「業務上知り得た機密情報を外に出さない」
【画像】元同僚女性との親密な関係、家庭内不和…色々な秘密がバレた田辺公己被告 転職経験者ならば、この文言のある秘密保持の契約書にサインした覚えのある人も多いだろう。会社の大小、有名無名を問わず、現代の企業が最も腐心するこの機密保持を、経営トップが堂々と破っていたことが発覚し、世間に衝撃を与えた。回転寿司業界・ビッグ4の一角を占める「かっぱ寿司」で社長を務めていた田辺公己被告(46)は不正競争防止法違反の疑いで逮捕、起訴されている。

原価や仕入れ価格を「ギガファイル便」にアップロード、USBメモリに保管 12月22日、東京地裁。回転寿司大手「はま寿司」の営業秘密を不正取得し、転職先のかっぱ寿司側に提供したという、かっぱ寿司の運営会社「カッパ・クリエイト」前社長・田辺被告の初公判が開かれた。田辺被告は黒い上下のスーツに身を包んで入廷し、検察側が告げた起訴事実に相違があるか問われると、「ありません」と認めた。社会部記者は事件の概要をこう話す。「田辺被告は2020年9月30日、自宅近くの湘南のカフェで、新卒から長年サラリーマンとして勤め上げていた、はま寿司の運営元『ゼンショーホールディングス』の商品原価や、仕入れ価格の情報を『ギガファイル便』にアップロードし、USBメモリに保管しました。その後、かっぱ寿司の仕事を始めた際、そのデータを自社のモノと比較して利用したのです。東証プライム上場企業の最高幹部が逮捕・起訴されるのは極めて異例です」 検察側は初公判で、田辺被告がデータを活用して「カッパ・クリエイトの業績向上を図ることを考えた」「上司に対する不満を持ったことで転職を考えるようになった」と指摘。犯行に手を染めた田辺被告の不満は、どのような経緯で爆発したのか。転職の意向を伝える直前に機密持ち出しを決意かっぱ寿司を運営する「カッパ・クリエイト」の入居する横浜ランドマークタワー 時事通信 田辺被告は岩手県出身で、大学卒業後に新卒でゼンショーに入社。ゼンショーでは、はま寿司など複数の飲食店で働き、20年2月に「グローバルSUSHI事業推進本部長」という幹部ポストを得た。だが就任してすぐの6月には上司への不満を理由に転職活動を開始している。外食産業の幹部経験者は転職市場で評価が高いという。8月にはカッパ・クリエイト副社長というキャリアアップのオファーを勝ち取り、ゼンショーを退職することを決めた。 この順調な転職活動こそが、田辺被告が犯行に手を染めてしまった原因になる。はま寿司の機密持ち出しを決意したのは、転職活動を終えてわずか3日後、ゼンショーに転職の意向を伝える前だった。自社の原価データを送るように部下に指示し、社員が汗を流して得た「販売戦略が凝縮された」データを手に入れる。1カ月後、社内に転職を伝え、秘密保持の契約を結ぶ際、会社支給の携帯電話とパソコンの返却を求められると「本日中の返却はできない」と先のばしを願い出て、いそいでその翌日には、USBメモリにデータを保存した。心機一転、かっぱ寿司に移籍すると、「はま寿司の商品データを持っているので参考までに見てください」とかっぱ寿司幹部にデータを送付。その後、商品開発の現場にも共有されていくことになる。「日次売上データ」を渡した女性とは親密な関係 実はこの事件の背後で、もう1つある“疑惑”も生まれていた。ゼンショー関係者が話す。「結局不起訴にはなりましたが、11月に田辺被告ははま寿司の『日次売上データ』をはま寿司の30代女性社員から受け取ったとして、女性と共に書類送検されています。この“疑惑”が明らかになった際、ゼンショー内で社内調査が行われたのですが、その時に田辺被告と女性が親密な関係にあったことも同時にバレてしまったのです。女性は社員教育を担当する部署に所属しており、様々なデータを閲覧できる立場にありました。田辺被告は役職上、海外への出張も多かったのですが、その際に相手の女性が同行することもあったといいます。