不法滞在中の外国人が入管施設で長期収容されている問題の解消を図るため、政府は7日、入管法改正案を閣議決定した。2021年に国会に提出して廃案となった旧改正案を大筋で維持しつつ、3カ月ごとに入管が収容の要否を判断する規定を新設するなどの修正を加えた。斎藤健法相は閣議後の記者会見で「現行入管法下の課題を一体的に解決するための改正だ。旧改正案へのさまざまな指摘を真摯(しんし)に受け止め、修正すべき点は修正をした」と述べた。
入管法改正の狙いは送還忌避、長期収容解消 人権軽視の批判も 今回の改正案は旧改正案と同様に、長期収容中の外国人を強制送還しやすくする見直しが柱。現行では難民認定申請中の外国人は送還されないが、送還停止となる申請を原則2回までに改める。また、過去に航空機内で暴れて送還を妨害したことがある外国人らを対象に罰則付きの退去命令制度を設ける。 送還まで施設に収容する原則を改め、支援者らから「監理人」を選んで、その監督下で暮らしてもらいながら送還手続きを進める「監理措置」も旧改正案とほぼ同じ形で盛り込んだ。 さらに、人道上の危機にある外国人を日本に受け入れる仕組みも整備し、戦争や紛争から逃れてきた人たちを難民条約上の「難民」と同等に保護する制度の導入案も維持した。 一方、旧改正案に対する反対意見があったことから、内容を一部変更した。「外国人の人権を守るため、入管施設での収容期間に上限を設けるべきだ」との意見を踏まえ、3カ月ごとに各地の入管が収容の要否を見極め、収容を継続する場合は出入国在留管理庁の判断を仰ぐとした。収容か監理措置かの判断に当たっては「収容により、本人が受ける不利益の程度」を考慮要素に加える。 同じく変更点として、監理人の負担軽減も図る。旧改正案は、監督下の外国人の生活状況に関する定期報告義務を監理人に課していたが、これを無くす。入管庁は監理人の相談に応じ、必要な情報提供や助言を行うとの規定も設ける。【山本将克】
今回の改正案は旧改正案と同様に、長期収容中の外国人を強制送還しやすくする見直しが柱。現行では難民認定申請中の外国人は送還されないが、送還停止となる申請を原則2回までに改める。また、過去に航空機内で暴れて送還を妨害したことがある外国人らを対象に罰則付きの退去命令制度を設ける。
送還まで施設に収容する原則を改め、支援者らから「監理人」を選んで、その監督下で暮らしてもらいながら送還手続きを進める「監理措置」も旧改正案とほぼ同じ形で盛り込んだ。
さらに、人道上の危機にある外国人を日本に受け入れる仕組みも整備し、戦争や紛争から逃れてきた人たちを難民条約上の「難民」と同等に保護する制度の導入案も維持した。
一方、旧改正案に対する反対意見があったことから、内容を一部変更した。「外国人の人権を守るため、入管施設での収容期間に上限を設けるべきだ」との意見を踏まえ、3カ月ごとに各地の入管が収容の要否を見極め、収容を継続する場合は出入国在留管理庁の判断を仰ぐとした。収容か監理措置かの判断に当たっては「収容により、本人が受ける不利益の程度」を考慮要素に加える。
同じく変更点として、監理人の負担軽減も図る。旧改正案は、監督下の外国人の生活状況に関する定期報告義務を監理人に課していたが、これを無くす。入管庁は監理人の相談に応じ、必要な情報提供や助言を行うとの規定も設ける。【山本将克】