おととし、東京・調布市を走行中の京王線の車内で映画の悪役「ジョーカー」に扮した男が乗客を刺し、車内に放火した罪に問われている裁判で、検察は男に懲役25年を求刑しました。
無職の服部恭太被告（26）はおととし10月、京王線の車内で乗客の男性（当時72）をナイフで刺して大けがをさせた後、車内に火をつけ、別の乗客12人を殺害しようとした罪などに問われています。
きょう午後に行われた論告求刑で検察側は「極めて危険性の高い行為。人命を軽視し、汲むべき事情も認められない」と指摘。多数の乗客が死亡しなかったのは「偶然の事象に過ぎない」としました。
また、服部被告が動機として「死刑になりたかった」などと述べたことについても「身勝手極まりない」として懲役25年を求刑しました。
一方、弁護側は大けがをした男性以外の乗客12人について、「間違いなく死の危険性があった場所にいたとは言えない」と主張。乗客12人に対する殺人未遂は成立しないとして「懲役12年が相当」としました。
裁判では被害者の意見も読み上げられ、「裁判で急に謝られても信じられない」「一生社会に出てきて欲しくない」「刑務所に入ったまま苦しんで欲しい」などとする心情が述べられました。
判決は今月31日に言い渡されます。