ビール、コーラ、チョコレート、そしてバーガー。いま食品業界で「クラフト」が大きな流行となっている。「手作り」「こだわり」「時間をかけた」商品が次々に登場するのはなぜか? ファストフードのイメージを覆す「クラフトバーガー」に注目して、その背景に迫る。
最近、「クラフトビール」「クラフトジン」「クラフトコーラ」という名前を耳にしたことがある人は多いのではないだろうか。
ミュンヘン(ドイツ)で1810年から続く伝統的なお祭り「オクトーバーフェスト」の開催が日本でも恒例化されつつある。ビール大国で有名なドイツのクラフトビールを、歌と踊りの楽しい雰囲気とともに楽しむお祭りだが、横浜赤レンガ倉庫や日比谷公園では毎年開催される恒例行事となり、その人気ぶりが伺える。また、2019年にみなとみらいエリアでオープンした横浜ハンマーヘッド内のセブンイレブンは、世界中のクラフトビールが買えるコンビニとして話題となった。
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・クラフトジンサントリーから発売されている「翠」もクラフトの一つだ。ジャパニーズクラフトジンとして売り出されている「翠」は2020年のCM内でのコピーでは「~それはまだ、流行っていない~」としながらも、2021年の国内販売数量が対前年比で236%と好調な売れ行きで、着実にクラフトジンの流行を牽引している。・クラフトコーラクラフトコーラは、世界初のクラフトコーラ専門店と掲げる伊良コーラ(いよしコーラ)が火付け役として有名だが、他にも「沖縄クラフトコーラ」や「山形クラフトコーラ」「越後クラフトコーラ」等、地元発のクラフトコーラなども多く発売されている。それ以外にも、大手飲料メーカーであるアサヒ飲料から「三ツ矢クラフトコーラ」が登場しており、クラフトコーラの注目が集まっていることが分かるだろう。また、既製品以外にもエスビー食品からは自社のスパイスを使用したクラフトコーラの作り方を発信するなど、食品業界全体の注目度が年々高まっているようだ。上記であげたクラフト食品の数々はクラフト〇〇として代表的なものだが、世の中では他にも様々な「クラフト」が登場し始めているのはご存知だろうか。使用する食材やその産地までこだわって厳選し、職人の目の届く範囲の数量で作られる「クラフトチョコレート」、地域興しとして地元の特産品をフレーバー化した「クラフトポテトチップス」、小ロットだからこそできるこだわりの材料を使用した「クラフトアイスクリーム」、大量生産への警笛を鳴らす思いが込められた「クラフトカレー」など、様々なクラフトが登場している。「時間をかけた」「手作り」クラフトバーガーもいま様々なクラフト食品が流行りつつあることを見てきたが、そもそも「クラフト」とは一体何なのだろうか。実は「クラフト」の定義として明確なものは定まっていない。英語のクラフトは「工芸」「手工業」という意味だが、ここでいうクラフト食品としては、「手作り」で「時間をかけて作られるもの」といった意味合いが込められている場合が多いようだ。ひとつひとつ手作りで素材や作り方に手間とこだわりを込める「クラフト」。手間や時間がかかるからこそ一度にできあがる量も少ない。技術が発展して様々なことが機械化できるようになった現代で、なぜいま時間のかかる「クラフト」が求められているのだろうか。 そのヒントを見つける意味でも、美味しい一皿が集まるグルメコミュニティサービス「SARAH」内で注目が集まりつつある「クラフトバーガー」の存在について触れていきたい。以下の表は、FoodDataBankで「クラフト」というワードとともに多く投稿されている食品ジャンルのランキングの一部である。SARAH内での「クラフト」に関する投稿のTOP3がバーガー関連であることが分かる。SARAHに投稿された「クラフトバーガー」のレビューに注目してみると、自家製で作られた「フレッシュすぎるケチャップ」や「じっくり焼いて甘みを出した紫玉ねぎ」「毎日(の)肉挽き」など、量産店では実現できない“時間をかけた仕込み”や、「国産牛パティ」「特性バンズ」「無添加」「焼き加減」など、“こだわりの素材”や“細かな調理工程”が施されている点が人気のポイントとなっていることが分かる。