尋ねてみて、専門医が本当の意味で「常勤」なのかを確かめておきたい。転勤がある公立病院や大学病院に多いケースとして、32.診察・執刀・術後で担当医師がコロコロ変わるのも患者にとっては不安材料だ。病院によっては「二人主治医制」をとっており、身近なクリニックのかかりつけ医と大病院の執刀医が情報共有してくれる。大きな手術を受けるなら、こうした制度が用意されているかも確認しておきたい。Photo by iStock いざ手術をするとしても、34.「手術件数」がホームページで公表されていない病院は避けたい。手術の技量は経験で決まる部分が大きい。医者はもちろん、オペに参加するチームが熟練しているほうが安心だ。とはいえ、症例を増やすために35.なんでも手術しようとする病院も考えものだ。「たとえば食道がんなら、本来は切除手術以外に、化学療法と放射線の併用という選択肢もあります。しかし切除が得意な病院では、そのまま手術をする流れになってしまう場合があるのです。どちらを選んでも5年生存率に大差ないという研究結果もあるのですが、治療後の生活は大きく変わります。手術をしたくないと思うなら、下手に手術実績が多い病院を選ばないほうがいいでしょう」(前出・五十嵐氏)やたらと36.患者を入院させようとする病院もある。だが前出の室井氏は、こうした病院は避けたほうがいいと警鐘を鳴らす。「糖尿病の人に生活改善のための『教育入院』を勧めたり、日帰りでできる白内障の手術前後に『念のため』で何日も入院させたりして、病院は利益を稼ごうとします。しかし本来は不要な入院であり、無駄なカネが出ていくだけだと考えたほうがいいでしょう」受付周りから分かるキケン大病院でも、受付の様子を見ることが重要なのは変わらない。「会計で長蛇の列ができていて辟易する」(70代・男性)という声に共感する人も多いだろう。だが、39.会計の自動精算機の前に大行列ができている病院ばかりではない。最近では「後払いアプリ」が導入され、クレジットカードを登録すれば会計に並ぶ必要がない大病院が増えている。新しい仕組みや設備を導入する余裕がないということは、経営的な厳しさの兆候である可能性もある。病院内を行き来する看護師にも着目してほしい。ポイントは、年齢が偏っていないかどうか。41.病院のどこに行っても「若い看護師」ばかりだったり、反対に42.「ベテラン看護師」しかいない病院は危険だ。ベテランが辞めていき経験のない若手しかいなくなった、またはベテランが利権を握っており若手が入ってこない状態に陥っている可能性がある。ほかにも43.看護師がせかせかしており、余裕がなさそうだったり、45.貼ってあるポスターが古い病院では、「目に見えない危機」が進行していることを疑ったほうがいい。トイレが汚い病院は危険度が高いというのは、多くの人が思うことだろう。それに加えて、一歩踏み込んだ「衛生対策」ができているかどうかもチェックしたほうがいい。47.トイレの「清掃記録」がつけられていない、48.照明、便座が「センサータイプ」ではない、49.手洗い場に「ペーパータオル」がない、50.手洗い場の蛇口が「手回し式」になっている……この4つにすべて当てはまる病院は、衛生面に不安があると言わざるをえない。いつ院内感染が発生してもおかしくないだろう。56.「食堂のメニュー」が美味しくないところも要注意だ。「病院の食堂は不味い」という先入観を抱きがちだが、近頃は改善を重ねて美味しい食堂を実現した病院も増えている。昔ながらの暗くて質素な食堂を続けている病院は、そこまで気を配る余裕をなくしていると考えていいだろう。「検査で通っている病院の58.エスカレーターの速度が速く、乗りにくい」(80代・女性)という声もあった。病院によっては、エスカレーターは分速20mほどに調整され、水平になるステップ部分も2倍程度増やしている。しかし、患者への気配りができていない病院では一般的なエスカレーターと同じ分速30mに設定されている。今後、年齢を重ねてから病院に来ることを考えると、「ちょっと遅いな」と感じる速度のエスカレーターがある病院のほうが安心できる。 大病院についても31~60のチェックリストを記入すれば、危険度が判定できる。自分の命を守るために、安心できる病院を見つけよう。ここまでは危険なクリニックや大病院の特徴について述べてきた。【後編】「「ステージ4の癌から生還することもあるが」…患者のことを考えない“主治医にしてはいけない”医者の見分け方」では危険な医者の特徴について述べる。併せてご覧頂きたい。
