東京・歌舞伎町のホストの男が女性客をソープランドで働かせたとして警視庁に逮捕された事件。同じような被害に遭った女性が、ホストに搾取され、一時は死をも考えるほど追い込まれた経験を証言しました。
記者「客の女性に売春させた疑いで、元ホストの男が捜査員に連れられて行きます」
カメラに向かって一礼し、捜査車両に乗り込んだ秋葉拓也容疑者(27)。職業は“元ホスト”です。おととし12月、20代の女性客を台東区吉原地区のソープランドで働かせ、売春させた疑いがもたれています。
「早く金作ってこい」
秋葉容疑者は女性に対し、およそ1000万円を飲食代などの“ツケ”として指定。わずか半年の間に女性を福島や沖縄など1都5県のソープランドに“出稼ぎ”させ、売り上げの大半を受け取っていたということです。
秋葉容疑者は取り調べに対し「ナンバーワンになるために売り上げをあげたかった」と話し、容疑を認めているということです。
さらに警視庁などは、秋葉容疑者に依頼され女性をソープに紹介したとして、スカウトの宇田川直人容疑者(27)と当時19歳の女のほか、女性が働いていたソープランドの店長らあわせて22人も逮捕しています。
「ソープ断るなら、もっときつい仕事させるぞ」
秋葉容疑者のこんな言葉になぜ女性は従ったのか?
同じような被害を10代のときに受けた女性(20代)は、ホストにハマった理由として「育ってきた環境」を挙げます。
被害を受けた女性「親からの虐待、いろんな暴力を受けて施設に入ったりとかして、(施設も)18歳までしかいられないから、出た矢先に夜の街さまよったときに声をかけられたって感じです。『おかえり』とかってやり取りがない中で、ホストの店に入ったときに『おかえり』みたいに言ってくれて、自然と気づいたら何百万とかっていうカケ(売掛金)を持ってたりとかしてました」
頼る人のいない中でホストに甘い言葉をささやかれ、気づくと貢ぐための売春先を紹介されたといいます。
被害を受けた女性「売り上げを全て彼にその日の夜に貢ぐっていう仕組みで行っていたから。寝られないしフラフラみたいな、体重も減っちゃったし。それに対して体重減ったことも、ホストは『可愛くなったね』って言うから、もっと『じゃあご飯いらない』みたいな感じになっちゃったりとかして」
同じような境遇で自殺に追い込まれた友人もいたといいます。女性は自らも命を絶っていた可能性があったと振り返ります。
被害を受けた女性「追い込まれすぎてカケ(売掛金)も莫大になっていっちゃってて。本当に自分どうなっちゃうんだろうって思って、次の(売春相手の)お客さんが殺してくれたらいいのにって思ってました。(契約書を)書かされてるし、録音されてるし、携帯は彼のものだし。ここから逃げられないって思ってました。逃げたらどうやって生きていけばいいのって」
女性は支援団体とつながり、からくも逃れることができました。
こうした問題に詳しい弁護士は、今回の事件は氷山の一角に過ぎないと警鐘を鳴らします。
グラディアトル法律事務所 若林翔弁護士「(案件としては)何千件までいくかどうかわからないですけど、そのくらいは見てると思う。特に最近はホストクラブの業界っていうのが、ホストの人たちがSNSを使ってマーケティングをしているので、ホストクラブで遊び慣れてない人が入ってくる。最近ちょっと増えてきてはいる」
警視庁は「被害にあった場合、警察や自治体の専門機関に相談して欲しい」とコメントしています。