女性は既に疑惑の責任を取るかたちで、はま寿司を退職してします」 ゼンショー本社にも疑惑について問うたところ「田辺氏と女性の個人間の関係への言及は差し控えさせていただきますが、当該女性については、上記の秘密情報を漏洩させたことにより社内規程に則り処分しています」と回答があった。機密の漏洩というすぐれてビジネスライクな犯行の裏には、ありふれた男女の機微があったのかもしれない。「田辺被告は一度学生結婚をしていて20代のうちに離婚。その後、今の奥さんである女性と社内結婚で再婚しましたが、その後も別の女性と親密な関係になるとは……家庭のほうがうまくいってなかったという噂も社内では根強くありました」(同前)近所に響く「助けてー!」「殺されるー!」という叫び声 東証プライム上場企業の社長という誰もが羨むキャリアを歩みながらも、プライベートには難あり――田辺被告の自宅の近隣住民が声をひそめる。「ご主人(田辺被告)は休日に子供とキャッチボールをしたり、少年野球チームで野球を教えたりと典型的な良きパパに見えましたよ。庭で木の剪定をする姿もよく見ました。社長の割には質素な感じの人で、お抱えの運転手どころか、仕事にはいつも電車かバスで通勤していました。ただ、夫婦仲はかなり悪かったと思いますよ」 家庭内ではたびたび熾烈な夫婦喧嘩が起きていたという。激しい争いは時に警察沙汰に発展することもあったようだ。「昨年6月に漏洩の件で家宅捜索が入ってからはおとなしくなりましたが、それまでには何度も警察が来る騒ぎがありました。ある時は奥さんの『助けてー!』『殺されるー!』という叫び声と、ガシャーン! バリーン!とモノが壊れる音までして、ただ事じゃないと思いましたね。ご主人は普段はおとなしそうに見えるんですが、カッとなると手が出ちゃう性格なんでしょう。長男の目や腕にアザがあったのを見たことがあります」(同前)田辺被告の妻は「主人はほとんど家にはいません」 こうした事実関係を確認すべく、取材班は田辺被告の妻に話を聞いた。――夫婦仲が悪くて、喧嘩で警察が来たこともあったと伺いました。妻 ご近所さんが言ったんですか? あー、1回あると思います……。すごく前の話ですが。――ご主人から奥様が暴力をふるわれたことはあったのでしょうか。妻 主人は仕事のストレスはありましたが、信念をもってやっているので、そういうこと(暴力)はありません。主人はほとんど家にはいませんし、そこまで(暴力)はありません。――事件については、どのように受け止められているのでしょうか。妻 この度は色々な方にご迷惑をおかけして申し訳ないと思っています。 秘密を持ち出したばかりに、家庭の秘密まで暴露されてしまった田辺被告。まだ隠していることがなければいいが。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
転職経験者ならば、この文言のある秘密保持の契約書にサインした覚えのある人も多いだろう。会社の大小、有名無名を問わず、現代の企業が最も腐心するこの機密保持を、経営トップが堂々と破っていたことが発覚し、世間に衝撃を与えた。回転寿司業界・ビッグ4の一角を占める「かっぱ寿司」で社長を務めていた田辺公己被告(46)は不正競争防止法違反の疑いで逮捕、起訴されている。
原価や仕入れ価格を「ギガファイル便」にアップロード、USBメモリに保管 12月22日、東京地裁。回転寿司大手「はま寿司」の営業秘密を不正取得し、転職先のかっぱ寿司側に提供したという、かっぱ寿司の運営会社「カッパ・クリエイト」前社長・田辺被告の初公判が開かれた。田辺被告は黒い上下のスーツに身を包んで入廷し、検察側が告げた起訴事実に相違があるか問われると、「ありません」と認めた。社会部記者は事件の概要をこう話す。「田辺被告は2020年9月30日、自宅近くの湘南のカフェで、新卒から長年サラリーマンとして勤め上げていた、はま寿司の運営元『ゼンショーホールディングス』の商品原価や、仕入れ価格の情報を『ギガファイル便』にアップロードし、USBメモリに保管しました。