鮮魚店主が仕事で使うとして十徳ナイフを持っていたことが軽犯罪法違反(凶器携帯)にあたるかが争われた刑事裁判で、大阪簡裁は25日、大阪市に住む鮮魚店の男性経営者(47)に対し、求刑通り科料9900円の判決を言い渡した。
経営者は2021年12月、大阪市福島区で自転車で走行中に信号無視で警察官から職務質問を受けた際、かばんの中から十徳ナイフ(刃渡り6・8センチ)が見つかった。大阪府警は22年3月、同法違反容疑で書類送検。大阪区検が略式起訴し、大阪簡裁が科料9900円の略式命令を出したが、経営者は正式裁判を開くよう求めた。
公判では、ナイフの所持に正当な理由があると言えるかが争点となった。
経営者は祖父の代から続く鮮魚店を営んでいる。ナイフは市場の仕入れで発泡スチロール箱を固定した結束バンドを切る時に使ったり、自宅で缶切りや栓抜きとして使ったりしていた。しかし、事件当時はコロナ下で仕入れ量が減り、仕事で使う機会が少なくなっていたという。
検察側は公判で、ここ数年は業務で使っていたとは言えないとし、「ナイフを携帯する必要性が認められる事情はない」と主張。一方、弁護側は「仕事で使うことも想定して持っていた。十徳ナイフは旅行や出張での使用も想定されて販売されており、本来の用途で持つことに何ら問題はない」と無罪を主張していた。