拡大画像表示「レトロ」ブームとの関係は?しかしバーガーといえば、誰しも一番に連想するのは世界で圧倒的シェアを誇るファストフード店のマクドナルドではないだろうか? 外食企業に大打撃を与えたコロナ渦でも、日本マクドナルドホールディングスは創業以来の最高売上を叩き出したことは記憶に新しい。自宅にいながら簡単に注文ができて、時間を問わずオーダーすることができるファストフードの需要はアフターコロナの世の中でも定着するサービスに成長した。一方で、わざわざ店に通い、ひとつひとつ時間をかけて手作りするクラフトバーガーの魅力はどのような点にあるのだろうか。また、人気の背景にはどのような消費者心理があるのだろうか。 ここで、食べ物以外の流行についても着目してみたい。テーブルウェア商品では、1970年代のプリントを復刻したデザインガラスを発売するアデリアレトロの人気が拡大している。株式会社バロックジャパンリミテッド プレスリリースよりかつて昭和の家庭で親しまれていたレトロ柄は、Z世代にとっては新しい柄として捉えられているようだ。株式会社バロックジャパンリミテッドのThe SHEL’TTER TOKYO東急プラザ表参道原宿店では、9月23日から10月3日までアデリアレトロのPOP UP STOREが期間限定でオープンされていた。その他にも、当時実際に使用していた世代が懐かしさから手に取っている。アミューズメント施設では、2021年5月に昭和レトロをテーマにリニューアルオープンした西武遊園地が話題を呼んでいる。昭和の町並みがリアルに再現されているだけでなく、そこに登場する“人”も昭和の温かみがあることが人気の要因だ。サイト上の人物紹介で「商店街会長。八百屋とよく喧嘩する。」と紹介されている魚海 勝男。「喋りだしたら止まらない、銭湯屋の番台よし子は商店街の名物おばちゃん。」末松 よし子。「西武園ゆうえんち」公式サイトよりといった様子で、キャラを立たせた設定が細かく明記されている。その他にも、レトロファッションやレトログルメなどの温かさを感じる様々な仕掛けが盛り込まれているようだ。テーブルウェア商品のアデリアレトロや、アミューズメント施設の西武遊園地といった一見異なる業界でも共通して言えることは、モノやサービスの背景に人の存在を感じられるかどうかではないだろうか。 様々なものやサービスが機械化され、「より簡単で早く」が慢性化しつつある現代社会で「より手間と時間をかける」ことがあえて選ばれている。その背景にはデジタル化や情報過多時代への疲れ、人肌恋しさがあるのかもしれない。そのような流れは非接触を強いられたパンデミックの影響も少なからずあるだろう。SNSの評価指標でも近年ではフォロワー数の多さだけでなく、より人々の感情の動きを注視するようになってきている。食に関しても、人の温かみを重視した「食のレトロ志向」が強まっているのではないだろうか。時間を惜しまずひと手間をかけることで、その店ならではの「特徴」や「感動」が生まれ、わざわざ行く「意味」になる。そういった人を通して「心が揺れ動く」体験が、選ばれる食の新しい付加価値になっていくのかもしれない。
サントリーから発売されている「翠」もクラフトの一つだ。ジャパニーズクラフトジンとして売り出されている「翠」は2020年のCM内でのコピーでは「~それはまだ、流行っていない~」としながらも、2021年の国内販売数量が対前年比で236%と好調な売れ行きで、着実にクラフトジンの流行を牽引している。
クラフトコーラは、世界初のクラフトコーラ専門店と掲げる伊良コーラ(いよしコーラ)が火付け役として有名だが、他にも「沖縄クラフトコーラ」や「山形クラフトコーラ」「越後クラフトコーラ」等、地元発のクラフトコーラなども多く発売されている。それ以外にも、大手飲料メーカーであるアサヒ飲料から「三ツ矢クラフトコーラ」が登場しており、クラフトコーラの注目が集まっていることが分かるだろう。また、既製品以外にもエスビー食品からは自社のスパイスを使用したクラフトコーラの作り方を発信するなど、食品業界全体の注目度が年々高まっているようだ。