31~60は、「大病院」のチェックリストになっている。手術や入院をする分、大病院のほうはより選び方が重要になってくる。大きい病院であれば医者や看護師もたくさんいて、充実した医療が受けられる―実はこうした考え自体が勘違いだ。「常勤医がたくさんいるように見えても、実は週に3日程度しか出勤していないケースがあります。10時間程度の勤務を週3回、計32時間働けば、その病院の常勤医扱いになるのです。たとえば肺炎で入院していて呼吸器内科の常勤医がいると思っていたのに、実際は週3日しか病院にいないこともあります。何か異変があった時に、自分の病状を知る医者がいないという事態が大病院では起きうるのです」(前出・五十嵐氏)「常勤」なのにいない医者31.「常勤の専門医」が病院にいない日が多いのは非常に危険だ。次回の予約をする際に「○○先生は来週、どれくらい出勤されますか?」などと尋ねてみて、専門医が本当の意味で「常勤」なのかを確かめておきたい。転勤がある公立病院や大学病院に多いケースとして、32.診察・執刀・術後で担当医師がコロコロ変わるのも患者にとっては不安材料だ。病院によっては「二人主治医制」をとっており、身近なクリニックのかかりつけ医と大病院の執刀医が情報共有してくれる。大きな手術を受けるなら、こうした制度が用意されているかも確認しておきたい。Photo by iStock いざ手術をするとしても、34.「手術件数」がホームページで公表されていない病院は避けたい。手術の技量は経験で決まる部分が大きい。医者はもちろん、オペに参加するチームが熟練しているほうが安心だ。とはいえ、症例を増やすために35.なんでも手術しようとする病院も考えものだ。「たとえば食道がんなら、本来は切除手術以外に、化学療法と放射線の併用という選択肢もあります。しかし切除が得意な病院では、そのまま手術をする流れになってしまう場合があるのです。どちらを選んでも5年生存率に大差ないという研究結果もあるのですが、治療後の生活は大きく変わります。手術をしたくないと思うなら、下手に手術実績が多い病院を選ばないほうがいいでしょう」(前出・五十嵐氏)やたらと36.患者を入院させようとする病院もある。だが前出の室井氏は、こうした病院は避けたほうがいいと警鐘を鳴らす。「糖尿病の人に生活改善のための『教育入院』を勧めたり、日帰りでできる白内障の手術前後に『念のため』で何日も入院させたりして、病院は利益を稼ごうとします。しかし本来は不要な入院であり、無駄なカネが出ていくだけだと考えたほうがいいでしょう」受付周りから分かるキケン大病院でも、受付の様子を見ることが重要なのは変わらない。「会計で長蛇の列ができていて辟易する」(70代・男性)という声に共感する人も多いだろう。だが、39.会計の自動精算機の前に大行列ができている病院ばかりではない。最近では「後払いアプリ」が導入され、クレジットカードを登録すれば会計に並ぶ必要がない大病院が増えている。新しい仕組みや設備を導入する余裕がないということは、経営的な厳しさの兆候である可能性もある。病院内を行き来する看護師にも着目してほしい。ポイントは、年齢が偏っていないかどうか。41.病院のどこに行っても「若い看護師」ばかりだったり、反対に42.「ベテラン看護師」しかいない病院は危険だ。ベテランが辞めていき経験のない若手しかいなくなった、またはベテランが利権を握っており若手が入ってこない状態に陥っている可能性がある。ほかにも43.看護師がせかせかしており、余裕がなさそうだったり、45.貼ってあるポスターが古い病院では、「目に見えない危機」が進行していることを疑ったほうがいい。