東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、東京地検特捜部は、大会組織委員会理事だった高橋治之容疑者(78)について、大会マスコットのぬいぐるみを販売した「サン・アロー」(東京)側から賄賂を受け取ったとする受託収賄容疑で再逮捕する方針を固めた。
高橋容疑者は同社側から現金計約800万円を受領した疑いがあり、特捜部は、ぬいぐるみの販売で便宜を図った謝礼の趣旨があったと判断したとみられる。
高橋容疑者は、紳士服大手「AOKIホールディングス」、出版大手「KADOKAWA」、大手広告会社「大広(だいこう)」の3社側から計約1億4200万円の賄賂を受け取ったとする受託収賄容疑で3度逮捕された。
サン・アローは2018年7月以降、大会マスコットの「ミライトワ」と「ソメイティ」のぬいぐるみについて、公式ライセンス商品として販売した。
関係者によると、高橋容疑者は同社側の要望を受け、組織委側に対し、同社が公式商品のライセンス契約を締結できるよう働きかけていた疑いがもたれている。同社側は18年頃から高橋容疑者の知人のコンサルタント会社に送金し、この会社から高橋容疑者に計約800万円が提供されたという。
知人の会社は登記上の住所に事務所がないなど休眠状態にあったとみられ、特捜部は、高橋容疑者がサン・アロー側に送金を指示した疑いもあるとみている。
高橋容疑者を巡っては、大手広告会社「ADKホールディングス」がスポンサー契約業務を担当できるよう、組織委のマーケティング専任代理店だった同「電通」側に働きかけをしていた疑惑も浮上。ADKは18年、サン・アローと同様に、休眠状態の知人会社に約2000万円を送金しており、特捜部はこの資金の流れについても捜査を進めている。