大阪府が18歳以下の府民約130万人に配布している1万円相当の電子マネーを巡り、「使える店舗が少ない」との苦情が寄せられている。
使用期限は3年と決まっており、府は「利用できる店を増やすよう、発行元に働きかける」としている。
吉村知事は6月、物価高騰の影響を受ける子どもたちを支援する狙いで、関連予算約154億円を専決処分。対象者に届くまでに時間がかかるとして、現金給付は見送り、電子マネーで配布することにした。
発行元によると、利用対象は全国260事業者(4日時点)に上るが、府内での店舗数は公表していないという。読売新聞が調べたところ、書店やドラッグストアは使える店舗が多い一方、スーパーは5店舗前後にとどまった。コンビニは大手3社のうちローソン系列のみで、衣類を扱う店の大半は紳士服店だった。
府には「使い勝手が悪い」「現金給付すべきだった」といった苦情や意見が9月下旬までに80件以上寄せられている。発行元は「利用店舗は徐々に拡大している」と説明しているという。
また、契約では、3年の期限内に使われなかった電子マネーは発行元の利益になる。5日の府議会本会議で西野修平議員(自民党)は契約内容に疑問を呈した上で、これまでの利用実績について質問すると、府は「(発行元から)企業秘密にあたるので提供できないと回答された」と答弁。西野議員は「どれだけ使われたのか分からなければ、事業が正しかったか評価できない」と指摘した。