トイレが汚い病院は危険度が高いというのは、多くの人が思うことだろう。それに加えて、一歩踏み込んだ「衛生対策」ができているかどうかもチェックしたほうがいい。47.トイレの「清掃記録」がつけられていない、48.照明、便座が「センサータイプ」ではない、49.手洗い場に「ペーパータオル」がない、50.手洗い場の蛇口が「手回し式」になっている……この4つにすべて当てはまる病院は、衛生面に不安があると言わざるをえない。いつ院内感染が発生してもおかしくないだろう。56.「食堂のメニュー」が美味しくないところも要注意だ。「病院の食堂は不味い」という先入観を抱きがちだが、近頃は改善を重ねて美味しい食堂を実現した病院も増えている。昔ながらの暗くて質素な食堂を続けている病院は、そこまで気を配る余裕をなくしていると考えていいだろう。「検査で通っている病院の58.エスカレーターの速度が速く、乗りにくい」(80代・女性)という声もあった。病院によっては、エスカレーターは分速20mほどに調整され、水平になるステップ部分も2倍程度増やしている。しかし、患者への気配りができていない病院では一般的なエスカレーターと同じ分速30mに設定されている。今後、年齢を重ねてから病院に来ることを考えると、「ちょっと遅いな」と感じる速度のエスカレーターがある病院のほうが安心できる。 大病院についても31~60のチェックリストを記入すれば、危険度が判定できる。自分の命を守るために、安心できる病院を見つけよう。ここまでは危険なクリニックや大病院の特徴について述べてきた。【後編】「「ステージ4の癌から生還することもあるが」…患者のことを考えない“主治医にしてはいけない”医者の見分け方」では危険な医者の特徴について述べる。併せてご覧頂きたい。
31~60は、「大病院」のチェックリストになっている。手術や入院をする分、大病院のほうはより選び方が重要になってくる。
大きい病院であれば医者や看護師もたくさんいて、充実した医療が受けられる―実はこうした考え自体が勘違いだ。
「常勤医がたくさんいるように見えても、実は週に3日程度しか出勤していないケースがあります。10時間程度の勤務を週3回、計32時間働けば、その病院の常勤医扱いになるのです。
たとえば肺炎で入院していて呼吸器内科の常勤医がいると思っていたのに、実際は週3日しか病院にいないこともあります。何か異変があった時に、自分の病状を知る医者がいないという事態が大病院では起きうるのです」(前出・五十嵐氏)
31.「常勤の専門医」が病院にいない日が多いのは非常に危険だ。次回の予約をする際に「○○先生は来週、どれくらい出勤されますか?」などと尋ねてみて、専門医が本当の意味で「常勤」なのかを確かめておきたい。
転勤がある公立病院や大学病院に多いケースとして、32.診察・執刀・術後で担当医師がコロコロ変わるのも患者にとっては不安材料だ。病院によっては「二人主治医制」をとっており、身近なクリニックのかかりつけ医と大病院の執刀医が情報共有してくれる。大きな手術を受けるなら、こうした制度が用意されているかも確認しておきたい。
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いざ手術をするとしても、34.「手術件数」がホームページで公表されていない病院は避けたい。手術の技量は経験で決まる部分が大きい。医者はもちろん、オペに参加するチームが熟練しているほうが安心だ。とはいえ、症例を増やすために35.なんでも手術しようとする病院も考えものだ。「たとえば食道がんなら、本来は切除手術以外に、化学療法と放射線の併用という選択肢もあります。しかし切除が得意な病院では、そのまま手術をする流れになってしまう場合があるのです。どちらを選んでも5年生存率に大差ないという研究結果もあるのですが、治療後の生活は大きく変わります。手術をしたくないと思うなら、下手に手術実績が多い病院を選ばないほうがいいでしょう」(前出・五十嵐氏)やたらと36.患者を入院させようとする病院もある。