港区で毎週末開催されるタワーマンションパーティー。キレイな夜景を見ながらシャンパンなど片手に男女が優雅に話をしている……、そんな情景をみなさんは思い浮かべるだろうか。
しかし、実際はそれとは大きく異なる。数人の主催者と親交があり、自らもいくつものパーティーに参加をしている漫画家でライターの桜アスナが港区タワーマンションパーティーの実態を明かす。
◆優雅とは程遠い雰囲気の会場
タワーマンションパーティーの参加費の相場は、男性は1万円ほど、女性は無料か3000円ほど。パーティーは主催者が利益を出す目的で行われているため、なるべく多くの人を招待するようだ。座る場所を探すのも一苦労するほど会場が人でいっぱいになっているパーティーが多く、コロナ禍でも全くおかまいなしに開催されている。どこのパーティーでも夜景を楽しむような雰囲気はない。
「お酒をたくさん用意して、寿司職人が寿司を握りに来ます!」などと謳って人を呼んだパーティーでも、酒は1本70円ほどの缶チューハイで寿司職人はいない……。代わりに安く用意できるパスタやスナック菓子を置いている。
また「タワーマンションの屋上テラスでバーベキューやります!」といって参加者を募ったパーティーでは、1キロ700円の固い激安肉が焼かれていたり、「30階の高層マンションです!」と案内には書かれていたのに、実は18階建てだった……という事もあった。
このように、参加者を集めたいがために送られてくるパーティーの誘いのラインには嘘が多い。それでも「出会い」を求めている人が多いからそのようなやり方でも人が集まる。
◆どんな人がパーティーに参加しているのか
パーティーの女性参加者はマッチングアプリやクラブで声をかけて誘われる事が多い。女子大生やOLをはじめ、セクシー女優やタレントが参加していることもある。男性は普通のサラリーマンが一番多く、他には公務員、経営者、弁護士など、参加者の業種は幅広い。
ただ狭い世界なうえ、男性は毎週参加している「常連」もとても多く、毎週のようにあちらこちらのパーティーに出没している女性はすぐに男性に覚えられてしまう。なかにはマルチ商法の勧誘や愛人希望で有名になっている女性もいるため、健全なパーティーとは程遠い空気感が漂っている。
◆タワーマンションパーティーはビジネスである
1時間1000~2000円ほどでタワーマンションのパーティールームは借りられるので、安酒を用意するなど経費を削りながら人を集めると、1回のパーティーで少なくとも15万円以上の利益が出る。毎週土日にパーティーを開き、昼の部・夜の部と1日2回もパーティーを開いている強者まで存在するのだ。
タワーマンションに住んでいなくても、タワーマンションに住んでいる知人を通してパーティールームだけ借りたり、自宅とは別にパーティー用に部屋を借りている者など、会場の用意の仕方はさまざま。経費を除いても月に60万円以上の利益を出す事も可能なので、経営者だけでなくごく普通のサラリーマンも休みの日を利用し、副業としてパーティーを開いている人もいる。
なお、パーティー主催者のA氏はLINEの連絡先を数千件を持ち、それでもさらに参加者を増やすために女子大や婚活パーティーまで赴き女性を勧誘し、エクセルで管理をして毎週違う顔ぶれの女性が揃うようにしているという。ここまでくると本気のビジネスと言えるだろう。
◆「出回り物件」と揶揄される悲しき女性参加者も

他にも、交際できそうな金持ちを狙って体の関係を持ち捨てられ続ける……というのを繰り返しているうちに「出回り物件」というあだ名をつけられ有名になっている女性もいた。また、ハイスペック男との結婚ををあきらめられないで狙い続ける40代女性は、若い経営者に「親に家を追い出されたから泊めてほしい」などと距離感がおかしい誘い方をして血眼で迫りまくっているという。
このようにタワーマンションパーティーはキラキラしたイメージとは程遠く、悲壮感ある女性も多く存在する。しかし、パーティーで出会った男女が純粋な恋愛に発展する事も少なくない。そして異性との出会いだけでなく、参加しているうちに男性同士でも顔見知りになりビジネスにも使える人脈もできるケースだってある。社会の闇に穢れた男女が入り乱れているパーティーにも、それなりに一長一短があるということだろう。
文/桜アスナ