その後、かっぱ寿司の仕事を始めた際、そのデータを自社のモノと比較して利用したのです。東証プライム上場企業の最高幹部が逮捕・起訴されるのは極めて異例です」 検察側は初公判で、田辺被告がデータを活用して「カッパ・クリエイトの業績向上を図ることを考えた」「上司に対する不満を持ったことで転職を考えるようになった」と指摘。犯行に手を染めた田辺被告の不満は、どのような経緯で爆発したのか。転職の意向を伝える直前に機密持ち出しを決意かっぱ寿司を運営する「カッパ・クリエイト」の入居する横浜ランドマークタワー 時事通信 田辺被告は岩手県出身で、大学卒業後に新卒でゼンショーに入社。ゼンショーでは、はま寿司など複数の飲食店で働き、20年2月に「グローバルSUSHI事業推進本部長」という幹部ポストを得た。だが就任してすぐの6月には上司への不満を理由に転職活動を開始している。外食産業の幹部経験者は転職市場で評価が高いという。8月にはカッパ・クリエイト副社長というキャリアアップのオファーを勝ち取り、ゼンショーを退職することを決めた。 この順調な転職活動こそが、田辺被告が犯行に手を染めてしまった原因になる。はま寿司の機密持ち出しを決意したのは、転職活動を終えてわずか3日後、ゼンショーに転職の意向を伝える前だった。自社の原価データを送るように部下に指示し、社員が汗を流して得た「販売戦略が凝縮された」データを手に入れる。1カ月後、社内に転職を伝え、秘密保持の契約を結ぶ際、会社支給の携帯電話とパソコンの返却を求められると「本日中の返却はできない」と先のばしを願い出て、いそいでその翌日には、USBメモリにデータを保存した。心機一転、かっぱ寿司に移籍すると、「はま寿司の商品データを持っているので参考までに見てください」とかっぱ寿司幹部にデータを送付。その後、商品開発の現場にも共有されていくことになる。「日次売上データ」を渡した女性とは親密な関係 実はこの事件の背後で、もう1つある“疑惑”も生まれていた。ゼンショー関係者が話す。「結局不起訴にはなりましたが、11月に田辺被告ははま寿司の『日次売上データ』をはま寿司の30代女性社員から受け取ったとして、女性と共に書類送検されています。この“疑惑”が明らかになった際、ゼンショー内で社内調査が行われたのですが、その時に田辺被告と女性が親密な関係にあったことも同時にバレてしまったのです。女性は社員教育を担当する部署に所属しており、様々なデータを閲覧できる立場にありました。田辺被告は役職上、海外への出張も多かったのですが、その際に相手の女性が同行することもあったといいます。女性は既に疑惑の責任を取るかたちで、はま寿司を退職してします」 ゼンショー本社にも疑惑について問うたところ「田辺氏と女性の個人間の関係への言及は差し控えさせていただきますが、当該女性については、上記の秘密情報を漏洩させたことにより社内規程に則り処分しています」と回答があった。機密の漏洩というすぐれてビジネスライクな犯行の裏には、ありふれた男女の機微があったのかもしれない。「田辺被告は一度学生結婚をしていて20代のうちに離婚。その後、今の奥さんである女性と社内結婚で再婚しましたが、その後も別の女性と親密な関係になるとは……家庭のほうがうまくいってなかったという噂も社内では根強くありました」(同前)近所に響く「助けてー!」「殺されるー!」という叫び声 東証プライム上場企業の社長という誰もが羨むキャリアを歩みながらも、プライベートには難あり――田辺被告の自宅の近隣住民が声をひそめる。「ご主人(田辺被告)は休日に子供とキャッチボールをしたり、少年野球チームで野球を教えたりと典型的な良きパパに見えましたよ。庭で木の剪定をする姿もよく見ました。社長の割には質素な感じの人で、お抱えの運転手どころか、仕事にはいつも電車かバスで通勤していました。