だが前出の室井氏は、こうした病院は避けたほうがいいと警鐘を鳴らす。「糖尿病の人に生活改善のための『教育入院』を勧めたり、日帰りでできる白内障の手術前後に『念のため』で何日も入院させたりして、病院は利益を稼ごうとします。しかし本来は不要な入院であり、無駄なカネが出ていくだけだと考えたほうがいいでしょう」受付周りから分かるキケン大病院でも、受付の様子を見ることが重要なのは変わらない。「会計で長蛇の列ができていて辟易する」(70代・男性)という声に共感する人も多いだろう。だが、39.会計の自動精算機の前に大行列ができている病院ばかりではない。最近では「後払いアプリ」が導入され、クレジットカードを登録すれば会計に並ぶ必要がない大病院が増えている。新しい仕組みや設備を導入する余裕がないということは、経営的な厳しさの兆候である可能性もある。病院内を行き来する看護師にも着目してほしい。ポイントは、年齢が偏っていないかどうか。41.病院のどこに行っても「若い看護師」ばかりだったり、反対に42.「ベテラン看護師」しかいない病院は危険だ。ベテランが辞めていき経験のない若手しかいなくなった、またはベテランが利権を握っており若手が入ってこない状態に陥っている可能性がある。ほかにも43.看護師がせかせかしており、余裕がなさそうだったり、45.貼ってあるポスターが古い病院では、「目に見えない危機」が進行していることを疑ったほうがいい。トイレが汚い病院は危険度が高いというのは、多くの人が思うことだろう。それに加えて、一歩踏み込んだ「衛生対策」ができているかどうかもチェックしたほうがいい。47.トイレの「清掃記録」がつけられていない、48.照明、便座が「センサータイプ」ではない、49.手洗い場に「ペーパータオル」がない、50.手洗い場の蛇口が「手回し式」になっている……この4つにすべて当てはまる病院は、衛生面に不安があると言わざるをえない。いつ院内感染が発生してもおかしくないだろう。56.「食堂のメニュー」が美味しくないところも要注意だ。「病院の食堂は不味い」という先入観を抱きがちだが、近頃は改善を重ねて美味しい食堂を実現した病院も増えている。昔ながらの暗くて質素な食堂を続けている病院は、そこまで気を配る余裕をなくしていると考えていいだろう。「検査で通っている病院の58.エスカレーターの速度が速く、乗りにくい」(80代・女性)という声もあった。病院によっては、エスカレーターは分速20mほどに調整され、水平になるステップ部分も2倍程度増やしている。しかし、患者への気配りができていない病院では一般的なエスカレーターと同じ分速30mに設定されている。今後、年齢を重ねてから病院に来ることを考えると、「ちょっと遅いな」と感じる速度のエスカレーターがある病院のほうが安心できる。 大病院についても31~60のチェックリストを記入すれば、危険度が判定できる。自分の命を守るために、安心できる病院を見つけよう。ここまでは危険なクリニックや大病院の特徴について述べてきた。【後編】「「ステージ4の癌から生還することもあるが」…患者のことを考えない“主治医にしてはいけない”医者の見分け方」では危険な医者の特徴について述べる。併せてご覧頂きたい。
いざ手術をするとしても、34.「手術件数」がホームページで公表されていない病院は避けたい。手術の技量は経験で決まる部分が大きい。医者はもちろん、オペに参加するチームが熟練しているほうが安心だ。
とはいえ、症例を増やすために35.なんでも手術しようとする病院も考えものだ。
「たとえば食道がんなら、本来は切除手術以外に、化学療法と放射線の併用という選択肢もあります。しかし切除が得意な病院では、そのまま手術をする流れになってしまう場合があるのです。
どちらを選んでも5年生存率に大差ないという研究結果もあるのですが、治療後の生活は大きく変わります。手術をしたくないと思うなら、下手に手術実績が多い病院を選ばないほうがいいでしょう」(前出・五十嵐氏)
