SNSは世界中の人とつながることができる魅力的なツールです。情報収集のために利用をしたり、自分から情報を発信したり、同じ悩みを持つ者同士つながったりできる素晴らしいツールですが、中には人の弱みつけこんだり、顔が見えないのをいいことに詐欺まがいのことをしている人もいます。近年SNS関連の消費生活相談は増加傾向にあり、2021(令和3)年版消費者白書によると、全国の消費生活センターなどに寄せられた相談のうち、SNSをめぐるトラブルは約5万件で、前年から約1万件増加しているといいます。
【写真】近藤サトさんが被害にあったネットショッピング、詐欺の手口を聞いた 「後から思えばおかしいことだらけ」祥子さん(30代・主婦)は、子育ての情報を発信していたところ、SNSのトラブルに巻き込まれたといいます。どのような被害に遭ったのか、話を聞きました。――SNSはどのようなことに使われていたのですか。子どものことで悩みを抱えていたので、同じように悩んでいる方のお話を読んだり、情報を収集するためにはじめました。一人で悩んでいるよりも、多くの方の意見やアドバイスが得ることができ、何か解決のヒントになるのではないかと思いました。――そこでトラブルに巻き込まれたのですね。特に記憶に残っているケースが3つありました。詐欺未遂や金銭の要求を受けただけでなく、DMを拡散されてしまい誹謗中傷を受けました。わが子を狙っているのではないかと感じることもあり、非常に怖い経験をしました。(1)クラウドファンディングの詐欺未遂当時フォロワーが1万5000人ほどいました。そこに目をつけられ、優しい人のふりをして近づいてくる人がたくさんいました。ある人は最初は「僕も父親で過去にあなたと同じ悩みを抱えていたので、あなたの力になりたい」と言って近づいて来たのですが、徐々にお金の話になり、「あなたや子どもを支援したいからクラウドファンディングをしましょう。クラウドファンディングの入金先は僕の口座にしてください」「今後は僕の指示に従ってください。フォロワーがたくさんいるので、お金もすぐに集まりますよ。僕を信用してください」といったメールが何通も送られてきました。信用させるために、誰のものかもわからない、運転免許証や自宅の写真も次々と送られてきて、気味が悪くなり、警察に相談にいったところ、よくあるクラウドファンディング詐欺だと言われました。(2)子どもを狙うかのような犯罪知らない男性からは「子どものことで同じ悩みを抱えている父親です。あなたの力になれることが、あるかもしれません」と連絡が来ました。最初のやり取りではとても優しかったのですが、男性の目的は「子ども」のようでした。SNSには子どもや家族の写真は載せていませんでしたが、投稿内容から、子どもの性別は推測でき、「助けるためには子どもの写真が必要だ。顔が見たい」「子どもの好きなものを教えてほしい。教えてくれたら自宅まで持っていくので自宅を教えてください」など、子どもを狙おうとしているかのような連絡が繰り返し届きました。(3)神様を名乗り金銭要求私の悩みに共感した方から同じように、「あなたとあなたの子どもを救いたい」という連絡が来ました。この方も最初はとても親身になってくれたのですが、急に「あなたの家族を救うためにはお金が必要です。お金を寄付してください」「お金を払わないと神様はあなたを救ってはくれません。いくら寄付できますか?お金を寄付してくれたら神様はあなたのお力になってくれますよ」と、豹変したように金銭を要求してくるようになりました。――このような遭遇したケースについて、なにか共通したことはありましたか。最初はこちらの悩みに対して善人を装い近づき、とても優しく寄り添ってくれるので、私自身も安易ではありますが、相手を疑うことがありませんでした。また当時はひどく悩んでいましたので、顔も本名も知らない相手が「信頼に足る相手」なのか、正常に判断する能力も失っており、わらをもつかむ思いでSNS上でしか知らない相手を信じてしまいました。――みな「善人のふり」をしていたのでしょうか。全員、人を信じ込ませることがうまく、信じ込ませた後に、LINEや電話番号、メールアドレスの交換を要求してきました。「(SNSの)DMよりLINEやメールのほうが連絡が取りやすいので教えてほしい」などと言われ、私も聞かれるままに答えてしまいました。その結果、DMを拒否して連絡を断ったつもりでも、執拗なまでに着信がありました。LINEをブロックしたときは、脅迫メールを送られたり、嫌がらせでDMを拡散されたりしたため、警察に相談に行きました。警察官からは「はっきりと言いますが、あなたはSNSに向いていないです。あなたに寄って来た人たちは詐欺師で、犯罪者です」「SNSのアカウントは今すぐ消して、知らないアドレスからのメールは受信拒否するように。電話番号も変更して、新しい電話番号は最低限の人以外には絶対に教えないでください」と言われました。今回経験したことは、私自身の危機管理能力の甘さゆえに起こった過ちだと思います。二度と同じ被害に遭わないために、警察官に言われた通り、今はSNSから一切離れました。 ◇ ◇SNS上で仲よくなった人たちから「LINEや電話のほうが話しやすいから連絡先を交換したい」「大事なことはメールで送りたいからメールアドレスを教えてほしい」など理由をつけて連絡先を聞きだしてくる場合は、注意が必要です。安易な連絡先の交換は避けましょう。祥子さんは「相手とのやり取りで違和感を覚えたり、実際にトラブルに遭遇してしまったりしたときは、警察などへしかるべき窓口に相談するようにしましょう」とも話しています。(まいどなニュース特約・長岡 杏果)