上記であげたクラフト食品の数々はクラフト〇〇として代表的なものだが、世の中では他にも様々な「クラフト」が登場し始めているのはご存知だろうか。使用する食材やその産地までこだわって厳選し、職人の目の届く範囲の数量で作られる「クラフトチョコレート」、地域興しとして地元の特産品をフレーバー化した「クラフトポテトチップス」、小ロットだからこそできるこだわりの材料を使用した「クラフトアイスクリーム」、大量生産への警笛を鳴らす思いが込められた「クラフトカレー」など、様々なクラフトが登場している。
いま様々なクラフト食品が流行りつつあることを見てきたが、そもそも「クラフト」とは一体何なのだろうか。実は「クラフト」の定義として明確なものは定まっていない。英語のクラフトは「工芸」「手工業」という意味だが、ここでいうクラフト食品としては、「手作り」で「時間をかけて作られるもの」といった意味合いが込められている場合が多いようだ。
ひとつひとつ手作りで素材や作り方に手間とこだわりを込める「クラフト」。手間や時間がかかるからこそ一度にできあがる量も少ない。技術が発展して様々なことが機械化できるようになった現代で、なぜいま時間のかかる「クラフト」が求められているのだろうか。
そのヒントを見つける意味でも、美味しい一皿が集まるグルメコミュニティサービス「SARAH」内で注目が集まりつつある「クラフトバーガー」の存在について触れていきたい。以下の表は、FoodDataBankで「クラフト」というワードとともに多く投稿されている食品ジャンルのランキングの一部である。SARAH内での「クラフト」に関する投稿のTOP3がバーガー関連であることが分かる。SARAHに投稿された「クラフトバーガー」のレビューに注目してみると、自家製で作られた「フレッシュすぎるケチャップ」や「じっくり焼いて甘みを出した紫玉ねぎ」「毎日(の)肉挽き」など、量産店では実現できない“時間をかけた仕込み”や、「国産牛パティ」「特性バンズ」「無添加」「焼き加減」など、“こだわりの素材”や“細かな調理工程”が施されている点が人気のポイントとなっていることが分かる。拡大画像表示「レトロ」ブームとの関係は?しかしバーガーといえば、誰しも一番に連想するのは世界で圧倒的シェアを誇るファストフード店のマクドナルドではないだろうか? 外食企業に大打撃を与えたコロナ渦でも、日本マクドナルドホールディングスは創業以来の最高売上を叩き出したことは記憶に新しい。自宅にいながら簡単に注文ができて、時間を問わずオーダーすることができるファストフードの需要はアフターコロナの世の中でも定着するサービスに成長した。一方で、わざわざ店に通い、ひとつひとつ時間をかけて手作りするクラフトバーガーの魅力はどのような点にあるのだろうか。また、人気の背景にはどのような消費者心理があるのだろうか。 ここで、食べ物以外の流行についても着目してみたい。テーブルウェア商品では、1970年代のプリントを復刻したデザインガラスを発売するアデリアレトロの人気が拡大している。株式会社バロックジャパンリミテッド プレスリリースよりかつて昭和の家庭で親しまれていたレトロ柄は、Z世代にとっては新しい柄として捉えられているようだ。株式会社バロックジャパンリミテッドのThe SHEL’TTER TOKYO東急プラザ表参道原宿店では、9月23日から10月3日までアデリアレトロのPOP UP STOREが期間限定でオープンされていた。その他にも、当時実際に使用していた世代が懐かしさから手に取っている。アミューズメント施設では、2021年5月に昭和レトロをテーマにリニューアルオープンした西武遊園地が話題を呼んでいる。昭和の町並みがリアルに再現されているだけでなく、そこに登場する“人”も昭和の温かみがあることが人気の要因だ。サイト上の人物紹介で「商店街会長。八百屋とよく喧嘩する。」と紹介されている魚海 勝男。