ただ、夫婦仲はかなり悪かったと思いますよ」 家庭内ではたびたび熾烈な夫婦喧嘩が起きていたという。激しい争いは時に警察沙汰に発展することもあったようだ。「昨年6月に漏洩の件で家宅捜索が入ってからはおとなしくなりましたが、それまでには何度も警察が来る騒ぎがありました。ある時は奥さんの『助けてー!』『殺されるー!』という叫び声と、ガシャーン! バリーン!とモノが壊れる音までして、ただ事じゃないと思いましたね。ご主人は普段はおとなしそうに見えるんですが、カッとなると手が出ちゃう性格なんでしょう。長男の目や腕にアザがあったのを見たことがあります」(同前)田辺被告の妻は「主人はほとんど家にはいません」 こうした事実関係を確認すべく、取材班は田辺被告の妻に話を聞いた。――夫婦仲が悪くて、喧嘩で警察が来たこともあったと伺いました。妻 ご近所さんが言ったんですか? あー、1回あると思います……。すごく前の話ですが。――ご主人から奥様が暴力をふるわれたことはあったのでしょうか。妻 主人は仕事のストレスはありましたが、信念をもってやっているので、そういうこと(暴力)はありません。主人はほとんど家にはいませんし、そこまで(暴力)はありません。――事件については、どのように受け止められているのでしょうか。妻 この度は色々な方にご迷惑をおかけして申し訳ないと思っています。 秘密を持ち出したばかりに、家庭の秘密まで暴露されてしまった田辺被告。まだ隠していることがなければいいが。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
12月22日、東京地裁。回転寿司大手「はま寿司」の営業秘密を不正取得し、転職先のかっぱ寿司側に提供したという、かっぱ寿司の運営会社「カッパ・クリエイト」前社長・田辺被告の初公判が開かれた。田辺被告は黒い上下のスーツに身を包んで入廷し、検察側が告げた起訴事実に相違があるか問われると、「ありません」と認めた。社会部記者は事件の概要をこう話す。
「田辺被告は2020年9月30日、自宅近くの湘南のカフェで、新卒から長年サラリーマンとして勤め上げていた、はま寿司の運営元『ゼンショーホールディングス』の商品原価や、仕入れ価格の情報を『ギガファイル便』にアップロードし、USBメモリに保管しました。その後、かっぱ寿司の仕事を始めた際、そのデータを自社のモノと比較して利用したのです。東証プライム上場企業の最高幹部が逮捕・起訴されるのは極めて異例です」
検察側は初公判で、田辺被告がデータを活用して「カッパ・クリエイトの業績向上を図ることを考えた」「上司に対する不満を持ったことで転職を考えるようになった」と指摘。犯行に手を染めた田辺被告の不満は、どのような経緯で爆発したのか。
かっぱ寿司を運営する「カッパ・クリエイト」の入居する横浜ランドマークタワー 時事通信
田辺被告は岩手県出身で、大学卒業後に新卒でゼンショーに入社。ゼンショーでは、はま寿司など複数の飲食店で働き、20年2月に「グローバルSUSHI事業推進本部長」という幹部ポストを得た。だが就任してすぐの6月には上司への不満を理由に転職活動を開始している。外食産業の幹部経験者は転職市場で評価が高いという。8月にはカッパ・クリエイト副社長というキャリアアップのオファーを勝ち取り、ゼンショーを退職することを決めた。
この順調な転職活動こそが、田辺被告が犯行に手を染めてしまった原因になる。はま寿司の機密持ち出しを決意したのは、転職活動を終えてわずか3日後、ゼンショーに転職の意向を伝える前だった。自社の原価データを送るように部下に指示し、社員が汗を流して得た「販売戦略が凝縮された」データを手に入れる。1カ月後、社内に転職を伝え、秘密保持の契約を結ぶ際、会社支給の携帯電話とパソコンの返却を求められると「本日中の返却はできない」と先のばしを願い出て、いそいでその翌日には、USBメモリにデータを保存した。心機一転、かっぱ寿司に移籍すると、「はま寿司の商品データを持っているので参考までに見てください」とかっぱ寿司幹部にデータを送付。その後、商品開発の現場にも共有されていくことになる。
