警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、住宅の防犯について。
【写真】暴力団幹部が「危ない」と指摘する外開きのドア * * * 全国各地で強盗事件が相次いでいる。「ルフィ」とされる指示役らが日本に強制送還され逮捕されても、収まる気配はない。狙われているのは、都市近郊の住宅地や地方の閑静な住宅街にある一軒家が多いようだ。「日本はもともとカギをかける文化がなかった。玄関にカギはかけても、夏の夜は網戸をつけて、窓は開けっぱなし。昔はご近所づきあいがあり、ほとんどの家がカギをかけていなかった。出かける時もカギをかけず、ちょっと出かけてきますからとご近所に声をかければすんだ。ご近所の目が防犯だったのに、そういう付き合いも希薄になった」と語るのは、若い衆の中にはタタキ(強盗)で捕まった過去を持つ者もいるという、ある暴力団組織の幹部だ。

「日本人は他の国と違って何事にも性善説だ。だから宅配便が来たら、疑わずに、いとも簡単にドアを開けてしまう人が多い。防犯意識の根本が他の国と違う。自動販売機がいい例だ。はじめから盗る人はいないだろうという考えのもとに、ああいう物が作られ、日本国中どこにでも置かれている。日本人は黙ってお金を入れて、出てきた物だけを持っていくとね。海外ならまず、作ったら壊される。道端に置いたら取られる、盗まれると考える」(暴力団幹部) 自販機については、暴力団の元組長もこんな話をしていた。「ひと昔前。中国人もロシア人もガーナ人もバングラディシュ人も、来日して初めて自販機が外に置かれているのを見た時、オレに『ああやって置いていて大丈夫なのか。日本人は誰も持っていかないのか』と訝しんだ。中国人からやってきた犯罪グループの一人は、『日本は道端に貯金箱を置いている』と驚いていた。彼らにとっては、盗ってくれと言わんばかりに見えたようだ」と苦笑いしていた。 日本人なら、泥棒は自販機の中にある金を盗むのだろうと思いやすいが、そうではないと元組長はいう。「中から金を盗れなければ、盗む物は何でもいい。中に入っている飲み物でもいい。あの当時、外国から来日していたやんちゃなヤツにとって、何かを盗めればよかったんだ。それもできなければ、自販機ごと運ぶだけだ」という。「日本人はもともと防犯意識が甘い」と前出した暴力団幹部は言葉に力を込める。「押し込みみたいなものはないだろうというのが前提の文化。だから高齢者ほど、カギをかけたらそれで安心。塀を高くしたからそれで安全と思い込む。だが海外に比べて日本の家は、泥棒に入られやすい。地震は想定しても、泥棒を想定して家を作っていない。窓のそばに雨どいがあるのがいい例だ。泥棒に入ってくれと言わんばかりの構造だろう」 泥棒が窓から侵入する際、雨どいを足場にする可能性は高いという。これが暴力団組員であれば、他からの襲撃や警察の家宅捜索、ガサ入れから逃げる時の足場になるらしい。玄関ドアは「内開き」か「外開き」か「もっとわかりやすいのが玄関のドアだ。日本の家のドアは”外開き”が多い。だが海外は圧倒的に”内開き”だ」と話す。日本は玄関で靴を脱ぐという習慣があるため、家のドアは外開きが多いといわれている。昔ながらの家なら横開きの引き戸だ。しかし防犯上、外開きは危険だと幹部は言う。「強盗でもなんでも、無理やりドアから入ってこようとしたら、ドアの内側に逃げられるし、全体重をかけてドアを押し戻し、閉めることもできる。家具を何か置いて侵入を防げるし、いざとなれば中に籠城することもできる。だが日本にはそういう発想がない。外側に開けば、チェーンをかけていても、ドアチェーン用カッターで切られれば、それで終わり。ドアノブを掴んだだけでは引っ張られる力に抗えない。海外から来たヤツらは最初、外開きのドアを見てびっくりする」(暴力団幹部) なぜこんな話を暴力団幹部らに聞いたかといえば、実は彼らは防犯意識が高いのだ。タタキに入るような者がいるからではない。問題が起これば対抗勢力からの襲撃に備え、抗争が起きれば24時間体制を組み、警戒を怠らない。警察の急なガサ入れにも常に準備しておかなければならないからだ。「事務所のドアが外開きだと、警察が来た時、簡単にチェーンを切って中に入られてしまう。逃走するわずかな時間すら確保できない。抗争相手が押し入ってきても、それを阻止することもできない」という幹部は、「ホテルのドアは火災の時、避難する人の邪魔にならないよう内開きになっているというが、誰が宿泊するか、出入りするかわからないのがホテルだ。防犯対策もあるだろう」「ただし」と幹部は付け加えた。「内開きのドアは、ドアを開けようとした時、後ろに立たれたら逃げられない。内開きにしろ、外開きにしろ、ドアを開ける時はきちんと確認することが必要だ。カギをかけていてもやられる時はやられるが、一番の防犯はやはり人の目。これに勝るものはない」(暴力団幹部)。