「喋りだしたら止まらない、銭湯屋の番台よし子は商店街の名物おばちゃん。」末松 よし子。「西武園ゆうえんち」公式サイトよりといった様子で、キャラを立たせた設定が細かく明記されている。その他にも、レトロファッションやレトログルメなどの温かさを感じる様々な仕掛けが盛り込まれているようだ。テーブルウェア商品のアデリアレトロや、アミューズメント施設の西武遊園地といった一見異なる業界でも共通して言えることは、モノやサービスの背景に人の存在を感じられるかどうかではないだろうか。 様々なものやサービスが機械化され、「より簡単で早く」が慢性化しつつある現代社会で「より手間と時間をかける」ことがあえて選ばれている。その背景にはデジタル化や情報過多時代への疲れ、人肌恋しさがあるのかもしれない。そのような流れは非接触を強いられたパンデミックの影響も少なからずあるだろう。SNSの評価指標でも近年ではフォロワー数の多さだけでなく、より人々の感情の動きを注視するようになってきている。食に関しても、人の温かみを重視した「食のレトロ志向」が強まっているのではないだろうか。時間を惜しまずひと手間をかけることで、その店ならではの「特徴」や「感動」が生まれ、わざわざ行く「意味」になる。そういった人を通して「心が揺れ動く」体験が、選ばれる食の新しい付加価値になっていくのかもしれない。
そのヒントを見つける意味でも、美味しい一皿が集まるグルメコミュニティサービス「SARAH」内で注目が集まりつつある「クラフトバーガー」の存在について触れていきたい。
以下の表は、FoodDataBankで「クラフト」というワードとともに多く投稿されている食品ジャンルのランキングの一部である。SARAH内での「クラフト」に関する投稿のTOP3がバーガー関連であることが分かる。
SARAHに投稿された「クラフトバーガー」のレビューに注目してみると、自家製で作られた「フレッシュすぎるケチャップ」や「じっくり焼いて甘みを出した紫玉ねぎ」「毎日(の)肉挽き」など、量産店では実現できない“時間をかけた仕込み”や、「国産牛パティ」「特性バンズ」「無添加」「焼き加減」など、“こだわりの素材”や“細かな調理工程”が施されている点が人気のポイントとなっていることが分かる。拡大画像表示「レトロ」ブームとの関係は?しかしバーガーといえば、誰しも一番に連想するのは世界で圧倒的シェアを誇るファストフード店のマクドナルドではないだろうか? 外食企業に大打撃を与えたコロナ渦でも、日本マクドナルドホールディングスは創業以来の最高売上を叩き出したことは記憶に新しい。自宅にいながら簡単に注文ができて、時間を問わずオーダーすることができるファストフードの需要はアフターコロナの世の中でも定着するサービスに成長した。一方で、わざわざ店に通い、ひとつひとつ時間をかけて手作りするクラフトバーガーの魅力はどのような点にあるのだろうか。また、人気の背景にはどのような消費者心理があるのだろうか。 ここで、食べ物以外の流行についても着目してみたい。テーブルウェア商品では、1970年代のプリントを復刻したデザインガラスを発売するアデリアレトロの人気が拡大している。株式会社バロックジャパンリミテッド プレスリリースよりかつて昭和の家庭で親しまれていたレトロ柄は、Z世代にとっては新しい柄として捉えられているようだ。株式会社バロックジャパンリミテッドのThe SHEL’TTER TOKYO東急プラザ表参道原宿店では、9月23日から10月3日までアデリアレトロのPOP UP STOREが期間限定でオープンされていた。その他にも、当時実際に使用していた世代が懐かしさから手に取っている。アミューズメント施設では、2021年5月に昭和レトロをテーマにリニューアルオープンした西武遊園地が話題を呼んでいる。昭和の町並みがリアルに再現されているだけでなく、そこに登場する“人”も昭和の温かみがあることが人気の要因だ。サイト上の人物紹介で「商店街会長。八百屋とよく喧嘩する。」と紹介されている魚海 勝男。「喋りだしたら止まらない、銭湯屋の番台よし子は商店街の名物おばちゃん。」末松 よし子。