「日次売上データ」を渡した女性とは親密な関係 実はこの事件の背後で、もう1つある“疑惑”も生まれていた。ゼンショー関係者が話す。「結局不起訴にはなりましたが、11月に田辺被告ははま寿司の『日次売上データ』をはま寿司の30代女性社員から受け取ったとして、女性と共に書類送検されています。この“疑惑”が明らかになった際、ゼンショー内で社内調査が行われたのですが、その時に田辺被告と女性が親密な関係にあったことも同時にバレてしまったのです。女性は社員教育を担当する部署に所属しており、様々なデータを閲覧できる立場にありました。田辺被告は役職上、海外への出張も多かったのですが、その際に相手の女性が同行することもあったといいます。女性は既に疑惑の責任を取るかたちで、はま寿司を退職してします」 ゼンショー本社にも疑惑について問うたところ「田辺氏と女性の個人間の関係への言及は差し控えさせていただきますが、当該女性については、上記の秘密情報を漏洩させたことにより社内規程に則り処分しています」と回答があった。機密の漏洩というすぐれてビジネスライクな犯行の裏には、ありふれた男女の機微があったのかもしれない。「田辺被告は一度学生結婚をしていて20代のうちに離婚。その後、今の奥さんである女性と社内結婚で再婚しましたが、その後も別の女性と親密な関係になるとは……家庭のほうがうまくいってなかったという噂も社内では根強くありました」(同前)近所に響く「助けてー!」「殺されるー!」という叫び声 東証プライム上場企業の社長という誰もが羨むキャリアを歩みながらも、プライベートには難あり――田辺被告の自宅の近隣住民が声をひそめる。「ご主人(田辺被告)は休日に子供とキャッチボールをしたり、少年野球チームで野球を教えたりと典型的な良きパパに見えましたよ。庭で木の剪定をする姿もよく見ました。社長の割には質素な感じの人で、お抱えの運転手どころか、仕事にはいつも電車かバスで通勤していました。ただ、夫婦仲はかなり悪かったと思いますよ」 家庭内ではたびたび熾烈な夫婦喧嘩が起きていたという。激しい争いは時に警察沙汰に発展することもあったようだ。「昨年6月に漏洩の件で家宅捜索が入ってからはおとなしくなりましたが、それまでには何度も警察が来る騒ぎがありました。ある時は奥さんの『助けてー!』『殺されるー!』という叫び声と、ガシャーン! バリーン!とモノが壊れる音までして、ただ事じゃないと思いましたね。ご主人は普段はおとなしそうに見えるんですが、カッとなると手が出ちゃう性格なんでしょう。長男の目や腕にアザがあったのを見たことがあります」(同前)田辺被告の妻は「主人はほとんど家にはいません」 こうした事実関係を確認すべく、取材班は田辺被告の妻に話を聞いた。――夫婦仲が悪くて、喧嘩で警察が来たこともあったと伺いました。妻 ご近所さんが言ったんですか? あー、1回あると思います……。すごく前の話ですが。――ご主人から奥様が暴力をふるわれたことはあったのでしょうか。妻 主人は仕事のストレスはありましたが、信念をもってやっているので、そういうこと(暴力)はありません。主人はほとんど家にはいませんし、そこまで(暴力)はありません。――事件については、どのように受け止められているのでしょうか。妻 この度は色々な方にご迷惑をおかけして申し訳ないと思っています。 秘密を持ち出したばかりに、家庭の秘密まで暴露されてしまった田辺被告。まだ隠していることがなければいいが。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「日次売上データ」を渡した女性とは親密な関係 実はこの事件の背後で、もう1つある“疑惑”も生まれていた。