* * * 全国各地で強盗事件が相次いでいる。「ルフィ」とされる指示役らが日本に強制送還され逮捕されても、収まる気配はない。狙われているのは、都市近郊の住宅地や地方の閑静な住宅街にある一軒家が多いようだ。
「日本はもともとカギをかける文化がなかった。玄関にカギはかけても、夏の夜は網戸をつけて、窓は開けっぱなし。昔はご近所づきあいがあり、ほとんどの家がカギをかけていなかった。出かける時もカギをかけず、ちょっと出かけてきますからとご近所に声をかければすんだ。ご近所の目が防犯だったのに、そういう付き合いも希薄になった」と語るのは、若い衆の中にはタタキ(強盗)で捕まった過去を持つ者もいるという、ある暴力団組織の幹部だ。
「日本人は他の国と違って何事にも性善説だ。だから宅配便が来たら、疑わずに、いとも簡単にドアを開けてしまう人が多い。防犯意識の根本が他の国と違う。自動販売機がいい例だ。はじめから盗る人はいないだろうという考えのもとに、ああいう物が作られ、日本国中どこにでも置かれている。日本人は黙ってお金を入れて、出てきた物だけを持っていくとね。海外ならまず、作ったら壊される。道端に置いたら取られる、盗まれると考える」(暴力団幹部)
自販機については、暴力団の元組長もこんな話をしていた。「ひと昔前。中国人もロシア人もガーナ人もバングラディシュ人も、来日して初めて自販機が外に置かれているのを見た時、オレに『ああやって置いていて大丈夫なのか。日本人は誰も持っていかないのか』と訝しんだ。中国人からやってきた犯罪グループの一人は、『日本は道端に貯金箱を置いている』と驚いていた。彼らにとっては、盗ってくれと言わんばかりに見えたようだ」と苦笑いしていた。
日本人なら、泥棒は自販機の中にある金を盗むのだろうと思いやすいが、そうではないと元組長はいう。「中から金を盗れなければ、盗む物は何でもいい。中に入っている飲み物でもいい。あの当時、外国から来日していたやんちゃなヤツにとって、何かを盗めればよかったんだ。それもできなければ、自販機ごと運ぶだけだ」という。
「日本人はもともと防犯意識が甘い」と前出した暴力団幹部は言葉に力を込める。「押し込みみたいなものはないだろうというのが前提の文化。だから高齢者ほど、カギをかけたらそれで安心。塀を高くしたからそれで安全と思い込む。だが海外に比べて日本の家は、泥棒に入られやすい。地震は想定しても、泥棒を想定して家を作っていない。窓のそばに雨どいがあるのがいい例だ。泥棒に入ってくれと言わんばかりの構造だろう」 泥棒が窓から侵入する際、雨どいを足場にする可能性は高いという。これが暴力団組員であれば、他からの襲撃や警察の家宅捜索、ガサ入れから逃げる時の足場になるらしい。
「もっとわかりやすいのが玄関のドアだ。日本の家のドアは”外開き”が多い。だが海外は圧倒的に”内開き”だ」と話す。日本は玄関で靴を脱ぐという習慣があるため、家のドアは外開きが多いといわれている。昔ながらの家なら横開きの引き戸だ。しかし防犯上、外開きは危険だと幹部は言う。
「強盗でもなんでも、無理やりドアから入ってこようとしたら、ドアの内側に逃げられるし、全体重をかけてドアを押し戻し、閉めることもできる。家具を何か置いて侵入を防げるし、いざとなれば中に籠城することもできる。だが日本にはそういう発想がない。外側に開けば、チェーンをかけていても、ドアチェーン用カッターで切られれば、それで終わり。ドアノブを掴んだだけでは引っ張られる力に抗えない。海外から来たヤツらは最初、外開きのドアを見てびっくりする」(暴力団幹部)
なぜこんな話を暴力団幹部らに聞いたかといえば、実は彼らは防犯意識が高いのだ。タタキに入るような者がいるからではない。問題が起これば対抗勢力からの襲撃に備え、抗争が起きれば24時間体制を組み、警戒を怠らない。警察の急なガサ入れにも常に準備しておかなければならないからだ。
「事務所のドアが外開きだと、警察が来た時、簡単にチェーンを切って中に入られてしまう。逃走するわずかな時間すら確保できない。抗争相手が押し入ってきても、それを阻止することもできない」という幹部は、「ホテルのドアは火災の時、避難する人の邪魔にならないよう内開きになっているというが、誰が宿泊するか、出入りするかわからないのがホテルだ。防犯対策もあるだろう」
「ただし」と幹部は付け加えた。「内開きのドアは、ドアを開けようとした時、後ろに立たれたら逃げられない。内開きにしろ、外開きにしろ、ドアを開ける時はきちんと確認することが必要だ。カギをかけていてもやられる時はやられるが、一番の防犯はやはり人の目。これに勝るものはない」(暴力団幹部)。