「西武園ゆうえんち」公式サイトよりといった様子で、キャラを立たせた設定が細かく明記されている。その他にも、レトロファッションやレトログルメなどの温かさを感じる様々な仕掛けが盛り込まれているようだ。テーブルウェア商品のアデリアレトロや、アミューズメント施設の西武遊園地といった一見異なる業界でも共通して言えることは、モノやサービスの背景に人の存在を感じられるかどうかではないだろうか。 様々なものやサービスが機械化され、「より簡単で早く」が慢性化しつつある現代社会で「より手間と時間をかける」ことがあえて選ばれている。その背景にはデジタル化や情報過多時代への疲れ、人肌恋しさがあるのかもしれない。そのような流れは非接触を強いられたパンデミックの影響も少なからずあるだろう。SNSの評価指標でも近年ではフォロワー数の多さだけでなく、より人々の感情の動きを注視するようになってきている。食に関しても、人の温かみを重視した「食のレトロ志向」が強まっているのではないだろうか。時間を惜しまずひと手間をかけることで、その店ならではの「特徴」や「感動」が生まれ、わざわざ行く「意味」になる。そういった人を通して「心が揺れ動く」体験が、選ばれる食の新しい付加価値になっていくのかもしれない。
SARAHに投稿された「クラフトバーガー」のレビューに注目してみると、自家製で作られた「フレッシュすぎるケチャップ」や「じっくり焼いて甘みを出した紫玉ねぎ」「毎日(の)肉挽き」など、量産店では実現できない“時間をかけた仕込み”や、「国産牛パティ」「特性バンズ」「無添加」「焼き加減」など、“こだわりの素材”や“細かな調理工程”が施されている点が人気のポイントとなっていることが分かる。
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しかしバーガーといえば、誰しも一番に連想するのは世界で圧倒的シェアを誇るファストフード店のマクドナルドではないだろうか? 外食企業に大打撃を与えたコロナ渦でも、日本マクドナルドホールディングスは創業以来の最高売上を叩き出したことは記憶に新しい。
自宅にいながら簡単に注文ができて、時間を問わずオーダーすることができるファストフードの需要はアフターコロナの世の中でも定着するサービスに成長した。一方で、わざわざ店に通い、ひとつひとつ時間をかけて手作りするクラフトバーガーの魅力はどのような点にあるのだろうか。また、人気の背景にはどのような消費者心理があるのだろうか。
ここで、食べ物以外の流行についても着目してみたい。テーブルウェア商品では、1970年代のプリントを復刻したデザインガラスを発売するアデリアレトロの人気が拡大している。株式会社バロックジャパンリミテッド プレスリリースよりかつて昭和の家庭で親しまれていたレトロ柄は、Z世代にとっては新しい柄として捉えられているようだ。株式会社バロックジャパンリミテッドのThe SHEL’TTER TOKYO東急プラザ表参道原宿店では、9月23日から10月3日までアデリアレトロのPOP UP STOREが期間限定でオープンされていた。その他にも、当時実際に使用していた世代が懐かしさから手に取っている。アミューズメント施設では、2021年5月に昭和レトロをテーマにリニューアルオープンした西武遊園地が話題を呼んでいる。昭和の町並みがリアルに再現されているだけでなく、そこに登場する“人”も昭和の温かみがあることが人気の要因だ。サイト上の人物紹介で「商店街会長。八百屋とよく喧嘩する。」と紹介されている魚海 勝男。「喋りだしたら止まらない、銭湯屋の番台よし子は商店街の名物おばちゃん。」末松 よし子。「西武園ゆうえんち」公式サイトよりといった様子で、キャラを立たせた設定が細かく明記されている。その他にも、レトロファッションやレトログルメなどの温かさを感じる様々な仕掛けが盛り込まれているようだ。テーブルウェア商品のアデリアレトロや、アミューズメント施設の西武遊園地といった一見異なる業界でも共通して言えることは、モノやサービスの背景に人の存在を感じられるかどうかではないだろうか。 