ゼンショー関係者が話す。「結局不起訴にはなりましたが、11月に田辺被告ははま寿司の『日次売上データ』をはま寿司の30代女性社員から受け取ったとして、女性と共に書類送検されています。この“疑惑”が明らかになった際、ゼンショー内で社内調査が行われたのですが、その時に田辺被告と女性が親密な関係にあったことも同時にバレてしまったのです。女性は社員教育を担当する部署に所属しており、様々なデータを閲覧できる立場にありました。田辺被告は役職上、海外への出張も多かったのですが、その際に相手の女性が同行することもあったといいます。女性は既に疑惑の責任を取るかたちで、はま寿司を退職してします」 ゼンショー本社にも疑惑について問うたところ「田辺氏と女性の個人間の関係への言及は差し控えさせていただきますが、当該女性については、上記の秘密情報を漏洩させたことにより社内規程に則り処分しています」と回答があった。機密の漏洩というすぐれてビジネスライクな犯行の裏には、ありふれた男女の機微があったのかもしれない。「田辺被告は一度学生結婚をしていて20代のうちに離婚。その後、今の奥さんである女性と社内結婚で再婚しましたが、その後も別の女性と親密な関係になるとは……家庭のほうがうまくいってなかったという噂も社内では根強くありました」(同前)近所に響く「助けてー!」「殺されるー!」という叫び声 東証プライム上場企業の社長という誰もが羨むキャリアを歩みながらも、プライベートには難あり――田辺被告の自宅の近隣住民が声をひそめる。「ご主人(田辺被告)は休日に子供とキャッチボールをしたり、少年野球チームで野球を教えたりと典型的な良きパパに見えましたよ。庭で木の剪定をする姿もよく見ました。社長の割には質素な感じの人で、お抱えの運転手どころか、仕事にはいつも電車かバスで通勤していました。ただ、夫婦仲はかなり悪かったと思いますよ」 家庭内ではたびたび熾烈な夫婦喧嘩が起きていたという。激しい争いは時に警察沙汰に発展することもあったようだ。「昨年6月に漏洩の件で家宅捜索が入ってからはおとなしくなりましたが、それまでには何度も警察が来る騒ぎがありました。ある時は奥さんの『助けてー!』『殺されるー!』という叫び声と、ガシャーン! バリーン!とモノが壊れる音までして、ただ事じゃないと思いましたね。ご主人は普段はおとなしそうに見えるんですが、カッとなると手が出ちゃう性格なんでしょう。長男の目や腕にアザがあったのを見たことがあります」(同前)田辺被告の妻は「主人はほとんど家にはいません」 こうした事実関係を確認すべく、取材班は田辺被告の妻に話を聞いた。――夫婦仲が悪くて、喧嘩で警察が来たこともあったと伺いました。妻 ご近所さんが言ったんですか? あー、1回あると思います……。すごく前の話ですが。――ご主人から奥様が暴力をふるわれたことはあったのでしょうか。妻 主人は仕事のストレスはありましたが、信念をもってやっているので、そういうこと(暴力)はありません。主人はほとんど家にはいませんし、そこまで(暴力)はありません。――事件については、どのように受け止められているのでしょうか。妻 この度は色々な方にご迷惑をおかけして申し訳ないと思っています。 秘密を持ち出したばかりに、家庭の秘密まで暴露されてしまった田辺被告。まだ隠していることがなければいいが。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
実はこの事件の背後で、もう1つある“疑惑”も生まれていた。ゼンショー関係者が話す。
「結局不起訴にはなりましたが、11月に田辺被告ははま寿司の『日次売上データ』をはま寿司の30代女性社員から受け取ったとして、女性と共に書類送検されています。この“疑惑”が明らかになった際、ゼンショー内で社内調査が行われたのですが、その時に田辺被告と女性が親密な関係にあったことも同時にバレてしまったのです。女性は社員教育を担当する部署に所属しており、様々なデータを閲覧できる立場にありました。田辺被告は役職上、海外への出張も多かったのですが、その際に相手の女性が同行することもあったといいます。女性は既に疑惑の責任を取るかたちで、はま寿司を退職してします」
