将棋の渡辺明棋王(38)=名人=に藤井聡太五冠(20)=竜王、王位、叡王、王将、棋聖=が挑戦している第48期棋王戦五番勝負第3局が5日、新潟市の「新潟グランドホテル」で指され、逆転に次ぐ逆転の末、後手の渡辺が174手で勝ち、対戦成績を1勝2敗とした。カド番に追い込まれた棋王が逆襲の1勝。藤井のタイトル戦先手番勝利を10で止めるとともに、自身のタイトル戦での藤井戦連敗記録も10で止めた。
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棋王11連覇を目指す渡辺は「良くなったところはあったのですが、そのあと寄せ合いというか…詰められて、だいぶ追い込まれてしまったので負けになってても(おかしくない)という感じでした」と激闘を振り返った。
終局後の感想戦では、藤井に渡辺玉が詰んでいたことを指摘され、「え、詰んでたんですか」と驚いた様子だった。
渡辺の対藤井戦はこの日を含めて3勝15敗だが、勝った3勝はいずれも後手番。王将戦を戦っている羽生も藤井の先手番には手こずっているだけに、今後につながる大きな1勝となった。「ひとつ返すことができたので、また次からも目の前の一局をやっていきたいと思います」。先手番の第4局に勝ってタイに持ち込めば、勝負の行方はまだ分からない。