2022年12月以降、たびたび千葉市消防局で出動可能な救急隊がゼロになるケースが起きています。非常用救急車すら出払ってしまうなか、さらなる救急要請が入ったらどうするのか、そしてなぜここまで逼迫しているのか職員に話を聞きました。
新型コロナの感染拡大が続くなか、千葉市消防局は2023年1月10日(火)、驚くべき状況をツイッターで発表しました。
それは同日14時現在、出動可能な救急隊が0隊になったというもの。同様の投稿は1月6日や前年12月27日などにもアップされており、各日とも「PA連携や非常用救急車の運用で対応していますが、出動が多くなることで救急車の到着が遅くなる場合があります」という一文とともに、かなり危うい状況が続いていることを訴えた内容になっています。
そこで出動可能な救急隊がゼロになってしまったときに、もし事故や病気などで救急車が必要になったらどう対応するのか、千葉市消防局に話を聞いてみました。
千葉市消防局の救急車(画像:千葉市)。
答えてくれたのは千葉市消防局警防部の救急課。そもそも千葉市消防局には救急車が26台あり、このほかに非常用救急車(予備車)も2~6台用意してあるものの、当時そのすべてが出払ってしまったそう。
ただ、説明によると、千葉市は近隣の市町村と消防に関する相互応援協定を結んでおり、救急車についても互いに応援しあっているため、万一、千葉市消防局の救急車がゼロになってしまっても、市原市や四街道市などの消防署から出動してもらうことでカバーすることもあるとのことでした。
なぜ、そこまで救急車の状況がひっ迫しているのかというと、新型コロナの感染拡大に加え、もともと冬場は夏場よりも重篤な患者が多くなる傾向があるからだといいます。
どうしても冬場は心筋梗塞や脳卒中、肺炎などといった病気が多くなりやすいのだそう。加えて、足や腰の骨折といったケガも冬場のほうが多く、これらは救急対応可能な医療機関も限られるそうです。
救急車の適正利用を呼びかけるポスター(画像:千葉市消防局)。
しかも、高齢者などがこれらの病気やケガになると入院が長期化しやすいことから、病床の占有率が高まり、結果として受け入れ病院が少なくなる、受け入れ病院が決まらなくなる、救急車に乗ったままの患者が増える――ゆえに救急車の回転率が悪くなるとのこと。
こうした悪循環から、冬場はどうしても救急車の出動率が高止まりする傾向があったなかで、新型コロナの感染拡大が続いていたことから、このたび「出動可能な救急隊がゼロ」に至ってしまったというハナシでした。
千葉市消防局は昨今、1日あたりの救急出動件数が200件を超える日が続いているといいます。職員いわく、特に土日祝日は受け入れ医療機関が決まりにくくなることが多いそう。以前であれば、119番通報を受理してから平均8分ほどで救急隊は通報先へ到着していたのが、いまでは10分超へと延びているのだとか。その影響で千葉市内でも、119番受理から救急隊の現場到着まで最長44分かかったケースもあったそうです。
救急隊(救急車)がひっ迫する状況は、今後も続くと予想されるそうです。千葉市消防局は「救急車の適正利用にご協力をお願いします。ただ、だからといって本当に大変な時は躊躇せず119番を使ってください」と述べていました。