ゼンショー本社にも疑惑について問うたところ「田辺氏と女性の個人間の関係への言及は差し控えさせていただきますが、当該女性については、上記の秘密情報を漏洩させたことにより社内規程に則り処分しています」と回答があった。機密の漏洩というすぐれてビジネスライクな犯行の裏には、ありふれた男女の機微があったのかもしれない。
「田辺被告は一度学生結婚をしていて20代のうちに離婚。その後、今の奥さんである女性と社内結婚で再婚しましたが、その後も別の女性と親密な関係になるとは……家庭のほうがうまくいってなかったという噂も社内では根強くありました」(同前)
東証プライム上場企業の社長という誰もが羨むキャリアを歩みながらも、プライベートには難あり――田辺被告の自宅の近隣住民が声をひそめる。
「ご主人(田辺被告)は休日に子供とキャッチボールをしたり、少年野球チームで野球を教えたりと典型的な良きパパに見えましたよ。庭で木の剪定をする姿もよく見ました。社長の割には質素な感じの人で、お抱えの運転手どころか、仕事にはいつも電車かバスで通勤していました。ただ、夫婦仲はかなり悪かったと思いますよ」
家庭内ではたびたび熾烈な夫婦喧嘩が起きていたという。激しい争いは時に警察沙汰に発展することもあったようだ。
「昨年6月に漏洩の件で家宅捜索が入ってからはおとなしくなりましたが、それまでには何度も警察が来る騒ぎがありました。ある時は奥さんの『助けてー!』『殺されるー!』という叫び声と、ガシャーン! バリーン!とモノが壊れる音までして、ただ事じゃないと思いましたね。ご主人は普段はおとなしそうに見えるんですが、カッとなると手が出ちゃう性格なんでしょう。長男の目や腕にアザがあったのを見たことがあります」(同前)
こうした事実関係を確認すべく、取材班は田辺被告の妻に話を聞いた。――夫婦仲が悪くて、喧嘩で警察が来たこともあったと伺いました。妻 ご近所さんが言ったんですか? あー、1回あると思います……。すごく前の話ですが。――ご主人から奥様が暴力をふるわれたことはあったのでしょうか。妻 主人は仕事のストレスはありましたが、信念をもってやっているので、そういうこと(暴力)はありません。主人はほとんど家にはいませんし、そこまで(暴力)はありません。――事件については、どのように受け止められているのでしょうか。妻 この度は色々な方にご迷惑をおかけして申し訳ないと思っています。 秘密を持ち出したばかりに、家庭の秘密まで暴露されてしまった田辺被告。まだ隠していることがなければいいが。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
こうした事実関係を確認すべく、取材班は田辺被告の妻に話を聞いた。
――夫婦仲が悪くて、喧嘩で警察が来たこともあったと伺いました。
妻 ご近所さんが言ったんですか? あー、1回あると思います……。すごく前の話ですが。
――ご主人から奥様が暴力をふるわれたことはあったのでしょうか。
妻 主人は仕事のストレスはありましたが、信念をもってやっているので、そういうこと(暴力)はありません。主人はほとんど家にはいませんし、そこまで(暴力)はありません。
――事件については、どのように受け止められているのでしょうか。
妻 この度は色々な方にご迷惑をおかけして申し訳ないと思っています。
秘密を持ち出したばかりに、家庭の秘密まで暴露されてしまった田辺被告。まだ隠していることがなければいいが。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))