6代目山口組3代目弘道会傘下・10代目常滑(とこなめ)一家といえばヤクザの世界では老舗とされている。この組織のA若頭(53)が、一家の総長(73)を殴ったり蹴ったりした暴行の容疑で逮捕されたのは7月14日のこと。その後、不起訴となったが、3代目弘道会の高山清司総裁・竹内照明会長はいかなる処分を下すことにしたのか?
【写真を見る】銀座ホステスらと共に司忍組長の誕生日会を祝った高山若頭 まずは事件をざっと振り返っておこう。「A若頭は7月14日、愛知県常滑市の名鉄常滑駅のロータリーで、所属する10代目常滑一家の磯部伸治総長の頭や足を殴ったり蹴ったりした疑いで逮捕されていました」

3代目弘道会の高山清司総裁と竹内照明会長 と、担当記者。A若頭は暴行の後にその場を立ち去った。が、目撃していた通行人が警察に通報し、事件が露見することとなった。目撃者によれば、「バカ野郎」「お前、また下手うちしやがって」などとA若頭は磯部総長を罵っていたという。 子分が親分に暴力をふるうという、ヤクザの世界におけるタブー中のタブーを犯した案件として注目を集めることとなっていた。認知症になった親分のケア「磯部総長から被害届は出ていなかったので、起訴は免れるだろうと見られており、実際そのようになりました」(同) 10代目常滑一家は老舗組織だが、現在、若い衆は数人ほどしかいないとされる。「A若頭はすでに3代目弘道会直参で、ナンバー2として常滑一家を実質的に切り盛りしてきた立場です。組織を乗っ取ろうとかクーデターを起こす動機がないですし、仮にどうしてもやろうとするなら、もうちょっと別の手段に訴えたと思います」 と話すのは、竹垣悟氏(元山口組系義竜会会長で、現在はNPO法人「五仁會」を主宰)。「磯部総長は認知症を患っていたそうです。A若頭としては若い衆が少ない中、総長へのケアもする必要があり、ストレスをためこんでいる中で、手や足が出てしまったのではないかという声がありますね」(同) 病気の影響かどうかは定かではないものの、磯部総長は今年8月と昨年4月、カタギの人間を恐喝した容疑で共犯者と共に逮捕されるなど、ここ5年で逮捕された事案が6回を数えているとされる。高山総裁・竹内会長が下した処分 磯部総長への暴行発生は7月で、直近の恐喝での逮捕は8月だが、A若頭としては何らかの情報を掴んだうえで、暴行に及んでしまったのかもしれない。「バカ野郎」「下手うちしやがって」は心の叫びというところだろうか。 では、今回の不起訴を経て、A若頭にはどういった処分が下ったのか。「破門になったそうです。3代目弘道会の高山清司総裁・竹内照明会長が判断した結果でしょう。絶縁ではないので何年後かに組織に戻ることは可能ではありますが、常滑一家が現状の形で存在している可能性は低いでしょうね」(同) トップが病を抱えたままで、それをカバーすべく切り盛りしてきたナンバー2が不在となり、組員も数人となれば組織としての形を維持するのは極めて困難だということなのだろう。現在、10代目常滑一家が置かれた状況に鑑みると、謹慎レベルの処分が下されるとの見方もあったようだが……。「6代目山口組は長幼の序を重んじることを綱領に盛り込んでいます。3代目弘道会はその中核組織ですから、原理原則に基づいて判断したということになるのでしょう。磯部総長は遅かれ早かれ引退の道を選ぶものとみられます」(同) 長幼の序を重んじてA若頭は磯部総長を今後もサポートするのか、あるいは別の道を歩むことになるのか。デイリー新潮編集部
まずは事件をざっと振り返っておこう。
「A若頭は7月14日、愛知県常滑市の名鉄常滑駅のロータリーで、所属する10代目常滑一家の磯部伸治総長の頭や足を殴ったり蹴ったりした疑いで逮捕されていました」
と、担当記者。A若頭は暴行の後にその場を立ち去った。が、目撃していた通行人が警察に通報し、事件が露見することとなった。目撃者によれば、「バカ野郎」「お前、また下手うちしやがって」などとA若頭は磯部総長を罵っていたという。
子分が親分に暴力をふるうという、ヤクザの世界におけるタブー中のタブーを犯した案件として注目を集めることとなっていた。
「磯部総長から被害届は出ていなかったので、起訴は免れるだろうと見られており、実際そのようになりました」(同)
10代目常滑一家は老舗組織だが、現在、若い衆は数人ほどしかいないとされる。
「A若頭はすでに3代目弘道会直参で、ナンバー2として常滑一家を実質的に切り盛りしてきた立場です。組織を乗っ取ろうとかクーデターを起こす動機がないですし、仮にどうしてもやろうとするなら、もうちょっと別の手段に訴えたと思います」
と話すのは、竹垣悟氏(元山口組系義竜会会長で、現在はNPO法人「五仁會」を主宰)。
「磯部総長は認知症を患っていたそうです。A若頭としては若い衆が少ない中、総長へのケアもする必要があり、ストレスをためこんでいる中で、手や足が出てしまったのではないかという声がありますね」(同)
病気の影響かどうかは定かではないものの、磯部総長は今年8月と昨年4月、カタギの人間を恐喝した容疑で共犯者と共に逮捕されるなど、ここ5年で逮捕された事案が6回を数えているとされる。
磯部総長への暴行発生は7月で、直近の恐喝での逮捕は8月だが、A若頭としては何らかの情報を掴んだうえで、暴行に及んでしまったのかもしれない。「バカ野郎」「下手うちしやがって」は心の叫びというところだろうか。
では、今回の不起訴を経て、A若頭にはどういった処分が下ったのか。
「破門になったそうです。3代目弘道会の高山清司総裁・竹内照明会長が判断した結果でしょう。絶縁ではないので何年後かに組織に戻ることは可能ではありますが、常滑一家が現状の形で存在している可能性は低いでしょうね」(同)
トップが病を抱えたままで、それをカバーすべく切り盛りしてきたナンバー2が不在となり、組員も数人となれば組織としての形を維持するのは極めて困難だということなのだろう。現在、10代目常滑一家が置かれた状況に鑑みると、謹慎レベルの処分が下されるとの見方もあったようだが……。
「6代目山口組は長幼の序を重んじることを綱領に盛り込んでいます。3代目弘道会はその中核組織ですから、原理原則に基づいて判断したということになるのでしょう。磯部総長は遅かれ早かれ引退の道を選ぶものとみられます」(同)
長幼の序を重んじてA若頭は磯部総長を今後もサポートするのか、あるいは別の道を歩むことになるのか。
デイリー新潮編集部