19日夜、宮城県涌谷町中島乙の自営業三川栄治朗さん(64)が自宅の玄関先で男に刃物で刺され、死亡した。
県警は、車で逃げた男の行方を追うとともに、三川さんにトラブルなどがなかったか捜査している。田畑が広がる静かな住宅街で起こった凶行に、付近の住民には動揺が広がった。
県警は20日夕、遠田署に86人態勢の捜査本部を設置した。板宮伸司刑事部長は記者会見で「現状では、あらゆる角度から捜査している。事案の全容解明に努める」と述べた。
発表では、三川さんは、インターホンに応じて玄関先に出たところで男に襲われた。異変に気づいた同居の知人女性が玄関先へ出ると、三川さんは刃物を持った見知らぬ男ともみ合い、血を流して倒れた。男はニット帽をかぶり、口元はネックウォーマーのようなもので覆っていたという。
「死なないで。死なないで」。近くに住む70歳代女性は事件が発生した直後、この知人女性とみられる大きな叫び声を聞いた。救急車やパトカーのサイレンが鳴り響き、周辺は騒然となった。女性は「(三川さんに)トラブルめいた話は聞いたことがない。殺されたことが信じられない」と憤った。
三川さんは知人女性と2人暮らしだった。ハウスクリーニング業「そうじ屋みかわ」を経営しており、数年前に石巻市から引っ越してきたという。近くの男性(72)は「いつもにこやかで社交的な人だった」と話し、「平和な農村で、こんな事件が起こるなんて」と声を震わせた。
周辺では、事件前に三川さんの自宅の様子をうかがう不審な男を見たなど複数の目撃情報があり、県警は関連を慎重に調べている。