「10年に1度」とされるこの冬一番の寒波は24日、日本列島で猛威を振るった。
都市部の交通網は大きく乱れ、京都では立ち往生した電車内で4時間近く待機を余儀なくされ、体調不良で救急搬送された乗客もいた。強い冬型の気圧配置は26日まで続く見通しで、気象庁は注意を呼びかけている。
JR西日本によると、東海道線や北陸線で24日午後8時頃から、雪の影響で複数箇所の線路の分岐器(ポイント)が故障したため、長浜―大阪駅間などが運休となった。この影響で複数の新快速などが一時、線路上で立ち往生した。
向日町駅(京都府向日市)では午後10時45分頃、駅と駅の間で止まっていた新快速が臨時停車。本来、停車しない駅のため、乗客はホームの安全柵をまたいで次々に下車していた。
複数の乗客が気分が悪いと訴えたため、救急隊員が担架で運び出し、「過呼吸、大丈夫ですか」と声を掛ける場面もあった。
向日町駅で降りた男性会社員(48)によると、京都府内で電車が停車し、車内に約3時間足止めされた。男性は「車内は暖房が弱く、寒かった。『トイレが混んでいる』というアナウンスも聞こえたが、乗客は落ち着いていた」と振り返った。
運休などの影響でJR京都駅ではホームの入場規制がかかり、改札前に人だかりができた。家族や友人に連絡をとったり、ホテルの空きを確認したりする人でごった返し、100人近くがタクシー乗り場に列を作った。
京都市中京区の会社に勤める男性会社員(32)(滋賀県東近江市)は「非常事態だ。ホテルもすでに埋まっていたので、会社まで歩いて行き、オフィスのソファで仮眠するしかない」と困惑気味に話した。
雪の影響でダイヤの乱れが相次ぎ、大阪駅構内でも帰宅途中の会社員らで混雑した。大阪市内を観光後、帰宅予定だった大津市の会社員(25)は「大阪でホテルを予約して1泊するが、明日も電車が動かなければ困る」と不安そうに話した。
山陽新幹線も午後8時頃、相生駅(兵庫県相生市)で信号トラブルが発生し、一部区間で運転を見合わせた。近鉄では午後8時45分頃、大阪上本町発榛原行きの下り準急電車(6両編成)が走行中にスリップして一時動けなくなった。いずれも雪の影響とみられる。
空の便でも欠航が相次ぎ、伊丹(大阪)空港では午後9時現在で、東北や山陰などを結ぶ便を中心に計50便以上が欠航を決めた。
高速道も交通が規制され、新名神高速道路や第二京阪道路などの一部区間が通行止めとなるなど、影響が広がった。
福井県大野市の国道158号では午後8時20分頃、トラック1台が積雪で動けなくなった。この影響で十数台の渋滞が発生。県は午後9時半から、現場を含む約14キロの区間を通行止めとした。県によると、燃料が切れた車もあるという。