ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、北朝鮮によるミサイルは、9日も1発発射されて今年に入り32回目だ。世界情勢の緊張に高まりを不安に思う人もいるだろうが、日本で購入できる「核シェルター」があるのをご存じだろうか。それが「CRISIS-01」(クライシス ゼロワン)。鉄板や鉛板で覆われた地上設置型のシェルターで、放射性物質や生物・化学兵器などで汚染された外気をろ過する、イスラエル製の特殊な空気フィルターなどを備えているという。

筐体は重厚感あるデザインで、重量は約2.3トン。大きさは幅が約4メートル、奥行きが約2メートル、高さが約2.15メートル(いずれも外寸)になっている。内部の広さは約10平方メートルで、大人だけなら3人ほど、子どもを含めるなら4~5人ほどが避難できるという。本体価格は660万円(税込)で、一般家庭の庭や駐車スペースにも普通自動車1台分のスペースがあれば設置可能だという。エアコン標準装備で換気機能なども備えているため、平常時には書斎や仕事場所としても活用できるとのことだ。※設置には本体代金のほか、運搬費や工事の施工費などがかかる。建築確認申請は基本的に不要だが、設置する地域によっては必要な場合もある。空気中の放射性物質などから身を守るCRISIS-01は2021年12月に発表され、約1年間で7台以上を販売したという。核の脅威にはどう対処できるのか。製造元である「直エンジニアリング」(茨城・結城市)の開発者に聞いた。――CRISIS-01の設備や機能を教えて。イスラエル製の放射性物質除去フィルター「レインボー72R」をはじめ、冷暖房エアコン、照明、高密閉の換気扇、ステップ階段、非常脱出扉、外部電源口、防犯カメラなどを備えています。内部にはコンセントも備えているので、仕事などいろいろな用途で使用が可能です。――核の影響からはどのようにして守られる?放射性物質除去フィルターにより、外気に含まれる有害物質を99.995%除去できます。放射性物質だけではなく、生物・化学兵器(サリン、VXガスなど)、火山性ガスなどの有害物質も除去できるとされています。このほか筐体は分厚い鉄板に加えて、鉛板でも覆われています。――核ミサイルの攻撃に耐えることはできるの?お問い合わせされた方にもお話していますが、ミサイルなどの爆発自体に耐えることは難しいです。核兵器は規模にもよりますが、もしも使われた場合は空気中に放射性物質が舞い、皮膚に浴びたり吸い込んだりすると、内部被ばくの可能性があります。有事には、生物化学兵器などが使われることもあるかもしれません。CRISIS-01はそうしたことが自宅から数十km圏で起きたとき、家族を守るためのシェルターになります。日本の核シェルターの普及率は「0.02%」――核シェルターの事業はどうして始めたの?CRISIS-01は発表は2021年ですが、開発を始めたのは2014年ごろからです。弊社はもともと非常用発電機などを製造していて、開発者の私は危機管理の意識が強いタイプでした。最初は「弊社の技術力で命を守るものが作れないか」と思ったのがきっかけです。日本の核シェルターの普及率は0.02%(日本核シェルター協会調べ)と言われ、他国と比べても普及していません。理由の一つが価格の高さで、一般的な地下シェルターを作るには1500~2000万円かかると思われます。この普及率をあげたいとも思い、駐車場のスペースにも置けて普段づかいもできるような、地上設置型の製品を開発しました。――施錠や開錠の仕組みは?外部との通信手段は?通常の鍵での施錠になります。扉は筐体正面のほか、避難した際に開かなくなることも想定して裏側に非常扉も設けています。非常扉は内側からしか開かない構造です。外部との通信手段は、筐体の四隅に街灯があり、内部から点灯させることができます。中に人がいるメッセージになりますし、モールス信号のようなこともできるかもしれません。室内にLANケーブルを引き込むこともできますので、インターネットで情報を得ることもできます。――有事には停電も想定されるが、どうなる?CRISIS-01自体に発電装置は搭載していません。ただ、屋根に太陽光パネルを設置して、ポータブル電源に蓄電するような仕組みは、オプションで加えることもできます。また、放射性物質除去フィルターは停電の際でも、手動で動かすことができます。世界情勢は待ったなし…命を守ることにつながれば――世界情勢の影響はある?購入者の声は?北朝鮮がミサイルを打つと、メールや電話での問い合わせが増えます。ただ、時間が経つと忘れてしまうのか落ち着きもします。実際の購入者は避難場所としてだけではなく、テレワークなど普段からでも使いたいとしていました。有事の際、家族だけでも助けたいという方もいました。――シェルターに関連して伝えたいことは?核シェルターに限らず、シェルターには津波対策や地下に設置できるものもあります。CRISIS-01を買ってほしいというよりは、いろいろなタイプのシェルターが日本中に普及することを望みたいです。世界情勢は待ってくれませんし、国民の命を守ることにもつながると思います。直エンジニアリングは各地で販売代理店を増やしていて、CRISIS-01はここを通じても購入可能。販売代理店のひとつ「グロースビュー」(青森・八戸市)では筐体の展示も行われており、購入を視野に見学に来る人も多いという。ミサイルの爆撃自体に対処することは難しいというが、放射性物質などの被害を軽減することにはつながりそうだ。価格や土地の関係で地下シェルターの導入は難しいが、有事の備えはほしい。そんな時の選択肢として、考えるのもいいかもしれない。(提供:直エンジニアリング)
ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、北朝鮮によるミサイルは、9日も1発発射されて今年に入り32回目だ。
世界情勢の緊張に高まりを不安に思う人もいるだろうが、日本で購入できる「核シェルター」があるのをご存じだろうか。
それが「CRISIS-01」(クライシス ゼロワン)。鉄板や鉛板で覆われた地上設置型のシェルターで、放射性物質や生物・化学兵器などで汚染された外気をろ過する、イスラエル製の特殊な空気フィルターなどを備えているという。
筐体は重厚感あるデザインで、重量は約2.3トン。大きさは幅が約4メートル、奥行きが約2メートル、高さが約2.15メートル(いずれも外寸)になっている。内部の広さは約10平方メートルで、大人だけなら3人ほど、子どもを含めるなら4~5人ほどが避難できるという。
本体価格は660万円(税込)で、一般家庭の庭や駐車スペースにも普通自動車1台分のスペースがあれば設置可能だという。エアコン標準装備で換気機能なども備えているため、平常時には書斎や仕事場所としても活用できるとのことだ。
※設置には本体代金のほか、運搬費や工事の施工費などがかかる。建築確認申請は基本的に不要だが、設置する地域によっては必要な場合もある。
CRISIS-01は2021年12月に発表され、約1年間で7台以上を販売したという。核の脅威にはどう対処できるのか。製造元である「直エンジニアリング」(茨城・結城市)の開発者に聞いた。
――CRISIS-01の設備や機能を教えて。
イスラエル製の放射性物質除去フィルター「レインボー72R」をはじめ、冷暖房エアコン、照明、高密閉の換気扇、ステップ階段、非常脱出扉、外部電源口、防犯カメラなどを備えています。内部にはコンセントも備えているので、仕事などいろいろな用途で使用が可能です。
――核の影響からはどのようにして守られる?
放射性物質除去フィルターにより、外気に含まれる有害物質を99.995%除去できます。放射性物質だけではなく、生物・化学兵器(サリン、VXガスなど)、火山性ガスなどの有害物質も除去できるとされています。このほか筐体は分厚い鉄板に加えて、鉛板でも覆われています。
――核ミサイルの攻撃に耐えることはできるの?
お問い合わせされた方にもお話していますが、ミサイルなどの爆発自体に耐えることは難しいです。核兵器は規模にもよりますが、もしも使われた場合は空気中に放射性物質が舞い、皮膚に浴びたり吸い込んだりすると、内部被ばくの可能性があります。
有事には、生物化学兵器などが使われることもあるかもしれません。CRISIS-01はそうしたことが自宅から数十km圏で起きたとき、家族を守るためのシェルターになります。
――核シェルターの事業はどうして始めたの?
CRISIS-01は発表は2021年ですが、開発を始めたのは2014年ごろからです。弊社はもともと非常用発電機などを製造していて、開発者の私は危機管理の意識が強いタイプでした。最初は「弊社の技術力で命を守るものが作れないか」と思ったのがきっかけです。
日本の核シェルターの普及率は0.02%(日本核シェルター協会調べ)と言われ、他国と比べても普及していません。理由の一つが価格の高さで、一般的な地下シェルターを作るには1500~2000万円かかると思われます。この普及率をあげたいとも思い、駐車場のスペースにも置けて普段づかいもできるような、地上設置型の製品を開発しました。
――施錠や開錠の仕組みは?外部との通信手段は?
通常の鍵での施錠になります。扉は筐体正面のほか、避難した際に開かなくなることも想定して裏側に非常扉も設けています。非常扉は内側からしか開かない構造です。外部との通信手段は、筐体の四隅に街灯があり、内部から点灯させることができます。中に人がいるメッセージになりますし、モールス信号のようなこともできるかもしれません。室内にLANケーブルを引き込むこともできますので、インターネットで情報を得ることもできます。
――有事には停電も想定されるが、どうなる?
CRISIS-01自体に発電装置は搭載していません。ただ、屋根に太陽光パネルを設置して、ポータブル電源に蓄電するような仕組みは、オプションで加えることもできます。また、放射性物質除去フィルターは停電の際でも、手動で動かすことができます。
――世界情勢の影響はある?購入者の声は?
北朝鮮がミサイルを打つと、メールや電話での問い合わせが増えます。ただ、時間が経つと忘れてしまうのか落ち着きもします。実際の購入者は避難場所としてだけではなく、テレワークなど普段からでも使いたいとしていました。有事の際、家族だけでも助けたいという方もいました。
――シェルターに関連して伝えたいことは?
直エンジニアリングは各地で販売代理店を増やしていて、CRISIS-01はここを通じても購入可能。販売代理店のひとつ「グロースビュー」(青森・八戸市)では筐体の展示も行われており、購入を視野に見学に来る人も多いという。
ミサイルの爆撃自体に対処することは難しいというが、放射性物質などの被害を軽減することにはつながりそうだ。価格や土地の関係で地下シェルターの導入は難しいが、有事の備えはほしい。そんな時の選択肢として、考えるのもいいかもしれない。
(提供:直エンジニアリング)