1都3県で、60回以上のひったくりを繰り返していたとされる48歳の男。別の特殊詐欺事件にも関与していた他、薬物事件への関与も疑われるなど、警視庁の捜査により、”悪事のオンパレード”が明らかになった。
東京・江戸川区の無職・大島智幸容疑者(48)は、去年10月22日午前0時すぎ、港区新橋の路上で、37歳の女性に、バイクで後ろから近づき、現金およそ5万円が入ったトートバッグをひったくった疑いが持たれている。逮捕容疑は窃盗。
今月3日、愛宕警察署から送検された大島容疑者は、警察車両に乗り込む際、報道カメラに向かって、「俺を撮っているのか?」とも受け取れるジェスチャーを見せた。
事件当時、被害者の女性は、食事をした後、知人とともに、近くの神社に向かって歩いていたという。そして、右手に持っていたトートバッグを、大島容疑者にひったくられたとのこと。女性にケガはなかった。
大島容疑者は、去年1月から、同じようなひったくり事件を66件繰り返していたとみられている(都内25件、千葉24件、埼玉14件、神奈川3件)。被害は、現金がおよそ378万円、盗まれたバッグ・財布などの被害が335万円相当。
さらに、大島容疑者は、盗んだ財布などの中に入っていたキャッシュカードを使って、ATMで現金を引き出していたという。その被害が7件確認され、合わせておよそ391万円が引き出されていた。一連のひったくり事件の被害は、合わせて1000万円を超えることになる。
盗んだキャッシュカードで現金を引き出す際、暗証番号については、財布の中にある身分証から、誕生日などを把握し、ATMで入力していたとみられる。しかし、暗証番号の入力を複数回、間違えると、カード自体が、ATMに吸い込まれてしまうことになる。
そこで、大島容疑者は、盗んだバッグの中にスマホが入っている場合、インストールされているアプリに、暗証番号とみられる数字を入力して、確認していたとみられている。キャッシュカードとアプリの暗証番号が同じだったり、似ているケースが多かったようだ。
大島容疑者は、犯行を繰り返していくうちに、暗証番号の割り出し方を習得していったとみられている。また、ひったくりには、複数の盗難バイクを使っていたという。
そんな中、去年5月31日に、中央区内で発生したひったくり事件で、大島容疑者が捜査線上に浮上。警視庁捜査三課が、行動確認に乗り出したところ、10月28日、大島容疑者が、特殊詐欺事件に関与している場面に出くわし、詐欺未遂の現行犯で逮捕したのだった。
この日、大島容疑者は、受け子の見張り役をしていたという(処分保留)。また、この際に、覚醒剤を所持していたことから、覚醒剤取締法違反の疑いで再逮捕(不起訴)。さらに、墨田区内と中央区内で起きたひったくり事件でも再逮捕を重ねた(起訴済み)。
ひったくり事件、現金引き出し、特殊詐欺事件、覚醒剤所持、盗難バイクと、まさに”悪事のオンパレード”と言える。新橋で起きたひったくり事件は5回目の逮捕となったが、調べに対して大島容疑者は、「前のことで覚えていない」と容疑を否認している。
なお、大島容疑者が、特殊詐欺事件にも関与していたことから、ひったくり事件についても、組織的な犯行が疑われたが、いずれも単独犯だったという。捜査三課は、今後も、余罪を追及する方針だ。