祥子さん(30代・主婦)は、子育ての情報を発信していたところ、SNSのトラブルに巻き込まれたといいます。どのような被害に遭ったのか、話を聞きました。
――SNSはどのようなことに使われていたのですか。
子どものことで悩みを抱えていたので、同じように悩んでいる方のお話を読んだり、情報を収集するためにはじめました。一人で悩んでいるよりも、多くの方の意見やアドバイスが得ることができ、何か解決のヒントになるのではないかと思いました。
――そこでトラブルに巻き込まれたのですね。
特に記憶に残っているケースが3つありました。詐欺未遂や金銭の要求を受けただけでなく、DMを拡散されてしまい誹謗中傷を受けました。わが子を狙っているのではないかと感じることもあり、非常に怖い経験をしました。
(1)クラウドファンディングの詐欺未遂
当時フォロワーが1万5000人ほどいました。そこに目をつけられ、優しい人のふりをして近づいてくる人がたくさんいました。
ある人は最初は「僕も父親で過去にあなたと同じ悩みを抱えていたので、あなたの力になりたい」と言って近づいて来たのですが、徐々にお金の話になり、「あなたや子どもを支援したいからクラウドファンディングをしましょう。クラウドファンディングの入金先は僕の口座にしてください」「今後は僕の指示に従ってください。フォロワーがたくさんいるので、お金もすぐに集まりますよ。僕を信用してください」といったメールが何通も送られてきました。
信用させるために、誰のものかもわからない、運転免許証や自宅の写真も次々と送られてきて、気味が悪くなり、警察に相談にいったところ、よくあるクラウドファンディング詐欺だと言われました。
(2)子どもを狙うかのような犯罪
知らない男性からは「子どものことで同じ悩みを抱えている父親です。あなたの力になれることが、あるかもしれません」と連絡が来ました。最初のやり取りではとても優しかったのですが、男性の目的は「子ども」のようでした。
SNSには子どもや家族の写真は載せていませんでしたが、投稿内容から、子どもの性別は推測でき、「助けるためには子どもの写真が必要だ。顔が見たい」「子どもの好きなものを教えてほしい。教えてくれたら自宅まで持っていくので自宅を教えてください」など、子どもを狙おうとしているかのような連絡が繰り返し届きました。
(3)神様を名乗り金銭要求
私の悩みに共感した方から同じように、「あなたとあなたの子どもを救いたい」という連絡が来ました。
この方も最初はとても親身になってくれたのですが、急に「あなたの家族を救うためにはお金が必要です。お金を寄付してください」「お金を払わないと神様はあなたを救ってはくれません。いくら寄付できますか?お金を寄付してくれたら神様はあなたのお力になってくれますよ」と、豹変したように金銭を要求してくるようになりました。
――このような遭遇したケースについて、なにか共通したことはありましたか。
最初はこちらの悩みに対して善人を装い近づき、とても優しく寄り添ってくれるので、私自身も安易ではありますが、相手を疑うことがありませんでした。また当時はひどく悩んでいましたので、顔も本名も知らない相手が「信頼に足る相手」なのか、正常に判断する能力も失っており、わらをもつかむ思いでSNS上でしか知らない相手を信じてしまいました。
――みな「善人のふり」をしていたのでしょうか。
全員、人を信じ込ませることがうまく、信じ込ませた後に、LINEや電話番号、メールアドレスの交換を要求してきました。「(SNSの)DMよりLINEやメールのほうが連絡が取りやすいので教えてほしい」などと言われ、私も聞かれるままに答えてしまいました。
その結果、DMを拒否して連絡を断ったつもりでも、執拗なまでに着信がありました。LINEをブロックしたときは、脅迫メールを送られたり、嫌がらせでDMを拡散されたりしたため、警察に相談に行きました。
警察官からは「はっきりと言いますが、あなたはSNSに向いていないです。あなたに寄って来た人たちは詐欺師で、犯罪者です」「SNSのアカウントは今すぐ消して、知らないアドレスからのメールは受信拒否するように。電話番号も変更して、新しい電話番号は最低限の人以外には絶対に教えないでください」と言われました。
今回経験したことは、私自身の危機管理能力の甘さゆえに起こった過ちだと思います。二度と同じ被害に遭わないために、警察官に言われた通り、今はSNSから一切離れました。
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SNS上で仲よくなった人たちから「LINEや電話のほうが話しやすいから連絡先を交換したい」「大事なことはメールで送りたいからメールアドレスを教えてほしい」など理由をつけて連絡先を聞きだしてくる場合は、注意が必要です。安易な連絡先の交換は避けましょう。祥子さんは「相手とのやり取りで違和感を覚えたり、実際にトラブルに遭遇してしまったりしたときは、警察などへしかるべき窓口に相談するようにしましょう」とも話しています。
(まいどなニュース特約・長岡 杏果)