医療機器などを手掛ける島津製作所の子会社で、病院に納入した機器の中に、一定期間が経った後に故障を装うタイマーを仕掛けた疑惑が浮上していることが分かりました。
■医療機器に“故障タイマー”仕掛ける?
島津製作所:「島津メディカルシステムズでは、X線撮影装置に対するサービス提供において、不適切な行為があったという疑義が生じています。事実関係が明らかになり次第、然るべき対応を行って参ります」
調査が行われているのは、島津製作所の子会社「島津メディカルシステムズ」です。
医療機器の販売や保守点検を手掛ける、この会社に浮上した疑惑。それは、熊本県内の公立病院にある「X線テレビシステム」に回路を遮断するタイマーを仕掛け、故障だと偽って部品を交換したという疑いです。
壊れてもいないのに、一定期間が経った後に故障したかのような仕掛けが、わざと施されていたのでしょうか。
■保守管理に注意「病院側で開けないで」
実際に、島津製の「X線テレビシステム」を導入している別の病院に、どんな装置なのか解説してもらいました。
診療放射線技師:「患者さんの通り抜けたX線を背中側の機械で受け取るような形で、体の中を診るような機械になっています。整形外科でも使いますし、泌尿器科関連でも使われますし、消化器のバリウムの検査などでも、一般的に使うような装置になっています。(病院に)装置が1台しかない場合ですと、(故障した場合)透視を使った処置などできなくて、困ることはあると思う」
保守管理については、ある注意を受けているといいます。
診療放射線技師:「『ユーザー側が開けて見たりするのは、基本的にやめて下さい』と言われている装置。結構、ブラックボックスになっていて。そういう(細工を)されたら、僕らどうしようもないなという印象」
■修理費“228万円” 不要な交換で…
被害に遭った熊本県内の公立病院の関係者によりますと、タイマーは年1回行われる保守点検の際に仕掛けられ、2カ月後の部品交換時に回収されていたとのことで、実際は故障していなかったとみられます。
25日、島津製作所側から謝罪と説明があったといいます。
熊本県内の公立病院の関係者:「(島津製作所側から)タイマーを仕掛けて、不具合が出るような仕掛けをして、(部品)交換させた事実確認した。不正行為が確認されたということまで言っていた」
しかし、信頼関係は崩れてしまいました。
熊本県内の公立病院の関係者:「(修理費は)228万5000円くらいです。『何でこういうことをするのか』という状態です」
■「調査中」不正行為は一部地域限定
こうした不正を個人で行うことは可能なのか。医療系ジャーナリストの星良孝氏に聞きました。
星氏:「個人レベルでできるような装置の細工のものなのかどうか。その(細工の)内容次第になるのかな」
島津製作所は、疑われている不正行為で誤診や医療事故を生む可能性はなく、また一部の地域に限定されているとしたうえで、個人または複数人で行われたのかについても、調査を進めているということです。