やたらと36.患者を入院させようとする病院もある。だが前出の室井氏は、こうした病院は避けたほうがいいと警鐘を鳴らす。
「糖尿病の人に生活改善のための『教育入院』を勧めたり、日帰りでできる白内障の手術前後に『念のため』で何日も入院させたりして、病院は利益を稼ごうとします。しかし本来は不要な入院であり、無駄なカネが出ていくだけだと考えたほうがいいでしょう」
大病院でも、受付の様子を見ることが重要なのは変わらない。「会計で長蛇の列ができていて辟易する」(70代・男性)という声に共感する人も多いだろう。だが、39.会計の自動精算機の前に大行列ができている病院ばかりではない。
最近では「後払いアプリ」が導入され、クレジットカードを登録すれば会計に並ぶ必要がない大病院が増えている。新しい仕組みや設備を導入する余裕がないということは、経営的な厳しさの兆候である可能性もある。
病院内を行き来する看護師にも着目してほしい。ポイントは、年齢が偏っていないかどうか。41.病院のどこに行っても「若い看護師」ばかりだったり、反対に42.「ベテラン看護師」しかいない病院は危険だ。ベテランが辞めていき経験のない若手しかいなくなった、またはベテランが利権を握っており若手が入ってこない状態に陥っている可能性がある。
ほかにも43.看護師がせかせかしており、余裕がなさそうだったり、45.貼ってあるポスターが古い病院では、「目に見えない危機」が進行していることを疑ったほうがいい。
トイレが汚い病院は危険度が高いというのは、多くの人が思うことだろう。それに加えて、一歩踏み込んだ「衛生対策」ができているかどうかもチェックしたほうがいい。47.トイレの「清掃記録」がつけられていない、48.照明、便座が「センサータイプ」ではない、49.手洗い場に「ペーパータオル」がない、50.手洗い場の蛇口が「手回し式」になっている……この4つにすべて当てはまる病院は、衛生面に不安があると言わざるをえない。いつ院内感染が発生してもおかしくないだろう。
56.「食堂のメニュー」が美味しくないところも要注意だ。「病院の食堂は不味い」という先入観を抱きがちだが、近頃は改善を重ねて美味しい食堂を実現した病院も増えている。昔ながらの暗くて質素な食堂を続けている病院は、そこまで気を配る余裕をなくしていると考えていいだろう。
「検査で通っている病院の58.エスカレーターの速度が速く、乗りにくい」(80代・女性)という声もあった。病院によっては、エスカレーターは分速20mほどに調整され、水平になるステップ部分も2倍程度増やしている。
しかし、患者への気配りができていない病院では一般的なエスカレーターと同じ分速30mに設定されている。今後、年齢を重ねてから病院に来ることを考えると、「ちょっと遅いな」と感じる速度のエスカレーターがある病院のほうが安心できる。
大病院についても31~60のチェックリストを記入すれば、危険度が判定できる。自分の命を守るために、安心できる病院を見つけよう。ここまでは危険なクリニックや大病院の特徴について述べてきた。【後編】「「ステージ4の癌から生還することもあるが」…患者のことを考えない“主治医にしてはいけない”医者の見分け方」では危険な医者の特徴について述べる。併せてご覧頂きたい。
大病院についても31~60のチェックリストを記入すれば、危険度が判定できる。自分の命を守るために、安心できる病院を見つけよう。ここまでは危険なクリニックや大病院の特徴について述べてきた。【後編】「「ステージ4の癌から生還することもあるが」…患者のことを考えない“主治医にしてはいけない”医者の見分け方」では危険な医者の特徴について述べる。併せてご覧頂きたい。
大病院についても31~60のチェックリストを記入すれば、危険度が判定できる。自分の命を守るために、安心できる病院を見つけよう。
ここまでは危険なクリニックや大病院の特徴について述べてきた。【後編】「「ステージ4の癌から生還することもあるが」…患者のことを考えない“主治医にしてはいけない”医者の見分け方」では危険な医者の特徴について述べる。併せてご覧頂きたい。