様々なものやサービスが機械化され、「より簡単で早く」が慢性化しつつある現代社会で「より手間と時間をかける」ことがあえて選ばれている。その背景にはデジタル化や情報過多時代への疲れ、人肌恋しさがあるのかもしれない。そのような流れは非接触を強いられたパンデミックの影響も少なからずあるだろう。SNSの評価指標でも近年ではフォロワー数の多さだけでなく、より人々の感情の動きを注視するようになってきている。食に関しても、人の温かみを重視した「食のレトロ志向」が強まっているのではないだろうか。時間を惜しまずひと手間をかけることで、その店ならではの「特徴」や「感動」が生まれ、わざわざ行く「意味」になる。そういった人を通して「心が揺れ動く」体験が、選ばれる食の新しい付加価値になっていくのかもしれない。
ここで、食べ物以外の流行についても着目してみたい。テーブルウェア商品では、1970年代のプリントを復刻したデザインガラスを発売するアデリアレトロの人気が拡大している。
株式会社バロックジャパンリミテッド プレスリリースより
かつて昭和の家庭で親しまれていたレトロ柄は、Z世代にとっては新しい柄として捉えられているようだ。株式会社バロックジャパンリミテッドのThe SHEL’TTER TOKYO東急プラザ表参道原宿店では、9月23日から10月3日までアデリアレトロのPOP UP STOREが期間限定でオープンされていた。
その他にも、当時実際に使用していた世代が懐かしさから手に取っている。
アミューズメント施設では、2021年5月に昭和レトロをテーマにリニューアルオープンした西武遊園地が話題を呼んでいる。昭和の町並みがリアルに再現されているだけでなく、そこに登場する“人”も昭和の温かみがあることが人気の要因だ。
サイト上の人物紹介で「商店街会長。八百屋とよく喧嘩する。」と紹介されている魚海 勝男。「喋りだしたら止まらない、銭湯屋の番台よし子は商店街の名物おばちゃん。」末松 よし子。
「西武園ゆうえんち」公式サイトより
といった様子で、キャラを立たせた設定が細かく明記されている。その他にも、レトロファッションやレトログルメなどの温かさを感じる様々な仕掛けが盛り込まれているようだ。
テーブルウェア商品のアデリアレトロや、アミューズメント施設の西武遊園地といった一見異なる業界でも共通して言えることは、モノやサービスの背景に人の存在を感じられるかどうかではないだろうか。
様々なものやサービスが機械化され、「より簡単で早く」が慢性化しつつある現代社会で「より手間と時間をかける」ことがあえて選ばれている。その背景にはデジタル化や情報過多時代への疲れ、人肌恋しさがあるのかもしれない。そのような流れは非接触を強いられたパンデミックの影響も少なからずあるだろう。SNSの評価指標でも近年ではフォロワー数の多さだけでなく、より人々の感情の動きを注視するようになってきている。食に関しても、人の温かみを重視した「食のレトロ志向」が強まっているのではないだろうか。時間を惜しまずひと手間をかけることで、その店ならではの「特徴」や「感動」が生まれ、わざわざ行く「意味」になる。そういった人を通して「心が揺れ動く」体験が、選ばれる食の新しい付加価値になっていくのかもしれない。
様々なものやサービスが機械化され、「より簡単で早く」が慢性化しつつある現代社会で「より手間と時間をかける」ことがあえて選ばれている。その背景にはデジタル化や情報過多時代への疲れ、人肌恋しさがあるのかもしれない。
そのような流れは非接触を強いられたパンデミックの影響も少なからずあるだろう。SNSの評価指標でも近年ではフォロワー数の多さだけでなく、より人々の感情の動きを注視するようになってきている。
食に関しても、人の温かみを重視した「食のレトロ志向」が強まっているのではないだろうか。時間を惜しまずひと手間をかけることで、その店ならではの「特徴」や「感動」が生まれ、わざわざ行く「意味」になる。そういった人を通して「心が揺れ動く」体験が、選ばれる食の新しい付加価値になっていくのかもしれない。