昨年1年間に愛媛県内で受理されたサイバー犯罪に関する被害相談は、前年から320件増えて1572件となり、過去最多を更新したことが県警のまとめでわかった。
特に「スミッシング」と「サポート詐欺」と呼ばれる手口が多いといい、県警は啓発動画を作成するなどして注意を呼び掛けている。(丹下巨樹)
スミッシングは、「ショートメッセージサービス(SMS)」と「フィッシング」を合わせた造語で、携帯電話のSMSを悪用した犯罪。郵便局や大手通販サイトなどを名乗り、「不正なログインをされた可能性がある」などとかたるメッセージが届く。記載されているURLをタップすると、実物のサイトに酷似したサイトに誘導される。
偽サイトにクレジットカードや口座番号などの個人情報を入力するよう求められ、現金を引き出されるなどの被害も確認されている。高齢者に限らず、若者も被害に遭うことが多い。
サポート詐欺は、ウェブサイトの閲覧中、警告音を鳴らしたり、ポップアップ画面を出したりしてコンピューターウイルスに感染したように見せかける手口。偽のサポート窓口に問い合わせをさせ、ウイルス駆除の手伝いを名目に電子マネーなどをだまし取るものだ。
県警サイバー犯罪対策課によると、相談件数の増加に伴い、昨年の摘発件数も2020年から26件増えて120件。スミッシングを含む「迷惑メール等」の相談件数は、21年は352件で20年の262件から90件増加した。
今年のサイバー犯罪(9月末時点)は、相談件数が1281件(前年同期比88件増)、摘発件数が112件(同41件増)といずれも昨年を上回る勢いで推移している。
県警は6月から、サイバー犯罪を周知しようと、手口の特徴をまとめた動画2本の作成を進めてきた。スミッシングで送られてくるSMSの例を示したり、サポート詐欺で現れる偽の警告画面と音を示したりし、「安易にURLをタップしないように」などと呼びかけている。
動画は8月から、県内のケーブルテレビや街頭の大型画面などで放映中。サイバー犯罪対策課は「請求が来ても決して慌てず、警察に相談してほしい」としている。